EX第16話「疾走する草とマイペースなカバと」
【睡眠時間】
人それぞれ個人差があるので絶対ではありませんが、最近6時間半睡眠がいいと言われているのはご存知でしょうか?
よく眠り過ぎは疲れるとかいいますが、これくらいが丁度いいとのことです。
まあ花粉症で深く眠れない時は当てはまらないでしょうが、もしこれを読んで興味を持たれたら一つ試されてみるのもいいと思います。
こちらは、あくまでも一説ですので、その事を念頭に置いてください。
異世界生活15日目。
始めに今日から1週間の予定を立てる事にした。
予定を立てるのは重要だ。
今週から新しく住民とのコミュニケーション日と島での活動を始めようと思い予定に入れてみた。
出来たのは以下のとおりだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
今週の予定
15日目……探索
16日目……住人とのコミュニケーション日
17日目……開拓
18日目……休養日
19日目……探索
20日目……島での活動
21日目……休養日(島で休日)
◆◇◆◇◆◇◆◇
うん。 なかなかバラエティに富んできた感じだ。
そしてコミュニケーション日の次の日に開拓を持ってきたのには訳がある。
この世界の住民の意見を聞いて、開拓をした方が新しい物が見つかるのではないかと考えた。
多角的視点は大切である。
とりあえず、お銀たちを呼んで今週の予定を発表する。
お銀たちの反応は上々だ。やはり島で1日を過ごせるというのは、お銀たちにとっても嬉しいみたいだ。 やっぱり愛着のある家だしね。
イツキも島で世界樹に触れ合えるのが嬉しいとの事。祖父母?にあたるエルフの森にある世界樹や兄弟?にあたる北区のモミの木の世界樹にも連れて行ってあげよう。何か感じるかも知れないし。
◆◇◆◇◆◇◆◇
と、そんな訳で今週の予定も決まった事だし、早速あちらに戻って行動開始だ。
何時も通り、一番遠くまで行った所までみんなでテレポートをする。 そこで班別に別れて行動する。
今回も俺とお銀で先を目指して駆けることに。
アラクネさん達は、いつも通り周辺の探索をお願いする。
みどらとミケは、人化の練習と、飽き足ら探索。
イツキは、この辺りの植物の調査をして貰う。
俺はお銀に跨って、ドンドン南に疾走する。風が気持ちいい。
木々が徐々に増えて行くのにつれ、トカゲさん以外にも生物が増えてきた。
少し大きめの黄緑色をしたネズミや黄緑色のウサギ、黄緑色のカマキリ、黄緑色のカンガルー。
むー。オール黄緑色だ。
カマキリは、見慣れているが、他の生物は違和感いっぱいだ。
そして時折……って、えっ……草々が疾走しているよ!
その疾走している草々だが、かなりのスピードだ。
当然、草を食べる黄緑色のウサギもまた草を追って疾走している。
草食動物のウサギがまるで肉食獣のようにみえる。
ちなみにその疾走している草は、ウサギから逃げている訳でなく、自分たちに最適な環境を探しているみたいだ。
と、言えばおわかりだろう。
草たちが、疾走しているのだ。
そう、まるで緑の絨毯が動いているみたいで壮観なのだ。
面白そうだから、少し島に持って帰りたいが、環境に何か影響がないか女神さまとこの世界の神々に聞いてみよう。影響がないなら、住んでいる島限定で育ててみたい。
そんな草たちを横目に疾走すると、大きな川が見えた。
少し休憩というか、何か面白いものがないかと思い、少し歩いてみることに。
とりあえず歩く。そして祈る。
俺の異常運よ……何か面白いものを見つけろ、と。
祈りながらテクテクと歩く。
「小太郎さま、お呼びになられましたか?」
(すみません、呼んでいません。何か面白い物が見つからないないかと祈っていただけです)
「そうですか。何かお困りの事がありましたら、お呼び下さい」
(ありがとうございます)
祈っていたら、なんと女神さまを呼んでしまったようだ。
このまま祈り続けるとこの世界の神々まで呼んでしまいそうだ。
「小太郎殿、呼ばれたか?」
バロンさんからのコールだ。祈るのを止めたのだが、既に時遅しだったようだ。
だけど、バロンさんならこの辺りの事を少し知っているかもしれないと思い聞いてみることにした。
(バロンさん、川にいるんですが、私の現在いる所に何かありませんか?)
「ふむ。 ああ、その川か。 カバ族が住んでいるぞ」
(カバ族って、あの動物園にすんでいるカバですか?)
「正確には、バグ族だが、小太郎殿にはカバ族って言った方が分かりやすいからそう言ってみた」
(……あの、カバ族って言ったら怒られませんか?)
「問題ないな。 そもそもこの世界には、カバなどおらんし、言ったところで誰もわかるまいよ」
(確かに、この世界では草が走っているくらいですからね)
「おや。 小太郎殿の世界では草は走っておらぬのか?」
(せいぜい、食虫植物くらいですかね。虫を食べる)
「なんと! 植物が虫を食べるとな。 うむ、奇っ怪な」
(え……、この世界にはないんですか? 草が走っているのに)
「いないな。 ただ植物のように地面から生えている生物はおるぞ」
(え……、それって生きていけるのですか?)
「うむ。周りの色と同化するのと雑食だから一定の数は生息しているな」
(で、抜いても大丈夫なのですか?)
「3日以内に植えれば問題ないぞ。 抜けば萎むしな。 で植えて半日くらいすると動き始めるぞ」
(繁殖の仕方は?)
「卵を放卵するな。 一回に50個くらい産むが、孵って育つのは平均3~4匹だな。 そして結構環境に敏感だから、この数千年の間ほとんど増えていないな」
よし! これは持って帰るのは止そう。
環境破壊をしてしまう可能性があるからな。
(ありがとうございました)
「ところで小太郎どの、次回のお茶会は何時は決まったか?みんな楽しみにしておるぞ」
(そうですね……13日後くらいでは?)
「少し遠いが、そこまで待つのも悪くないな。では楽しみにしている。小太郎どのの島で良かったんだよな?」
(宜しければ)
「みんなも楽しみにしている」
バロンさんとの会話が少し長かったな。
とりあえず、13日後に島に呼んで14日は、そのまま休養日に当てればいいな。
だけど先ずは、カバ族改めバグ族でも探してみるか。
「お銀、ここいらにバグ族(何かパソコンにはダメージありそうな名前だな)という種族がいるみたいだから探してみよう」
「はい。 ではこの川の周辺を走ってみますね」
「よろしく~」
20分くらいすると、カバが四本足で歩いているのを見つけた。
服は着てないな。 何といっても見た感じ野生動物だからな。
あっ……噂の生物の草を1つ食べている。
その生物の草は、50cmくらいと、想像していたより小さい。
ただ、その生物はワニである。 少し怖い。
そんなワニ草をバグ族の人が頭からムシャムシャと食べている。
何かワニ草から血がちょびっと流れているが、緑色の為か嫌悪感が湧かない。
血の色が赤なら貧血をするが、緑色だと大丈夫みたいだ。
俺も大概だな、と思う今日この頃。
とりあえず、食べているバグ族を見る。
表情がわからん。 見た感じカバだから仕方ないと言えば仕方ないね。
それにしてもあまり美味しくなさそうだな、ワニ草。
15分くらいで食べ終わって横になるバグ族。
行動が野生動物のようだ。
そーっと近付いてみる。 バグ族は気付いて俺たちをチラリと見て、そのままゴロンの姿勢だ。
まあ敵と思われていないみたいなので話しかけてみる。
「もしもし、バグ族の方ですか?」
「バグ族? 誰だソレ?」
バロンさん、話が違うじゃん!
「えっ、ではあなた方は?」
「俺たちか? 俺たちは俺たちだ」
「種族名は?」
「何だ? その種族名って?」
どうやら、種族名自体がないので、バロンさんたちがバグ族って付けたみたいですね。
そりゃ、カバ族だろうとバグ族だろうと自分たちの種族名がないのだから怒りませんね。
「そうですね。 種族とは、社会を作る能力のある人たちのことです。 私みたいな姿形をしたのを人族と言います」
「そうか。 だが俺たちには興味がない。 何とでも呼んでくれ」
「それでしたら、バグ族では?」
「それでいい。 多分他の者たちも気にしない」
「そうですか。 では一時的にバグ族としますね。 良い名前があったら言って下さい」
「ああ、わかった」
「ところで、先ほど食べていたのは?」
「あれか? 名は知らんが、腹持ちするから食べている」
「美味しいんですか?」
「食えばわかるさ。 ところで寝たいから向こうに行って静かにしてくれないか」
お銀が何か言いたそうだけど、お腹がいっぱいになったら眠たくなるのは自然の道理だ。
俺的には新しい種族が見つかって嬉しいし、何かこの応対がすごく新鮮だ。
俺がこの異世界に来てから、むやみやたらと敬われているからな。 たまにはいいもんだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
とりあえず、今日はこの辺でみんなの所に戻ることにした。
戻ると、他のみんなも戻って来ていたので、一気に拠点までテレポートすることに。
そして今日の成果は
●小太郎とお銀……バグ族との出会い、走る草を見つける
●アラクネさん……鉱山の発見
●ミケとみどら……特になし
●イツキ ……美味しい花の蜜を見つけた。
【アラクネさんたち】
鉱山の発見。
金の鉱山らしい。
何か争いごとが起きるのも困るので、無かったことに。
アラクネさんたちと、19日にでも木々を植えて隠してしまう方針で。
【イツキ】
美味しい花の蜜を見つけたらしい。
少し舐めると、唸るくらいの美味しさにびっくり!
とりあえず、少し花を拠点に持って帰って植えてみることにしよう。
温度と湿度を覚えてイツキの本体(世界樹)の下に植えることに。
◆◇◆◇◆◇◆◇
夜、拠点に戻ってあの花の蜜で紅茶を楽しむ事に。
爽やかな甘さで紅茶の格式を一つ上げている。
次回のお茶会にでも出そうと思いつつも、ホットケーキも捨てがたいと、そんな事を寝るまで延々と考えながら、今日も夜が更けていった。
お読みいただきありがとうございます。




