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ぶちのめしますわよ、旦那様【領主を継いだので好き勝手やてみたい別冊?】   作者: 堀江ヒロ
領主夫婦と愉快な仲間たち

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あるチンプンカンプンな男の子の話


「アンタそこに立ってなさいよ。一歩でも動いたら酷いからね!」


 幼馴染みの女の子にそう言われて、オイラは指定された位置で、まだら模様の棒を持って突っ立つ。

 女の子はそれを見届けると、離れた位置にいる奥様に合図を送る。そして自身も走ってそちらに向かう。

 オイラは手持ち無沙汰にやることもなく、ぼ~っと待っている。

 彼女は垂直に紐を垂らして、その横で奥様が筒を覗き込んで、別の男の子がメモを取っている。

 何か喋っているみたいだけど、ここまでは届かない。しばらくすると、彼女が手を振ってきた。

 手を振り返したいところだけど、黙って待つ。


 彼女が走ってきて、ポカリとゲンコツを落とす。。

「何でアンタ私の指示通り動かないのよ!!」

 えっ? だって、一歩でも動いたら酷いって、言ってたよね。

「アンタは臨機応変って言葉を知らないの!?」

 何、そのリンキオウヘンって言葉は? オイラ知らないよ。

「全く、使えないボンクラね」

 プリプリしながら、戻っていく。


 連日同じようなことが続く。よく分からないけれど、これで長さや距離、高低差が測れるらしい。今までは長いロープに目盛りをつけて長さを測っていた。

「はぁ? 何で分かんないの?

 三角形って、一辺と二つの角度が分かれば他が計算で出るのよ。更にアンタが持ってた棒の見た目の長さと実際の長さの比率で距離が出るから、相似形とすることが出来るの。

 奥様が説明してくれたでしょ。使えないお馬鹿ね」

「一遍と二つの各度? 掃除系?」

 纏めて掃除すると、何で面積が出るんだろう?

 意味が分からない。・・・けど、彼女がそう言うんならそうなんだろう。


 夜は、その測った数字を計算していく。最初は「全部私がやっちゃいます」と言っていた幼馴染みの女の子も手伝ってくれてたんだけれど、最近は奥様の部屋に入りびたりだ。

 何か、でっかい仕事を任されたとかで張り切っている。

「私はもっと高尚な仕事してるんだから、愚図なアンタはそれをやってなさい」

 四則計算は学んだけれど、数が多いし、複雑な計算が多い。

 横では領主様も何やら計算している。領主様は彼女が奥様の部屋に入り浸りになった辺りから応援に来てくれるようになった。

 面倒臭いと言いつつも、紙に凄くいっぱい細かい数字を書いて計算している。オイラよりもっと大変そうだ。

 何の計算してるんだろう?

「平方根の計算だよ。しち面倒くさい」

 ヘイホウコン? 大根とか、レンコンの親戚かな? 領主様は料理大好きだし。

「違う。角度から長さを出してるんだ」

 紙に三角形を書いて、説明してくれる。けれども、何でその計算になるのか、さっぱりだ。

 角度の計算なら、実際に紙に書いてその線の長さを測ってみればいいんじゃないかな。あとは実際の長さに比率を合わせれば良い。掃除系?ってやつだ。

「オレの苦労って一体・・・」

 何故か、領主様が机に突っ伏している。オイラ何か変なこと言ったかな?


「もうやってやれん! お前もあの女に虐げられてんだろ? 下克上しようぜ!」

 領主様が叫ぶ。

 下戸食うじょ? お酒を飲んで何か食べたいのかな?

 領主様は何故か、寂しげな顔?をしてお菓子を持ってきてくれた。

 疲れると甘いモノが食べたくなるもんな。分かるよ、オイラ。



 幼馴染みの彼女が張り切った理由が判明した。奥様が頑張った娘に秘蔵の服を下賜してくれるというのだ。

 昔は着飾るなんて無駄だなんて、照れ隠ししていたけれど、やっぱり女の子なんだな。綺麗な服が着てみたいなんて可愛いらしい。

「どう? 綺麗でしょ」

 動きやすそうなシンプルな作りでありならが、彼女にマッチして美しい。

「うん。綺麗だ」

 素直に褒めると、彼女はふふん、と鼻をならして得意げな笑みを浮かべた。


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