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ぶちのめしますわよ、旦那様【領主を継いだので好き勝手やてみたい別冊?】   作者: 堀江ヒロ
領主夫婦と愉快な仲間たち

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短剣


「こちらに見覚えは御座いませんか?」

 そう言って、その男性は一本の短剣を渡してきました。彼は隣領からの使いの者です。

 挨拶の口上もそこそこに差し出されたその短剣を観察します。

造りのしっかりした短剣ですわね。これって結構な値打ち物じゃないかしら?

 けれど、彼の言いたいことはそう言う事ではないでしょう。

 更によく凝視すると、短剣の柄にはちょっと潰れていましたが、明らかに意図された図柄が刻まれていた。

「お気付きになりましたか? おそらく、その紋様は貴女のご実家の家紋では?」

 使者殿はわたくしが図柄を覗き込んでいるのに気付き、指摘しましたが残念ながらちょっと違います。

 ウチの分家ーーはっきり言ってしまえば、あの従姉妹の娘の実家の家紋です。元々ウチの家紋を元に少し変えただけなので良く似ています。

 それにしても、何故この短剣をこの使者殿が持っているのでしょう?

「これをとちらで手に入れたのかしら?」

 わたくしの質問に、それが本題だと説明してくれます。


 見つけたのは領主の館がある街の古道具屋だそうです。質流れで入手したのですが、その元をたどっていくと、ある人物が別の街で売却した事が判明したそうです。

 その人物と云うのがーー

「以前あの周辺を荒らしていた盗賊の一味が秘密裏に売ったようなのです。それをどこから強奪したのか心当たりはないでしょうか。どうか、些細なことでも構いません。誠に遺憾ながら、その主犯は指名手配をした途端、行方不明となってしまったので」

「・・・さぁ~~」

 あさっての方を向いて生返事を返します。

 心当たりなら、有るような、無いような・・・すみません。ありまくりですわ。

 後であの娘をきっちり問い詰める必要がありますわ。家紋の刻まれた大切な物品を売るなんて・・・。どう考えても、彼女以外に該当する人間はいません。

 しかしながら、正直に答えられるはずもありません。

「記憶違いの可能性もありますし、その人物が売ったとは限らないんじゃないかしら?」

「いいえ。既に貴女のご実家へ照会させていただいたのですが・・・」

 問い合わせしちゃったんですの!?

「それで、照会結果はどうでしたの?」

「ご親戚のご令嬢がご旅行に行く際に所持していた物ではないかと・・・ それで、件のご令嬢がこちらに逗留なされていると小耳にはさみましたので、まかりこした次第です」

 先ほどすれ違った女性が件のご令嬢でしょう、と続けます。

 あのお嬢様然とした格好のせいで、彼女があの指名手配犯本人だとは勘付かれてはいないようですが、本来の身元はばれてしまっているようです。

「え~と。実は、この短剣って・・・その、彼女が道中で落としてしまったと言っていたはずですわ。手がかりにならずに、申し訳ありませんわ」

「そうなのですか。幸いにして強盗の一味の潜伏先と思われる場所の当たりはつけたので、近々そこを強襲する予定なのです。ですが、アジトがそこ一カ所だけとは限らないので、少しでも手がかりが欲しかったのですが残念です」


 彼女とその盗賊とのの繋がりは無いと信じていますが・・・一応確認しといた方が良いかしら? ところで、参考までにお聞きしますけれど、そのアジト強襲っていつなのかしら?

 場合によっては此方から応援を出すことも吝かではありません。


 明後日? 急すぎですわよ!?


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