ある少女の話
今は昔、あるところにひとりの少女がいました。
少女はお姫さまでした。二人の兄と一人の弟がいる仲の良い兄弟でした。
また、少女には不思議な力がありました。
けれども、侍女は「神殿送りになって戻ってこれませんから、言ってはいけません」
侍女のいう神殿が何なのか分かりませんでしたが、怖い顔をしていたので内緒にしなければならないのだと分かりました。
その力を隠したまま、少女は可愛らしく成長しました。
2人の兄も将来の国を背負うべく、立派な王子になりました。
しかし、ある時から兄たちの仲が悪くなっていきました。初めは些細な口喧嘩でした。それが兄たちの側近に広がり、仲が悪くなりました。次第にエスカレートして、その喧嘩は国中に飛び火しました。
訳も分からず、お姫さまは侍女に連れ出されました。連れ出された先で熊のような大きな男の人に出会いました。その人はたくさんの兵士を連れた隣国の貴族さまでした。兄たちの喧嘩を止めるためにやってきたのでした。
ある日、お姫さまは夢を見ます。青年とお姫さまが出て来る夢でした。
彼は先頭に立ち、敵対する人たちを容赦なく殺しました。表情を変えることなく、戦場を駆けるその残虐さに皆恐れました。
しかし、お姫さまはその惨状を見ても恐れませんでした。だた不器用な青年だとだけ思いました。
そうして寂しそうに青年の手を握りました。振りほどかれても、お姫さまはめげずに、また手を握ります。
彼は瞬く間に兄弟喧嘩を治めると、弟王子を次の王様に決めてしまいました。
平和になった国で青年は侵略者として恐れられました。お姫さまも青年を招き入れた売国奴と呼ばれました。王様になった弟が庇いますが効果はありません。表立っては言われませんが、お城の中はギスギスした雰囲気が続いていました。
しばらくして、青年が自分の国へ帰ることになりました。悩んだお姫さまは青年に着いて行くことにしました。
お姫さまは可愛い男の子を生み、幸せに暮らしました。
ある国の第六公女は秘密の不思議な力がありました。
ひとつは手を触れた人間の感情を読む能力。
ひとつは訪れるであろう未来を夢見る能力。
そしてもうひとつは片羽な祝福の能力。
お姫さまは死の間際、我が息子の将来を憂いて祈りました。それは祝福としてその子へ降りかかりました。他人を幸せにするとちょっとだけ自分に返ってくる祝福として。