ある狙われた少女の話
綺麗な宝石の付いた首飾をこれ見よがしに手のひらでもてあそぶ。
ならず者が居そうな裏通りってどこだろう? 辺りをきょろきょろ見回す。
「お嬢ちゃん。どうしたんだい?」
おじさんがキモい薄ら笑いを浮かべながら話しかけてきた。このおじさん、当たりかな?
見た目弱っちそうだし、カモなんじゃない?
「え~と、ねぇ~。あたし道に迷っちゃった」
喜びを出さずに、か弱い美少女を演じる。
「なら、お兄さんが道案内してやろうか?」
「うん。お願い。おじさん」
そのおじさんに付いて行く。そういえば、目的地を言ってないけど、良いのかな?
人通りのない路地に連れて行かれる。おじさんは辺りを見回すと懐から短剣を取り出す。
もう、確定で良いよね! ーーみぞおちに、渾身の一撃!
おじさんはこっちに倒れ込んできた。
うげっっ!! 吐いた。汚い。
嘔吐物が服にかかった。おじさんの服でぬぐうが、気持ち悪い。臭いも取れない。
財布があったけれど、大して入っていない。こんなはした金じゃ、十日も持たない。踏んだり蹴ったりだ。
こっちの方が悪役っぽいが、これは正当な慰謝料だ。むしろ、もっと請求しても良いくらいだ。
◇◇◇◇◇
--数日後。
あれ? 違う街に来たのにあの時のおじさんがまたいた。いいよね。
どうせ悪人なので襲っちゃう。
今度は汚れないように、お腹への攻撃は避ける。物語の達人の描写なんかだと、首の後ろに手刀を喰らわせると気絶するよね。
やってみる。
「ぎゃぉっ」
悲鳴を上げ、おじさんは受け身も取れずに前のめりに倒れた。
だけれど、気絶しない。
起き上がってこようとしたので、馬乗りになって再度手刀を喰らわせる。
「ぎゃぉっ」
でっかい悲鳴は上げるけれど、気絶しない。
もうちょっと下かな? それともこっちかな?
仕方ないので殺さないように手加減しつつ、何度も首の後ろを強打する。
降り下ろす数が二桁を越えて、ようやくうめき声が聞こえなくなる。死んでないよね? 脈はあるみたいだし、やっと気絶した。
う~ん。難しい。
今度は身ぐるみ剥がして放置。小銭どころか、現金を全く持っていない。致し方ないので持ち物を全部掻っ攫って街の古道具屋に売り払う。二束三文にしからならかった。
街中じゃ、儲からないなぁ。
チンピラじゃなくって盗賊を一網打尽にしてみたい。武者修行っぽいし、ガッポリ儲かりそうじゃない?
盗賊って街道脇に潜んで商人を襲うのかな。どこの街道にいるんだろう? やっぱり商人がいっぱい通るところ? って、そこドコ?




