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ぶちのめしますわよ、旦那様【領主を継いだので好き勝手やてみたい別冊?】   作者: 堀江ヒロ
領主夫婦と愉快な仲間たち

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手料理


「わたくしの手料理が食べてみたいですって?」


 水路整備に伴う耕作地の再計画書を持って、旦那様の部屋を訪ねると、脈略も無く、お願いしてきました。

 行き成り、何を言いますの? ご自分で作った方が美味しいでしょ?

 しかし、旦那様は手を振って否定します。

「いや~、美人な妻の手料理を食べるってのは男の夢の一つだからなぁ~」

 そんな真剣な眼差しで美人なんて言われると、恥ずかしいですわよ。でも、照れ屋な旦那様が面と向かって褒めるなんて珍しいですわね。

 わたくしの料理にそれほどまでの価値があるでしょうか?


 今携わっている事業は経験のないことだったようで、旦那様の仕事はまだまだ効率も悪いです。こんなことで息抜きになって、やる気が出るのでしたら要望を聞き入れてあげましょう。

 これから工事に着手すれば、本格的に忙しくなるのでそんな暇もないでしょうし。

「まあ、そこまで言うのなら、作って差し上げるのはやぶさかではありませんわ」

 旦那様は了承の返事をしたしただけなのに、嬉しそうに笑みを浮かべています。

 些細なお願いを聞いて喜ばせてあげるのも、良き妻の務めでしょう。

 とはいえ、普通に過ごしているだけなのに、何故こんなにわたくしは旦那様に好かれているのでしょう?

 残念ながら、恋愛初心者のわたくしでは殿方の心は理解不能です。



 さて、一体何を作ったら良いでしょうか? ちょっと悩んでしまいます。旦那様の期待に応えるためにも、失敗は許されません。

 この屋敷の厨房に初めて入りましたが、たくさんの調理器具がありますわね。調味料だって、言わずもがなです。

 色々目移りしてしまいますが、これなんて、何を切るのに使うのかしら?

 見たことのないヘンテコな包丁まであります。

 まあ、実家でも厨房に入ったのは数えるほどしかありませんでしたから、気づかなかっただけのかもしれません。


 悩んでいた様子を見かねてスィが手伝いを買って出てくれましたが、旦那様はわたくしの手料理をご要望なのですから自分だけの力で作るべきでしょう。


 唸っていても、進みませんわね。ーー料理なんて、包丁と鍋さえあれば充分ですわ。


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