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-BIFROST-  作者: 阿山なつき
九つの魔宝編
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第24話 激怒

「やっぱでけーな。」


シンは近づくにつれて大きくなる村長宅を見上げながら歩いていた。アウラはフードの中に隠れている。レークスはシンに熱い視線を投げかけていた。勿論、シンはそれを無視する。門前まで行くと二つの影が見えた。一方はボディービルダーの如く筋肉隆々な大柄な男、もう一方は昨日シンから月麗石を盗んだ少年だった。


「村長に会わせろ!」

「気安くコーザ様に会えるわけなかろう!隷族の子供が分を(わきま)えろ!立ち去れ!!」


少年が大男と言い合いをしているようなのでシンは急ぎ足で近づく。アウラはフードから覗いていた。


「嫌だ!早くしないと…。」

「黙れ、このっ!」


掴みかかる少年を大男は払いのける。勢いよく飛んだ少年をシンは受け止めた。シンの顔を見ると少年は驚いた顔をする。


「怪我はないか?」

「離せっ!」


暴れる少年から身体を離すシン。すると門からサガと太った男が出てくる。サガに目をやると首を横に振った。どうやら話しかけるなということらしい。


「コーザ様とサガ様、お見苦しいところを見せて申し訳ありません。」

「よいのだよ、ギミー。」


それに気づいたギミーは二人に謝った。笑いながらコーザは少年を見た。


「やはり、お前だったのか。いい加減諦めたらどうだね?何度来ようとも食い物は配給分だけだ。」

「僕はいいんだ…だけど妹がこのままだと死んじゃうんだ!!」

「お前達がちゃんと働かないのがいけないのだよ!無能な自分を恨むのだな!!」


汚い物を見るかのような眼差しで嘲笑いながらコーザは言った。少年は悔しそうに唇を噛み手をぎゅっと握った。


「なんでだよ…。いいじゃねぇか、少しくらい増やしてやれよ!死んじまうんだぞ!!」


シンは険しい顔をしながら言った。それをコーザは鼻で笑いやれやれと両手でジェスチャーした。


「見かけぬ奴だが、どうせお前もクズなのだろう?役に立たないなら死んで食い扶持を減らすくらい当然だろう!!」

「どんなに働いたって減ってくばかりじゃないか!!あんまりだ!!」

「いくらでも代わりはいるのだよ!!お前もお前の妹とやらも死んでしまえ!!」


少年がコーザの言葉に反論するが、コーザは聞く耳を持たなかった。尚且つ更に言葉の暴力を少年に浴びせる。


「や、やめて!」


それはアウラの引き裂くような声だった。アウラは少年の前で両手を広げてコーザと対峙していた。


「ほう?ルイマスのエルフか。バカであったがために生き残れた飛ぶ以外能が無い種族が…。」

「いい加減にしろ。」


コーザはアウラにも誹謗中傷を浴びせる。アウラは泣きそうなそれでいて傷ついた顔をしていた。唇が震えている。コーザが言い終わる前にシンが唸るような声を上げた。その声に全員がシンに注目する。


「村長だかなんだか知らないが…お前のがよっぽどクズだ!!」


そういうとシンはコーザに殴りかかる。ひっ、と小さな悲鳴をあげ屈むコーザ。サガがシンの攻撃を止めた。ギミーは覆いかぶさるようにコーザを守っていた。


「なんでだよっ!止めんな!!」


暴れるシンをサガは後ろに回り拘束した。その時サガは業腕が発動した手を後ろにしてコーザ達に見えないようにした。少年からは見えていたので驚いていた。


「落ち着きなさい。殴ったところで何も解決しません。」

「さ、さすがサガ様!文武両道とは貴方様のことをいうのでしょうね!」

「しかし貴重な労働者を死ねというのは賛成できません。」


サガがシンを(いさ)める言葉をかける。悔しそうに下を向くシンは言葉にならない声を出した。コーザは助かったことを確認するや否やサガを褒めちぎった。それに対しサガは冷静に言葉を返す。


「ここはデアフロスで解決しましょう。」

「わしは戦えませんぞ!」

「では、代理を立てて勝負すればいいでしょう。日も暮れてきたので対決は明日の午後広場で行い勝利条件は対決時に言うこと。これは王族としての命令です。」

「わかった。」


サガは口答えするコーザにはっきりと命令した。ぐぬぬっ、と苦い表情を浮かべるコーザ。シンはコーザを睨みながら承諾した。シンは業腕を解く。それを確認したサガはシンから手を離しコーザの元に歩いていく。


「審判は王族である私が務めます。行きましょう。」


サガがコーザに声をかける。コーザはギミーを呼び寄せ三人は作物のある方へ歩いて行った。


「勝ってぶっ飛ばしてやる。」

「ぼ、僕が戦う!」


やる気全開のシンはメラメラと炎が身体から上がっているかのようだった。少年はそんなシンを見て慌てて言った。アウラは二人の間でしょんぼりとしていたのだった。

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