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異世界の天気予報士「明日、天気になーれ」  作者: 藤崎日向
ちょこっと一息【その3】
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閑話「 ラミア 」

 私達の一族は、森に住んでいました。


 森の奥深くに自然と共存した生活をいにしえよりしていました。


 ところが数年前に、この世界を揺るがすような旱魃に襲われました。


 旱魃から半年後くらいに、雨が降ったが、木々へのダメージは深刻でした。


 あの慈雨により、一時的に森も持ち直したかのように思ったが、知らない間に内側から木がやられてしまったようです。


 旱魃後直ぐに回復魔法か、木を治療すればよかったのですが、私達は、大丈夫と高をくくってしいました。


 その結果、しばらくすると、木々というか森自体が枯れ始めたのです。


 焦った私達は、一生懸命に木を治療しました。


 回復魔法も倒れるまで毎日かけました。


 ただ、その時には全てが手遅れだったのです。


 森がなくなってしまう…


 そんな絶望していた時に、ある人物がやって来ました。


 私達の敬愛するべき人物となる小太郎様です。お供のお銀様とお糸様。それにアラクネのお姉様方。


 小太郎様は、小さなドラゴンを頭に載せ、ケルベロスを引いてというか、ケルベロスに引っ張って貰いながらやって来られました。


 正直、初めに会った時には、逃げ出そうかと思いました。


 小太郎様の存在というかパーティの組み合わせの何もかもが非日常的過ぎたからです。


 私というか私達は、情けないくらいにオタオタと動揺しました。


 その私達を動揺させた小太郎様でしたが、私達に向かって優しくニッコリ微笑むと、ほとんど枯れていた木に向かって歩きだされ、そして触れられました。


 すると、木に淡い光が灯ったかと見えたら蘇えったのです。


 一気に葉が多い茂るという訳ではないのですが、確かに木の力強い息吹が感じられました。


 あれ程、私達が手を尽くしていたのにもかかわらずに枯れていっていた木が小太郎様が触れただけで蘇えられてしまったのです。


 まるで白昼夢を見ているようでした。


 小太郎様が木を触れて歩く度に奇跡が増えていきました。


 その時には、他の者達も様子を見に来ましたが、この光景を目の当たりにして言葉が出ないようでした。


 そのうちに、他の仲間が地面に頭をつけ拝み始めました。


 次々と地面に頭を擦りつけ拝み出す仲間達。


 私も、知らない間に泣きながら地面に頭を擦りつけ拝んでいました。


 小太郎様達は、三日程滞在されて森を元気にするとアラクネのお姉様に聞きました。

 

 そして、明日にでも森からまた旅に出るとの話を聞いたのです。


 私は、その話を聞いて心が揺れました。


 この方達について行きたい。


 恋慕とかそういうようなものではありません。


 もっと大きなものです。


 その気持ちは私だけでなく、私達の一族も同じ考えのようでした。


 遥か昔より、慣れ親しんで先祖の魂が眠る土地を離れてしまうという普通ではあり得ない暴挙のような考えと思われますが、私達は迷うことなくついて行きたいという意見で一致していていたのです。


 私達が小太郎様に懇願すると、小太郎様は島を所有されているから移って来たらいいとの有り難い言葉を頂きました。


 そして小太郎様の統治されている島に私達は移り住みました。


 そこは、色々な世界樹が植えてあるこの世の楽園だったのです!!


 木々は多い茂り、動物達も豊富で、様々な種族の方が種族の壁を乗り越え、皆が協力して生活を謳歌しています。


 私達の一族も色々な方々に助けられながら、自分達の住処を持つ事が出来ました。


 それは、とても優しい事でした。


 そして、私も次に引っ越された方に精一杯お手伝いしようと心に誓いました。


 毎日、楽しくも充実した生活を送っていますと、ドワーフの方達が、新しく出来たという日本酒?というお酒を私達にお裾分けと言って持ってきてくれました。


 私達、ラミアは、体温の調節をするのが難しい種族だったので、お酒はよく飲んでいました。


 ただ、こちらに来てからは、暖かい所で生活して居た為かお酒を飲む事が少なくなりました。


 お酒好きのドワーフさんからのお酒という事で、どのようなお酒なのでしょう?皆のテンションが少し上がりました。


 きっと美味しい物に違いないと…


 その考えが甘かったのです。


 切れのあるすっきりとした日本酒を飲んだ途端、私達は日本酒の虜になってしまったのです。


 今までは、体温をあげる為に飲んでいた飲み物でしたけど、今は全く違います。


 なんと素晴らしい味。


 ドワーフさんは、端麗辛口と言いました。


 よく意味がわからないけど、本能でわかった気がします。


 その後、ドワーフさん(日本酒)達に危機が訪れました。


 私達は、小太郎様に毎日のように日本酒造りを止めさせないでと嘆願に行きました。


 その結果、日本酒(ドワーフさん達)の命が助かりました。


 あっ…、本音と建前が逆になってしまいましたね。


 それからしばらく時が経って、小太郎様の主催されるお見合いパーティというものが開かれました。


 もちろん、私達の一族は全員参加しました。


 小太郎様のやる事に間違いがないと思いますし、私達も乙女なのですから一度くらいは結婚したいから。


 その結果は、皆結婚できました。


 私達は、成人すると寿命がくるまで同じ姿をする種族ですから齢二百歳のおば…イタっでも結婚出来たのです。


 ちなみに平均寿命は、三百歳だからお相手の人間の方でも問題なしです。


 私も人間のお方なので、少し心配でしたが女神様の加護でお相手も同じ年齢まで生きられるそうです。


 ただ、卵は三つまでしか産めなくなってしまいましたが、お相手の方とず~っといられるので問題ありません!!


 今、私はとても幸せです♪






 追記


 最近、晩酌なるものを覚えました。


 お風呂あがりに旦那様と飲むお酒は、格別です。

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