第11話 スレイプ
「よっしゃ、それじゃ出発だ!」
アルビオを出た森の中にシン達はいた。サガは長かった髪を切っていた。本人曰く邪魔だったらしい。アウラが残念そうにしていたがシンにはさっぱり理解出来ないことだった。
「どこに向かうの?」
「分からねえ!」
「えぇ!?」
シンの肩に乗ったアウラがシンに聞いた。きっぱりと言い放つシンを見ていたサガが口を開く。
「魔宝でしたら確実に3つの場所は分かっています。」
「どこなんだ?」
「魔宝はその昔それぞれの首都に一つずつ神が管理を任せました。この世界には4つの首都がありますので、アルビオを抜かしあと3つとなります。残りは行方不明のままです。」
シンとアウラはおーと感嘆の声を上げる。その様子にサガは小さく溜息を吐く。
「一番近いのはどこだ?」
「此処からならルイマスでしょう。アウラさんの生まれた地ですね。」
「おお、じゃああの移動魔法で行こうぜ!」
シンはアウラとサガを交互に見ながら勢いよく言った。サガとアウラは目線を合わせる。
「私はルイマスと契約を交わしていなので使えませんね。」
「そうなると三人を移動になるけど、アタシの魔力じゃ無理だよ。お父様には伝えておくけど…。」
二人の言葉に落胆するシン。楽して行けるほど人生甘くはないのである。
「ルイマスはアルビオから北東に進んだ位置にあります。私もルイマスまでの間に寄りたい場所があるので移動魔法は一先ず置いておきましょう。」
「えっと、サガ様は…」
「一つ言っておきますが私のことはアルビオの権力者でなくただのサガとして扱って下さい。余計なことに気を回したくありません。他者に絡まれるのも御免です。」
サガへの対処を躊躇ったアウラに冷たく言い放つサガ。静かになったアウラはシンのフードの中へ入った。アルビオから出た森は白くなくごく普通の緑だった。道は土で多少凸凹していたが進むには問題ない。先導するサガはコンパスの違いかシンでも追いつくのが大変だった。それでも配分を考えて行動しているようなので、順調に進んで行った。
「なあ、なんで俺はアウラやサガみたいな魔法使えないんだろな。」
「人間だからじゃない?」
「厳密に言うと魔力の根源が違うからでしょうね。我々は自然の放出するエネルギーを魔力として使います。しかし人間にはその機能は備わっていません。シンが使ったナインの力は魔力を自らを核にして増幅させて使うようなので、魔法といっても全く違う種類となります。」
「すげー、先生みたいだな。」
聞けば瞬時に答えるサガに関心しっぱなしである。特訓の時、試しに魔法を教えて貰ったのだが全く使えなかった。違う種類ならば使えなかったのも納得できる。
「シンとは元の出来が違うんだよ。」
「んだと、この!」
「ちょっ!苦しいってば!!」
おちょくるアウラに、シンは手を伸ばしフードを窄めて拘束する。初めて会った時のようにアウラは暴れていた。そんなことをしながら歩く旅はシンには新鮮で楽しいものだった。本当にRPGの中に来たような錯覚がする。最もゲームのようにリセットできるわけではないので選択を間違えればその瞬間死である。それでも長閑な現状に心が浮き立つのは仕方がないのかもしれない。
「公道です。此処からはスレイプに乗って行きます。」
森から出ると広い道がどこまでも続いていた。直ぐ傍に8本足の馬が2頭。サガが事前に準備したと言った。用意周到なタイプらしい。乗り方の説明をうけ小さい方のスレイプに乗せられた。スレイプの上は景色の見え方が全然違い、一気に目の前の視野が広がったように感じた。アウラはシンの頭の上で景色を楽しんでいた。動きだすと思った以上にバランスを使い元の世界でもこうなのだろうかと思った。




