EX第14話「お茶会」
【あらすじ】
アルテナに他の異世界を助けて欲しいと言われて、そこに旅立った小太郎。
そこは、木人とトカゲがいて、毎日に変化がなく神々が見放した世界だった。
その地に降り立った小太郎だが、アルテナと通信出来ず。
とりあえず世界樹を植え、拠点を作ることに。
世界樹を植えた小太郎だが、ノンビリと育つのを待つほど気が長い訳でもないからこの世界の神を頼ることに。
小太郎の異常運のおかげでバロンという神と交信し、世界樹を生長させる事に成功し、この世界を探検することに。
探検中に出会った木人さんを拠点に移動させると、世界樹が斜め横に生長していた。なんと、世界樹が木人っぽくなっていたのだ。
父上と小太郎を呼ぶのは、世界樹息子であるイツキ。平然とそれを受け入れる小太郎。
神さまと約束したお茶会が迫る!
ミケとみどらは人化に励んでいる小太郎は、お茶会を楽しむ事が出来るのか!
物語は再開する。
◆◇◆◇◆◇◆◇
異世界生活13日目。
今日は、この世界の神さまとお茶会の約束になっている。
この世界の神さまは、自分も含めて5柱いるとバロンさんが言っていた。
その神さまたちは、今日のお茶会をとても楽しみにしているとの事だ。
まあ今まで、相当暇な時間を送ってきたことだし、少しは楽しんで貰いたいな。
と、そこへ……。
◆◇◆◇◆◇◆◇
(小太郎さま!小太郎さま!聞こえていますか?)
うん……何やら懐かしい声が。
「……っ。アルテナさま?」
(やっと繋がりました。アルテナです。小太郎さま、ご無事でしょうか?)
「はい。私もそうですが、みんなも元気に過ごしていますよ」
(良かったです。ところで今、小太郎さまは何をしておられるのですか?)
「今日は、この世界の神さまとのお茶会の日なんですよ」
(もう!私がこんなに一生懸命、探していたのに小太郎さまはお茶会なのですね!)
むう、少し拗ねちゃったみたいですね。
でも解決方法は知っています。
「私としては、アルテナさまもご参加された方が嬉しいのですが……」
(えっ……、私も参加いいんですか?)
「勿論です。ただ、アルテナさま。こっちに来られるですか?」
(はい。先ほど繋がった時に、位置がわかりましたので)
「でしたら、あと三時間後にお茶会が始まるのでこちらで待っていますね。私はこれから準備します」
(わかりました。三時間後ですね、ウフフ久しぶりのお茶会、楽しみです)
「では、後ほど」
(はい。小太郎さま、御機嫌よう)
ふむ。フォローは完璧だ。
アルテナさまが機嫌よく通話を切られた。
良かった。アルテナさまは、とても気性が素直な方なのでフォローしやすい。
とりあえず、三時間後までに準備を終わらせないとね。
◆◇◆◇◆◇◆◇
まずは、お茶会の人数の確認だ。
俺とお銀。お糸にアラクネさん30人。みどらとミケとイツキ。神さま5人とアルテナさまか。
あとは木人さんだけど、数に入れなくていいかな。もう今の場所で満足して動かないし。
木人さんを入れなくても50人くらいの規模、いや100人くらいの規模で会場を作った方がいいな。
まずは、お銀とお糸、アラクネさんに会場作りをお願いする。
みどらとミケは、引き続き人化の練習だ。イツキにも練習をさせよう。
まだ慣れていないからね。
その間に俺は、お茶会の料理でもするかな。
でもせっかくの機会だから、この世界の物で作ろうかな。
すっかり安住の地で寛いでいるツリーさんの所に行って、果実を貰うことに。
ツリーさんから貰った様々なフルーツがいっぱいある。
地球にもなかった始めから甘くて冷たいフルーツや温かくてちょっと酸っぱいフルーツも貰っていく。
お茶会だから、やっぱり喫茶店方式でしょ。
なら、お茶と一緒に出すのはと。
う~ん、フルーツタルトにでもしようかな。
この世界で作られた物をトッピングしてお出ししよう。
土台となる生地は、これから作るのには時間が足りないから空間収納にされている生地を出す。
暇に任せて作った生地がおよそ3000枚。
毎回、少しでも確実に技術が上がる、俺が作った生地は計5000枚ほど。
多分、俺以上の生地を作れる職人など、この世界に早々見つからないだろうという自信はある。
ちなみに神の領域までいったと過言でもないかと思っているのは、ホットケーキ。
一時、頭がオカシイんじゃないと思われる程、大量生産をしていた。
正確には、せざるをえなかった。
そう……島のイベントの時に一人で全て焼き上げたという伝説を持つ。
その伝説は、お好み焼きとタコ焼きも又持っている。
この三種類は、誰にも負けないだろう。
何と言っても、お土産含めて一日3000個作ったからな。
おっと話がずれた。
今回は、フルーツタルトと、ホットケーキを準備するつもりだ。
ホットケーキの上の果物をこの世界の特産であるツリーさんのものを使用するつもりなのだ。
とりあえず、定番のジャムでもと。
コトコト、スプーンでかき混ぜながら煮込む。
お砂糖入れて焦がさないように。
じっくり、じっくりと。
舐める、うん酸っぱい。ハチミツでも少し入れてみるか。
少し、風味付けでこのフルーツでもと。
◆◇◆◇◆◇◆◇
およそ二時間半後。
何も考えず、淡々とおよそ二百個分のジャムを作る。
ここでのポイントは、1つ1つに魂を込めないことだ。(それによって疲れにくくなる)
ひたすら自分が機械となり、精密かつ効率重視でジャムを作るのだ。
そして、そこで活きてくるのがオレのスキルだ。
作れば作るほど上達するというスキル。
料理人だったら是非とも欲しいスキルだろう。
何せ、失敗がないんだから。
魂は込めないが、味だけは保障するジャムが出来上がった。
とりあえず冷やして少し大きめの瓶を用意する。
およそ800gくらい入る瓶だ。
お銀に冷やして貰いながら瓶に詰めていく。
そう、ただひたすらに……。
会場は、サクラの世界樹が見える外にした。
少し春を思わせる、そよ風設定にしてと。
奇門遁甲スキルは、ある意味最強のおもてなしスキルである。
そして、お茶会が始まる10分前に全て準備が出来たのだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇
それを見計らったかのように神さまが降臨してきた。
空がパァーっと光ってゆっくりと降りてくる。
ふむ。スゴイ演出だが俺は知っている。
神界は、空の上にないことを。
云わば異世界みたいなモノなんだよね。
ただお銀とかは有難がっているから黙っているけど。
それにしてもサービス精神旺盛な神さま方だよな。
だからこそ、この世界に耐えられなかったんだよなと、少し納得する。
「ご機嫌よう、妾は、ヒメカ。よしなに。でこちらがサクラですか。」
一人目は、ヒメカさんという巫女服姿の美女の神さまだ。
落ち着いた雰囲気を持ちニコヤカに俺を見ている。
そしてサクラを見て目を細めている。
「私の名前は、ガッデス。今日が来るのを楽しみにしていましたよ。気持ちいいね」
二人目は、ガッデスさんという紳士っぽい神さまだ。
金髪で、物腰の柔らかく好意的な印象を受ける。
暖かな陽気を充分に満喫しているようだ。
「初めましてボクの名は、フリューゲル。君と会えるのを一日千秋の思いで待っていたよ。
これが君の住んでいる場所か。これだけでも来た意味があるね」
三人目は、フリューゲルさんという若い青年といった感じの神さまだ。
何故にここまで、楽しみにしているか不明だが、嬉しそうにニコニコしている。
そして辺りを見回して頷いている。
「こんにちわ、私の名前はリリイ。あなたに加護を」
四人目は、雪の妖精さんを大きくしたような神さまだ。
いきなり加護を授けられてびっくりした。
よく見ると、舞い散るサクラの花びらが彼女の周りをクルクル旋回している。
「小太郎くん、今日は宜しく頼む。それにしても前回は花が咲いていなかったね」
バロンさんが頭を下げる。
そんなに簡単に下げてもいいのか不思議に思う。
サクラの木を見て不思議そうな顔をしている。
で、俺は自分の周りを見てみる。
あれ?お銀もアラクネさん、いや、みどらやミケまで固まっている。
こんなにいい神さまそうなのに、そこまで緊張するのだろうか?
(↑小太郎がアルテナと神界に、ちょこちょこお呼ばれをしているので気がついていないだけ)
「小太郎さま、お誘い頂きましてありがとうございます。そして皆さんお久しぶりです」
アルテナさまも現れて、この世界の神さまに挨拶をしている。
うむ。和気藹々とした感じである。
それにしても気さくな神さま達である。
特に奇抜な格好をしたり、傲慢だったりとそんな事は一切ない。
穏やかで、それでいて温かなオーラ(←小太郎はそれで済んでいるが、実際とても神々しく普通の人ならありがた過ぎて拝まずにはいられない)を出しているので、とっつきやすい。
「では、皆さんお集まりになったので、お茶会でも始めますか」
神さまたちに、木人さん達から貰った実で作ったデザートを配る。
砂糖を入れていない紅茶と合って、神さま達は目を円くしている。
「妾が知らないだけで、木人の実はこんなに美味しかったのですか」
「本当にびっくりですよ。一度、私もこの世界を廻った方がいいかもしれませんな」
「そうですね。ボクたちは見ているだけだったから、この味を見逃したのかもしれませんね」
「このフルーツを作っている木人さんに加護を」
「いや、お茶会に来て良かった。私たちにも楽しみが出来たよ」
木人さんから貰って作ったフルーツタルトは大好評だ。
今まで退屈過ぎて見向きもしなかった神さま達が、たった1つのフルーツタルトで興味を持ってくれたからね。元々、神さま達は真面目でこの変化のない世界を気の遠くなるくらい見守ってくれたんだから、興味を持った世界だから、あと数千年は大丈夫そうだ。その間に、この世界を取り巻く環境も少しずつ改善をしていくだろう。
「それにしても、小太郎さまの作るデザートは美味しいですね。ところで、私の好きなホットケーキは無いのですか?」
「勿論ありますよ。今回は蜂蜜の他に、この世界で作ったジャムでお楽しみ下さい」
俺がホットケーキに、先ほど作ったジャムを乗せて配る。
アルテナさまは勿論のこと、以前バロンさんが来た時にお土産でホットケーキを渡したこともあり、神さま達も目を輝かす。
それにより、神々しいオーラが更に増す。結果、お銀たちが、ひれ伏すという事態が起こるのだ。
よくわからない連鎖が出来る。負の連鎖でないからいいのだが、お銀たちがゆっくり食べられないのだ。
そして、一口食べて更に輝きが……。
せっかくのお茶会だけど、お銀たちがグッタリとしているので、家に帰すことに。
お肉とケーキ類を出して家でのんびり食べるように指示を出す。
お銀たちは、頭を下げて家に戻る。
とりあえず、神さま達には色々隠しても仕方ないので、お銀たちが神さま慣れしてなくグッタリしていたから帰したと伝えると、苦笑いをしながらもう少しオブラートに包んでくれよと言われながらも頷いていた。
まあ、ちょくちょくお茶会すれば慣れますよ、と伝えると「また呼んで貰えるのですか!」と更にオーラが増した。これ以上増すと眩しいので、増さないでほしい。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その後もまったりとした雰囲気の中、お茶会が続き夕刻に近付いたのでお開きをすることに。
「久々に楽しい時を刻むことができました」
「うむ。少しこの世界に降りてみたくなったしね」
「だね。ボクも次回、小太郎くんに会うまでにお土産話でも探してくるよ」
「私も、この世界が少し好きになった。また呼んでね」
と、今回のお茶会で自分の管理しているこの世界に興味を持った神さま方。
思わぬ副産物を産んだ結果で、俺も嬉しい誤算だ。
アルテナさまも終始ニコニコしているし。
そんな感じで次回のお茶会の約束だが、なんとアルテナさま、そう俺たちの住んでいる島でやることに。どうもアルテナさまがお茶会の時に話したのがキッカケで、あの島を見てみたくなったのだそうである。元々興味があったのに加えて、今日のお茶会が楽しかったのでアルテナさまの話に食いついたらしい。
そんな訳で次回は、あっちの島だ。
今日、アルテナさまがこの位置を特定できたので、いつでも向こうとこっちを行き来出来るようになった。
そうなると、移住なんかも出来そうだ。
まあ移住じゃなくても、向こうとこっちに家を持つという贅沢も出来そうだしね。
多分、こっちの神さまも、それに関しては寛大どころか推奨すらしそうだし、アルテナさまも世界を維持する為に協力しそうだし夢が広がるな。
と、そんな感じでお茶会の幕が下りた。
ちなみにお土産に各自5個ずつ渡した手造りジャムは大層喜ばれた。
特に、雪の妖精を大きくした神さまからは、加護を通り越して寵愛を頂いたんだけど、これって何だろう?
お久しぶりです。
わらしべ長者などの前・中・後編を統合して空いた箇所に新作を入れてみました。
宜しければお読みになって下さいな。
第8話「小太郎料理中~お銀とアラクネさん~」【新稿】
第9話「帰り道~小太郎とお銀~」【新稿】
第18話「新築の家での1コマ」【新稿】
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以上の4話です。




