あるお留守番幼女の話
前話よりちょっと昔のお話。
幼さを出したいがため、殆どがひらがなです。読みにくいかも?
きょうは、かあさまやおねえさんたちはおしごとなのでちいねえさまとおへやでおるすばんです。
おとなのひとがいないとおそてにちゃいけないっていわれています。
でも、おそとにあそびにいきたい。
「えぇ~、大人しくお昼寝しとこう」
ちぃねえさまがそういっておふとんにころがります。
でも、わたししってるんだからね。ちぃねえさまはいぬいぬにのって、こっそりおでかけしてるんでしょ。
ちぃねえさま、ずるい。
わたしもいぬいぬにのっておでかしたい!
いぬいぬとは、ちぃねえさまとなかよしなもふもふなわんちゃんのことです。
「じゃあ、いぬいぬを呼んで一緒にお昼寝する?」
そうじゃないよ。おでかけだよ、おでかけするんだよ。
わたしはほっぺをふるわませて、だんここうぎします。
すると、いぬいぬをよんでくれました。
「ばぉぅ~?」
くびをかしげるいぬいぬにめせんをあわせておねがいします。
ねえねえ、いぬいぬ。おでかけしたいから、おせなかにのせて。ねぇ、いいでしょ?
「わふっ!」
いぬいぬはちぃねえさまへふりかえり、なきました。
「妹はまだ小さいから駄目だって」
え~、ちぃねえさまだってちいさいよ。
「わんっ。わぅ!」
「振り落されちゃうからちゃんとしがみ付ける力がついてからじゃないと駄目だって」
そんなことないもん! だいじょうぶだもん。
いぬいぬにしがみついて、そのせなかによじのぼります。
「しかたない。じゃあ、いぬいぬ、ちょっとジャンプしてみて」
いぬいぬがとぴょんとびはねると、ころりん、ふとんのうえにおちちゃった。
ちぃねえさまがうけとめてくれたのでびっくりしたけれど、いたいとろこはなかった。
ありがとう、ちぃねえさま。
「外で落っこちると、怪我して危ない。お出掛けは諦める」
う~ん。ざんねん。
いぬいぬがほっぺをなめてなぐさめてくれました。
ちぃねえさまはいぬいぬのいってること、わかるの?
「もちろん。いぬいぬとは仲良しだからバッチリ。いぬいぬは頭が良いから計算もできる」
え~、ほんとう?
「じゃあ、実際問題をだす。10ひく9は?」
「わんっ」
「正解。じゃあ、6たす5は、10と?」
「わん」
すごい! いぬいぬはおりこうさんだね。
「・・・うん、そうだね。妹はそのまま素直に育って欲しい」
ちぃねえさまはわたしのあたまをなでてきます。
なんでだろう?
ちぃねえさま、わたしもいぬいぬとおしゃべりしてみたい。どうすればいぬいぬのことばがわかるかなぁ?
「そうだなぁ~、試に瞑想でもしてみる?」
めいそうってなに?
「頭を空っぽにして、目を瞑る」
むすかしい。いぬいぬとおしゃべりしたいってかんがえているのに、かんがえちゃいけないの?
う~~~ん。
「実際にやってみる」
ちぃねえさまにうながされて、いぬいぬといっしょにおふとんにねころがる。
いぬいぬをはさむようにちぃねえさまにゆらゆらゆられながらだっこされる。
・
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ぐぅ~~~
ーー時が流れてーー
「そう云えば、なんでいぬいぬって名前なの?」
「妹が名付けたけど、覚えてない? 昔妹がもっと小さかった頃、いぬ~いぬ~、っていぬいぬのしっぽを追いかけ回してた。それがそのまま定着した」
「え~、うそだ~。わたし、そんな安直なお子さまじゃないよ」




