準備万端？なお嬢さまの話
「まずは出会い頭にガツンと一発かましましょう！ ここでしくじると結婚後に苦労しますから重要です。亭主関白になるか、かかあ天下になるかの正念場です」
聞いたところでは、お嬢様の婚約者はボンクラな怠け者だそうです。主導権を握っておかないと、結婚後苦労するのは目に見えています。
夫婦関係に限らず、人間関係の構築においてファーストインプレッションは重要です。
強烈なインパクトでイニシアチブを握りましょう。
その婚約者と会う当日、日課の剣の素振りをしているお嬢さまを風呂に押し込め、しっかり磨き上げます。
お嬢さまは元々美人なのですから、ちゃんとしましょうよ。普段から全く化粧っ気なしで、勿体ないと常々思っていました。
服だって、殿方と変わらないものを着用していますし。
「だって、動き回るのに邪魔じゃない」
素材は十分なのに、全く宝の持ち腐れです。
今回は力を入れて、腕を振るいます。
大胆な服を着せ、お化粧をさせました。お嬢さまは普段は唇に紅をさすくらいしかしませんが、今日はバッチリ全体に化粧を施しました。ちょと濃い目メイクですが夜に合わせてしまったので問題なしです。
冗談で服はかなり大胆かつセクシーな服を勧めてしまいましたが・・・疑うことなく着てしまいました。
ちょっとは疑いましょうよ、お嬢さま。普段はもっと大人しい装いじゃないですか。
こんな破廉恥な服着ているのは娼婦くらいですよ。
もう着てしまった言い出せませんけれど。せめて、ショールでも羽織ってもらいましょう。
せめてものお詫びに、本当に巷で流行っている香水を渡します。
「仕上げはこれです。これをひと吹きしてください」
甘いリラックスさせる香りですが、原液は結構強めな香りなのでほんの少しだけで充分です。噂では媚薬が入っているとかいないとか・・・
「さあ！ 婚約者殿をそのまま夜会に誘って来てください。 今日はお泊りでも、構いませんよ？」
たき付けましたが、奥手なお嬢さまではどうせ何事もなく帰って来るでしょう。
この後は領主を継いだので好き勝手やってみた『ある婚約令嬢の話』に続きます。
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此方のVersionでは怒りはするものの、婚約破棄まではしないという流れです。しかしながら、それ以外は同じ内容なので省略させていただきます。
次話は顔合わせが終わった後の話を投稿予定です。
