9話
今日は、旅行の日です。修学旅行というより林海学校という方が正しいだろう旅行だ。
「おはよう、マリア」
「おはようございます、ジェード様」
久々に会ったジェード様は身長が高くなっていて、見上げないといけない。
「ジェード様、背が高くなりましたか?」
「うん、少しはね。マリアは縮んだのかな?」
ははっと笑って私の頭を撫でる。
「縮んでいません!もう!子供扱いしないでください。」
あまり撫でられる事は好きじゃないが、少し嬉しかった。でも、少し怒っているので、睨みつける。
「マリアが睨んでも怖くないよ。逆に可愛い。」
微笑みながら頭をまた撫でられる。可愛いと言われたため、顔が少し赤くなっていると思う。可愛いってお世辞で言っていると分かっていても、いつも不意打ちで来る為、顔が熱くなる。
「うぅ。久々に会っていきなり弄らないでください!」
「俺が甘えられるのは、マリアだけだから許して。」
くぅ……そう言われると何も言えなくなるじゃないか!ジェード様は王子という立場で甘えられる相手が少ない。そこに私がいるのは嬉しいけど……
「しかたないですね。」
私は暫く撫でられることにした。優しく撫でてくれているのでなんだか眠くなってきた。因みに今はバスの中です。あぁ、駄目だ。おやすみなさい。私はバス出発20分で眠りについた。