4話
流石にもう教室に向かわないと、自分達の入学式に遅れてしまうため講堂を後にした。
「そう言えば、ジェード様はもうクラスを確認しましたの?」
「うん。マリアと同じA組だよ。」
「本当ですか!!初めてですわね。同じクラスになるのは!!」
ヤッター!いままでは何故かなれなかったからな。嬉しいな。やばい、にやけそう。
「じゃあ、急ごうか。」
「わかりましたわ。」
あえて冷静を保ちます。嬉しすぎて口元が緩むのを必死に隠します。「脅しておいて良かった。」と言う呟きは聞こえていません。決して聞いていませんわ。必死に口角を下げていたら、いつの間にか教室に着いてた。今頃自己紹介でもしているのでしょうか。
「失礼します。」
考えている内にジェード様は教室へ。私も慌ててその後を追います。
「失礼しますわ。」
皆静かにこちらをガン見。デジャヴ。恥ずかしいですわ。
「ああ。お帰り。お前らの席はあそこな。」
そう言って窓側の空いた席を指差す。まあ、たまたまお隣なのですね、ジェード様。当然のような顔をしていらっしゃいますよ?確信犯ですよね? とまあツッコミを入れたいのですが、ここにいるのもアレですし、座らせていただきます。
「ありがとうございます。」
そう言って、席へ向かおうとするが
「ちょっと待て。ついでに自己紹介をしろ。」
此処でですか。てかほかの皆さんは?
「後はお前らだけだ。」
心読みましたか?読みましたよね。読まないでください。とりあえず、隣にいるジェード様に助けを求める。しかし、笑顔で返される。先にしろと言う意味ですね。はい、分かります。
「でわ。私はマリア。マリア・ウォスカーですわ。先程は妹の入学式で遅れてしまい申し訳ございませんでした。」
これでいいでしょう。よく見ると小学生の時とあまりメンバーが変わっていない。
「じゃあ、次。」
面倒くさそうに言う。おい、この薄毛!ちゃんとしろ。あっ、睨まれた。聞こえているんですか。すいません。
「俺はジェード・エルシャーサス。一応この国の王子だ。……」
一応ではなく立派なですが。この後、十分くらい政治について語ります。相手は将来国を左右させるかも知れませんが、まだ中一です。あっ、ほらいまあくびをした方がいましたよ。
「それと最後に彼女は俺の婚約者です。」
そう言ったと思うと私を引き寄せる。危ない、バランスを崩しかけました。って、ちょっ、って、ええ!!
どういう状況ですか?ああーみんな見ています。注目されてます。恥ずかしいです。不意打ちは辛いです。そして、ジェード様からは言葉にしていない声が聞こえました。「近づかないで」と。やめて下さい。私、ぼっちになります。そう心の中で訴える。しかし、届いていないようで、ジェード様は満足そうな笑顔だ。