第21話 四階級
「アウラ、手伝え!!」
「へっ!?わ、わかった。」
シンは少年が消えた方向へ走り出す。フードに入っていたアウラは上空に飛び立った。少年は二番目の角を曲がる。シンもそれに倣い路地に入り込んだ。
「うおおおおおおおおお!!」
「次赤い旗のとこ行ってー!」
全力で少年を追うが道が複雑で追いかけるのがやっとだ。アウラのナビでやっと見失わずにいる状態だった。何個もの角を曲がり道を出ると少年とサガが対峙していた。
「見知らぬ者だから自分に地の利があると思いましたか?」
サガが少年に話かける。少年は前方にいるサガと後方にいるシンとアウラを交互に見ながら悔しそうな顔をしていた。シンは息が荒く膝に手を置き呼吸を整えようとする。アウラは上空からシンの横に戻ってくる。
「…おい、返せ。」
「やだ!僕のだ!!」
少年は袋を握り締め叫ぶように言った。
「そいつだけは渡せねぇんだ、悪いな。」
「補足させてもらいますと中には月麗石が入っています。アルビオでは無価値に等しい石です。」
「紛らわしいんだよ!」
少年は袋の中を覗くとサガの言ったことが事実であることを気づいた。それに腹が立ったのか少年は捨て台詞を吐きシンに石の入った袋を投げつけ走り出す。慌ててシンは袋を拾う。
「やめろ!!」
少年を追いかけようとするサガとアウラをシンは止めた。二人はピタリと動きを止めてシンをみる。
「戻ってきたんだ、もういい。二人ともありがとな。」
シンは二カッと笑った。サガとアウラはシンに近づく。
「よく先回りできたな?」
「アウラさんが見えていたので。グリオの地図を覚えていましたからそれで先回りしました。」
「なるほど!」
どうやらシンだけでなくサガにとってもアウラはナビになっていたようである。アウラが少し得意げな顔をしながら頷く。
「もしかしてあの子って…。」
宿への道を歩いているとアウラが自信なさそうに言った。
「はい、恐らく隷族でしょうね。」
「なんだそれ?」
「印によって階級が決まるというのは覚えていますか?私で言えば王族です。」
シンは頭を働かせ記憶を引き出す。初めてアルビオ宮殿に行く階段で聞いた話だ。
「ああ、そんな話あったな。」
「どの国にも四階級制度があります。印によって階級は決まり上から王族、貴族、民族、隷族となっています。これは生涯かわりません。少年が物取りをしなければならないほど困窮していたのを考えると最下級の隷族なのでしょう。」
「でも今はほとんど民族と同じでしょ?あまりにも扱いが酷いから。」
「そうですね。しかし地域によってはまだ差別が残っているのでしょう。一度ここの村長に会う必要がありそうです。」
宿屋に着きサガが扉を開けると凄い速さで身体を引いた。後ろにいたシンは対応できず黒い塊に突進され倒れた。アウラが驚いた顔をした。
「レークス!?」
「やっと追いついたわん☆」
レークスは渾身の力を込めてシンに頬ずりをする。シンは久しぶりの強い衝撃で暫く動けなくなったのであった。




