領主を継いだので二日酔いに呻いてみた
「うぅ~っ。頭がメチャクチャ痛い」
何か、甲高い声で目が覚めた。何の騒ぎだ? 頭に響くから、うるさいのは勘弁して欲しいんだが。
酔い潰されて、昨晩の記憶がない。いつの間に部屋に戻ったのだろうか。気が付いたら布団の上だ。
しかし、式の度に思うがなんで無理やり酒を飲まそうとするのか。しかも飲ますのを強要した奴らはケロッとしているし。
布団から起きて、声の方へ向かう。
そこには結婚した令嬢が仁王立ちして待ち構えていた。新婚の甘い空気は微塵も感じられない。
「あ~・・・」
声を掛けようとして、ちょっと悩む。どうやって呼んだら良いのだろう? 下手な呼び方したら、逆ギレされそうだ。
結婚式の最中に横にいただけで、本人とはろくに話をしていない。それ以外は別行動で、昨日は酔いつぶれて記憶がない。
当然・・・初夜はまだだ。っていうか、するのか? あれと・・・?
「うぅ~っ。頭がガンガンする」
・・・嫌な事を考えてしまった。まあ、そのうち何とかなるだろう。
「体調は大丈夫なのかしら?」
現実逃避していると、上から見下す目線で言い放たれた。何か睨まれてるっぽい。考えを読まれた訳じゃないような。
で、何だって。体調? ダメって言って良いの?
言った途端「だらしない」ってブッ飛ばされそうなんだけど。
「いや、全然平気だ。・・・平気ですよ」
危ない、危ない。ついタメ口になったのを慌てて敬語に言い直す。
対応はとりあえず、探り探りでやって行こう。
「それなら、宜しいですわ」
やっぱり上から目線の言い方だ。
二日酔いの回らない頭で聞いていると、持ってきた嫁入り道具の整理をするらしい。昨日は一室に箱のままま運び込んでとめて置いておいたので、それを箱から出して整理するらしい。
勝手にやれば良いじゃん。何でオレが付き合うの?
痛い頭を引きずって、令嬢の後を付いて行く。
大した荷物は持ってきていないのですぐに片付くと本人は言っている。
が、令嬢は部屋に入らない。どうしたのかと、その横から部屋の中をのぞき込む。
そこには天井まで積み上がった箱が占拠している。
どこが大したことない荷物なんだよ?
唖然としていると、侍女見習いをしている女が水差しを持ってきてくれた。
あ~、ありがたい。どっかの気の強い女と違って気が利くな。ちょっと気分が良くなって、しゃっきりした気がする。
で、どうすんだ? この荷物。箱を開けるとふんだんに布地を使った豪華な服がぎっしり。
部屋ひとつ分の服って、どんだけ贅沢なんだ!? このブルジョアめ! どこに着ていくつもりだ。まさか、普段着じゃないよな?
でも、売ったら結構いい金になるんじゃねぇ? いや、思っただけだよ。




