3話
小学生の入学式が始まった。初々しい1年生がクラスごとに入場して来る。アリスはにこにこと嬉しそうに満面の笑みを浮かべている。緊張という文字が欠片も見られない。流石、我が妹だ。それに比べてリフェは恥ずかしそうにはにかんでいる。
全員が入場し終わるまでもう少しだと思いながら、アリスを見ていたら、こっちに気づき、
「お姉様~!!」
大きな声で叫び手を振る。嬉しいけど、一気に視線がこっちに向き注目をあびる。恥ずかしいです。顔を赤くして、控えめに手を振る。アリスは相変わらず、笑顔だ。恥ずかしくないのかな?
「アリスちゃん、元気だね。」
「ええ。あの子らしいわ。………って、ジェード様!?」
いきなり後ろから声が聞こえ大きな声を上げてしまう。
「あ〜。だめだめ。静かにしないと。」
1年生は全員席についた様で静かになっていた。再び、注目を浴び、今度こそ穴があったら入りたいと思った。
「もう。ジェード様がいきなり声を掛けるからですわ。また変な注目を浴びてしまったわ。」
いつの間にか隣の席に移動していたジェードに小声で文句を言う。
「ごめんね。でも、ほんとに俺のことに気付かなかったよね。」
って事は、随分前からここにいたのだろうか?
「いつからいらしたのですか?」
確か、講堂に入る前に別れたはずだけど……。
「1年生達の入場が始まったあたりかな。」
結構始めのほうですね。はい。
「でも、今は中学生は入学式の準備とかしていて、こちらにはこれないのでは?」
「だったら、マリアはなんでここにいる?」
「私はもちろん先生方に許可を貰いましたわ。」
まあ、普通は許可なんてでないんだけどね。特別に貰ってきた。
「俺も同じだよ。」
でもジェード様はここに来る理由がないような気がするんですけど。と思うが、流石にないなと思い言わなかった。