表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぶちのめしますわよ、旦那様【領主を継いだので好き勝手やてみたい別冊?】   作者: 堀江ヒロ
結婚とその顛末

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/142

あるタダ酒に釣られた男の話


 領主さまの花嫁さまを乗せた一行が到着した。屋敷の庭に出て出迎える。

「すげ~ぞ、おい」

 一緒に来ていた男とビビりながら遠巻きに様子をうかがう。今まで見た事も無い凄い光景だ。

 馬車が屋敷の庭に入りきらずに、屋敷の周りを取り囲みつつある。

 街の中央の広場となっている場所でも外からの商人も総出で馬車を繰り出し、生まれてから見たことのない賑わいだそうだ。

 馬車だけでなく、馬に乗ってい厳つい男も多数いる。そいつらはすごい派手派手な鎧も着ている。

 剣を持っているってことは兵士なんだろうが、おれの知っているっそこいらの兵士のおっさんたちとは全く違う。

「あんな腕を振り回されたら、一瞬で吹っ飛ばされるぜ」

 馬車を追っかけて野次馬が集まってきているが、眺めるだけだ。誰もビビッて近づいてこない。


「やべ~じゃねぇのか? どうすんだよ」

 おれも隣の男もただの農家の親父だ。地元では古参ではあるけれど、村長でもなければ大地主でも金持ちでもない。

 加えていえば、領主様とは一滴たりも血縁関係はない。

「タダ酒に美味い飯が食えるから、ちょいと来れないか」

と言われ、ホイホイ来てしまった自分が恨めしい。

 騙された。こんな大規模な一団だとは聞いていない。

 これから、どうなってしまうのか。


 しばらくして全ての馬車が到着すると、ゴツイ男たちに囲まれて豪華な飾りがあしらわれた馬車が一団の中から進み出る。そして、屋敷の玄関に乗りつける。

 出てきたのは凄い美人の女性だ。顔は薄布で隠されているが、その布越しでも化粧をした顔がうかがえる。自分の女房とは気品が違う。

 やっぱ、貴族のお嬢さまってのはそこいらの母ちゃんとは何もかもが全く違う。

 そのお嬢さまが優しく微笑んで手を振っている。

「どこが、剣を振り回す大女なんだ? 誰だよ、凄い鬼嫁が来るって言ってたのは?」

「領主様だろ」

「その肝心の領主さまはどうしたんだ?」

「花嫁に自分の手料理を食わせるために朝から厨房に籠ってるってよ」

 なるほど、領主さまが憎まれ口をたたいていたのは単なる照れ隠しか。確かに自分の嫁を手放しでほめるのは恥ずかしい。


「どちらに行けばよろしいでしょうか?」

 降り立った花嫁に皆が見惚れていると、お付きの女性が声を掛けてきた。こちらも花嫁に負けず劣らず美人だ。

「こちらです」

 屋敷で働いている女の子が花嫁さまとそのお付きを案内する。


 付いてきた兵士らも鎧を脱いで結婚式の出席者となる。結婚式の会場ではパリッとした服に着替えてきている。

 それに比べて、おれたちの服は貧相だ。おれは村長に借りた一張羅を着てきたが、生地が違う。

 領主さまが何故おれたちを引っ張り出してきたのかと云えば、はっきり言って数合わせだ。

 確かに、領主さまの直接の関係者だけだと、向こうの出席者に対して少なすぎる。ご両親は他界しているし、ご親戚の話も聞かない。

 でも、農家の親父たちを引っ張り出すのは如何なものか?



 緊張してる輩もいるが、もうおれは自棄になってタダ酒をかっ喰らう。

 式も進み酒も入れば無礼講で、向こうから酒瓶を片手に話しかけてくる。

 怖そうな面構えのおじさんも見た目に反して気さくだ。

「おれってば、日頃は畑を耕しているんだけど」

「ふんっ。そんな度量の狭い漢はおらんわ」

 おれの肩をバシバシ叩いてケタケタ笑う。肩を組んで、酒を勧めて注いでくる。こっちも返盃する。

 主役の新郎新婦を放っておいて酔っぱらいが増産されている。もう何杯飲んだのか覚えていない。



 ーー目が覚めると翌朝で、強面のおっさんを膝枕していた。・・・何でだ?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ