EX第4話「世界樹を植えて……」
最近、『プレミアム』という言葉が流行っていますね。
あと『ゴルゴ13』もです。
薬物反対にゴルゴ。ドリンクにゴルゴ。
養命酒にゴルゴ。養命酒にゴルゴって……。
バファリンプレミアム。サンテプレミアム。
プレミアム牛丼380円。プレミアムで380円。むぅ。
痛み止めにプレミアム……。目薬にプレミアム。
最近だと、付加価値を付ける為に目薬にバラの香りを付ける。
目からいい匂い?目からバラのかほり。
『現実は小説より奇なり』ですね。
どこでどう間違って奇想奇天烈な商品になってしまったのやら……。
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異世界生活3日目。
昨日の夜に、おっきなステーキを食べて満足したせいか、お銀達は朝からご機嫌だ。
朝、軽く食事をすませると、早速この辺りを探索しに行った。昨日の夕飯後にお銀達と探索の事で少し話をしたところ、この辺り20キロ圏内には、サボテンと蜥蜴くらいしか見つからなかったみたいだ。
ちなみに、その蜥蜴は体長1.5mくらいのかなり大きさだ。
ワニレベルみたいだが、その蜥蜴はサボテンを食べる草食系で、大人しい性格との事だ。
イグアナに近いものかな?
まだ俺は、実際に見てないので何とも言えないが、微妙に蜥蜴好きの俺としては、ちょっと楽しみだ。
俺は、爬虫類は結構好きだが、昆虫は苦手だ。ただし、クワガタはその例に当てはまらず。クワガタは、素晴らしいものだ。
まあ、クワガタは措いといて、この近くにはあまり生物がいないので、自宅周辺の気候を少し変えても問題ないと判断した。とりあえず、今日の夜から明日にかけて、そこらへんはやるつもりだ。
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とりあえず本日の予定は、畑作りと庭作りだ。
前述の通り、この辺りの土地は不毛だ。
何かペットを飼うとしてもただの荒地じゃ難しい。
そんな訳でここいら一帯を豊かな土壌に変えるのだ。
分かりやすく言えば、砂漠の中のオアシスのような感じにしたい。
荒野にあるオアシスのような。
ふむ。我ながら発想が素晴らしい。
……と、そんな訳でマイナスイオン溢れる豊かな地にする為の一歩に、この地を豊かな土壌にするという訳だが、昨日時間があまったので、アラクネさんに土壌を豊かにして貰った。
そんな訳で、次にここいらに大きな池を作る事にしよう。
幸い、アラクネさん達は、あっちの世界でそういう事を作ったことのあるエキスパートなので丸投げである。素人は、口を出してもろくな事にならないのだ。
そんな訳でアラクネさん達に一任して、俺は昨日植えた世界樹の木を見に行く事にした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
ふむ。
やはり一夜にして大きくなっておらず。
俺の住んでいた居た島の世界樹は、女神様の力で大きくして貰ったので、普通なら大して大きくなくて当然なのだ。
とりあえず、駄目元で女神さまに交信してみる。
むむっ。
やはり無理そうだね。
お糸でも呼んで、土魔法で生長を促進できないか試してみたいな。
……いや、この際だから、この世界の神様にお願いしてみよう。
(あの~すみません。この世界の神さま、私の呼びかけに聞こえますか?聞こえたら、ご返事ください)
ふむ。無理か……。
でも、何か大丈夫そうな気がしないでもない。
まあ、暇だし話しかけ続けてみよう。
庭の関係は、お糸とアラクネさん達に任せておけば大丈夫だろう。
(あの~お願いしたい事があるんですけど~)
暇に物を言わせて、交信を続ける事二時間。
この世界の神さまからの交信が繋がった。
皆様、お忘れかもしれないが、小太郎にとっての一番のチートは運の良さなのである。
それも異常な程の運の良さ。
ただでさえ運が良かったのに、女神様の大判振る舞いによって異常値になってしまっているのだ。
「……おや、下界を二百年振りに覗き込んでみたら、お主の声が聞こえたが妾に何か願い事があるのかな?」
(あっ、繋がりました!すみません。私、小太郎と言って違う世界から来た者ですが、世界樹の木の生長をお願いしたいのですがお力をお貸し頂けませんか?)
「ほぅ……。世界樹の木とな。確か女神アルテナ様の地にある植物と記憶していたが、もしやその植物かの?」
(アルテナ様をご存知で。私は、アルテナ様の管理をしている世界の住人です)
「……そう!!……小太郎って、あの小太郎さん!?」
(どの小太郎さんかは、知りませんが多分、あちらの世界で小太郎という名前は多分、私しかいないと思いますが)
あれ?何か急に言葉遣いが変わったぞ……。
というか、あの小太郎さんの『あの』ってどういう意味だろう?
「小太郎さんって、奇門遁甲使える?」
(はい。使えますが)
「じゃあ、あの小太郎さんに間違いなしだ♪」
(すみません。『あの』って何ですか?)
「ごめんね!私達の世界で小太郎さんって、かなり有名なのよ。でも、あの小太郎さんがこの世界に来たって事は……うん!小太郎さん、世界樹の木を生長させればいいのね?」
(はい。出来ればお願いしたいのですが)
「う~ん……。アルテナ様と同じ感じで話をしてくれたら、いいわよ」
(わかりました。お願いします)
「うん、まだちょっと硬いけどいいわ」
(どのくらいかかります?)
「そうね……。三日ってところかしら?」
(ありがとうございます)
「なら、三日後に私も見に行くわ」
(大丈夫ですか?)
「いいのよ。私も噂の世界樹を見たいもの」
(うわさ?)
「そう。小太郎さんの世界樹ってキレイってアルテナ様が言っていたのを聞いた事あるもの」
(確かにキレイですよ。なら三日後に待ってますね!)
「ふふ。久しぶりに楽しみが出来たわね。待っている間も楽しみだわ」
◆◇◆◇◆◇◆◇
ふむ。
どうにか世界樹の目途がついたな。
……ところで、さっき話した神様って誰だろう。
名前を聞ける雰囲気どころか、向こうの神さまのテンションが微妙におかしかったし……。
まあ三日後に聞けばいいか。
あと、女神さまには勝手に世界樹を植えた事を謝らないといけないだろうな。
まあ、それも会った時でいいか。
ここまで来たら勢いで、何とかしないと駄目だよな。
考えたところで、物事が好転する訳じゃないからね。
こっちもある程度、目途が立ったしアラクネさんの所にでも戻るかな。
そろそろお昼だしね。
◆◇◆◇◆◇◆◇
俺が自宅に戻っても、まだ誰もいなかった。
まだ皆さん、お仕事をしているらしい。
もう少ししたら来ると思うので、お昼ご飯を作って待つ事にした。
ふむ。
昨日の夜は、ステーキだし今日は、栄養のバランスからいって魚がいいだろう。
もっとも、もらったスキルのお陰で翌日になると全快になるのだが、やっぱり気分というのは大事だと俺は思うのだ。
少し、お銀達が悲しそうな顔もするが、お魚で決定なのだ。
とりあえず、魚を三枚におろして……と。
今日は、白身魚フライにしよう。
フライだけど、サッパリして美味しい。
あれなら、お銀達も好物だし何の問題もない。
半分くらいフライをあげたら、どうやらみんな戻ってきたみたいだ。
アラクネさん達が食器などの用意をしたら、丁度くらいにフライが完成した。
もうちょっと時間があったら、フライをストックする事を出来たのだけど仕方ない。
一緒に揚げたジャガイモを一緒に盛り付けて食べる。
素朴なジャガイモを揚げたものは、アラクネさん達の好物だ。
とても美味しそうに食べている。
そして、昼食後に先程の世界樹の話をする。
お銀やアラクネさん達は、神さまの話を聞いて俺をしきりに褒め称えていたが、みどらとミケはノンビリとお昼寝をしている。
実際、暇だったのでずーっと交信をしていただけなのに褒め称えられると微妙に居心地の悪さを感じてしまうが、彼女達にとっては本気で褒めているので何とも言えないところである。
その後、アラクネさん達の進捗情報とお銀の探索具合を聞くと、アラクネさん達は三時くらいには完了しそうとの事だったので、今日のお仕事は三時で終了するという事になった。
ちなみに俺は、やる事が特にないので、やっぱり先程の白身魚のフライを量産する事にした。
一緒にジャガイモのフライも作ろう。
そして、夕飯はマーボー豆腐にしよう!
と、そんな感じで異世界生活三日目が終わったのだが……。
あれ?こっちの世界に来て、この世界の人と誰とも会っていないぞ?
という事を寝る前に気付き、翌週からの予定に頭を悩ますのだった。
お読み頂きありがとうございます。
3話くらいの番外編の予定だったのですが、予想以上に話が進まず第2部のようになってしまっているのがただいまの現状です。
番外編ってコワイですね。




