第25話 リベロ
「あー怖かった☆」
レークスが宿屋の部屋で言った。あの後シンと少年は押し問答になり隠れていたレークスが一旦落ち着こうと提案したのだ。宿屋までの道のりで少年の名前がリベロであること、妹と二人暮らしであることを知った。リベロは居心地が悪そうに立っていた。
「俺は譲らないからな。」
「僕もだ!」
そう言いシンとリベロは互いに睨め合った。どちらも譲るつもりはないようだ。
「事情を教えてくれる?ダメかな?」
シンの肩の上に座っていたアウラがリベロに話しかける。リベロはアウラに視線を一瞬合わせ下を向いた。
「あいつが来てからグリオはおかしくなったんだ。」
リベロが言うにはコーザが村長に就任するまでは階級を感じさせないほど皆協力的で食料も自分達で管理していたらしい。たがコーザがやってきてからはどんどん民族が姿を消し、強制的に食料は配給制度に変わった。収穫した作物も全て奪われてしまう。そしてそれは時が経てば経つほど量が減っていき今では一日に一度となった。
「どんなに働いても、どんなに豊作でも減って。ある日妹が倒れたんだ。そしたら妹の配給がなくなったんだ!!」
「なんだよ、それ。」
リベロは悔しそうに自分の膝を叩いた。シンは怒りの声を上げる。アウラは驚いた顔をした。レークスは天井を仰ぎ見ていた。
「理由は働かないからだって。あいつは笑いながら平然と言ったんだ。働かないんじゃない、働けないのにそう言ったんだ!!」
リベロの目から涙が流れる。それをアウラは泣きそうな顔で見ていた。シンとレークスは真剣な表情でジッと見つめる。
「どんどん弱っていくんだ。今ではベッドから出られない。医者にも見せてやれない。妹はごめんねって僕に言った。何も悪くないのに。」
リベロは涙を拭う。それでも涙は流れ続ける。アウラは顔を背け肩を震わせていた。
「たった一人の家族なんだ。失いたくない、失いたくないんだっ!!」
レークスはリベロの肩に手を置き、リベロと目が合うとニッコリと笑みを浮かべた。するとリベロはまるで今まで耐えてきたものが解き放たれるかのように泣け叫ぶ。リベロが一しきり泣き終わった所でシンが口を開いた。
「妹に会わせてくれ。」
「ズズッ…意味ないよ。」
「ある。俺はお前の話を聞いて同じ気持ちになった、共感したんだ。そしたらもう無関係じゃない。意味はあるんだ。」
シンとリベロは見つめ合った。少しの静寂の後リベロは大きく深呼吸した。
「いいよ。案内する。」
「よっしゃ、じゃあ行こうぜ!」
リベロの返答を聞きシンはドアに向かった。レークスがリベロを歩くように促し一緒に進んでいく。シンがドアに手をかけた時だった。シンが開けるより先に扉が開いた。それによりシンは鼻を扉で打ってしまう。
「いってぇ…。」
「大丈夫ですか?」
身体を屈ませ痛みに耐えるシン。ちょっとだけ鼻血が出ていた。そして扉にはサガが立っていたのだった。




