領主を継いだので新婚生活を始めてみた
「坊ちゃん。早く起きなさい。朝ですよ」
うえ~~っ。まだ眠いんだよ。
だが容赦なく、おばちゃんに布団を引っぺがされてしまう。
「坊ちゃんが食べないと、片付かないんですよ! 今食べないなら夕食までご飯抜きですよ? ほら! さっさと起きる」
要らないから、まだ寝ていたい、と言いたいところだが夜まで飯抜きはきつい。裏の畑にすぐ食べられる果物や野菜でも実っていれば無視するのだが、あいにくと今は収穫期ではない。
間食のお菓子を食べれば良いじゃないかと思うかも知れないが、そんなところを見つかったら、折檻されてしまう。
面倒だなぁ。誰だよ。最初に皆で食べようって言い出した奴は?
・・・オレか? うん。オレだな。
あの頃はおばちゃんかオレが用意してたから、まとめて一緒に食べた方が用意も片づけも楽だったんだよ。ガキどもの分だけ、わざわざ別に用意する意味も無かったし。
まあ、今はガキ共も成長して自分たちで用意するようになったから今はオレがやってる訳じゃないけどな。
今になって分けるのも手間だしな。
っていうか、結婚しても呼び方は『坊ちゃん』かよ。
「アタシが死ぬまで坊ちゃんは坊ちゃんだよ」
それって凄い先じゃね? むしろオレより長生きしそうだぞ。
朝食の用意がしてある広間に行くと、ガキどもが五月蝿い。まあ、オレは慣れてるけど、こいつキレたりしないだろうな。大丈夫か?
妻となった女を見る。何か、苦虫を噛み潰したような顔してるけど、大丈夫か? ガキどもを睨みつつも、大人しく座って食事をとる。
さすがにガキ相手に大人げないことはしないか?
「坊ちゃん。ゴロゴロしてるんなら、若い子たちに料理でも教えてやって下さいな」
腹も膨れたので再度部屋に戻り、布団の上で悠久の時の流れを感じ、無心で瞑想していると邪魔が入る。
えぇ~。おばちゃんが教えればいいじゃん。
「今も寝ようとしてたみたいだし、どうせ暇でしょ?」
いいや、やることあるよ。多分、きっと、必ず。え~と・・・
「お嫁さんも働いてるんだから、坊ちゃんも見習ってキリキリ働きな」
部屋を追い出される。しかも、布団を干すとかで取り上げられてしまう。
くそっ! 何て横暴な仕打ちだ。残念だが、崇高な思考は凡人には理解できないのかもしれない。
今は雌伏の時なのだ。臥薪嘗胆の思いで耐え忍ぶしかない。
いつか必ず、いや、そのうち、きっと下克上・・・出来たらいいなぁ。
あれ? オレ、結婚しても何故か生活って変わらなくね。




