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ある叡智を求めた少女の話

別の一風変わった女の子のお話



 今は昔、あるところにひとりの少女がいました。

 少女の父親は高名な学者でした。兄は王様から薬草園の管理を任され、姉は貴族の家庭教師をつとめていました。


 しかし、少女は出来の悪い味噌っかすでした。


 父親は定期的に文官の偉い人に会いに行きます。父は社会勉強だと偶にお城へ連れて来てくれます。しかし、子供である少女は退屈です。

 少女は抜け出して、顔なじみとなったお姉さんに会いに行きます。お姉さんと云っても、実の姉ではなくお城にいる綺麗な女性です。

 少女が訪れても嫌な顔ひとつせず、相手をしてくれます。姉よりも年上の彼女は優しく対応してくれます。

 その女性はその父が会いに行く偉い人のお手伝いをしているそうです。ずっと一緒にいるけれど、結婚していないので愛人と言うらしいです。

 愛される人なんて、やっぱり美人さんは凄いです。そう褒めてみると、愛人さんは困ったように笑いました。奥ゆかしいので謙遜していますが、素晴らしい女性です。


 その愛人さんに悩みを打ち明けます。優秀な家族の中で自分だけどうして出来が悪いのでしょうか。

 自己弁護で申し訳ないのですが、努力していない訳ではないのです。どんなに頑張っても姉や兄の足元にも及びません。


 女の人はどうしてもというのなら・・・と、本を差し出します。それは知識を与えるという魔法の本でした。しかし、無理やりな知識の流入に変わってします、自分が自分でなくなる可能性もあるそうです。

 後になって考えてみれば、そんな恐ろし良い本を子供にホイホイ見せるなんて如何かと思います。愛人と呼んだのが不味かったのでしょうか。


 無理に使う必要はないし、使う使わないは自由。すぐに決断する必要もない。使わない勇気もある。


 そう彼女は言いましたが、迷った末、少女はその日の夜中布団にもぐり込んでその本をこっそり読んでみようと開きます。




 激しい頭痛に襲われ、気絶してしまいました。目が覚めたのは翌朝でした。

 目が覚めたとき、頭の中に変な人の人生が入り込んできました。子供好きな女性の人生が。

 なんと下らない事に悩んでいたのでしょう。姉や兄と比べるなんて愚かな事です。


 少女は父や兄、そして姉も知らない知識を得ました。今まで学んだ書物には書いていない、画期的な叡智。これは自分だけで秘匿して良い知識ではありません。


 これは天命です。この優れた知識を後世に伝えなければなりません。


 妙齢な女性となった少女は後の世を託すべき子供を探し今日も秘密の呪文を唱えます。


 --ヨウジョモエ!


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