第55話「 日本酒が完成しました! 」
胃薬-その2-
食欲不振や飲みすぎ・食べ過ぎの胃薬は粉末のものがおすすめです。
それは、味が大きく関与するからです。
苦味や香りによって胃を動かすからですね。
あまり美味しくありませんが、お薬と思って割り切って服用して下さい。
市販薬って値段が結構しますので、より効率的に効いたほうが良いに決まっていますもんね。
ただ稀にあまりの苦さにリバースしてしまう人もいるみたいですけどね。
前話のあらすじ
2年半経過して新たな住人が増えた。
ドワーフの親父達は、まだ日本酒造りに没頭中 … 。
▼ そしてさらに1年半が経過した ▼
とうとう俺の舌を唸らせる日本酒が完成した。
ちなみに焼酎は1年半前に。 泡盛は1年前に出来て現在、熟成させている。
日本酒を造り上げたドワーフの親父達は涙を流して喜んでいる。
それもそのはず、日本酒造りに費やした時間は丸4年。
来る日も来る日も、研究してやっと満足の出来るお酒が出来たのだから男泣きをしても仕方ないと思う。
その俺が感慨にふけっているのをある声が壊した。
その声の発端主は、ドワーフの長老だ。
「よし!そしたら地域毎にわかれて、地酒とやらを作るぞ!」
「「「おぉぉーーーー」」」
「いや、ちょっと待てーーー」
流石に俺も止めるぞ。
あんたら、鍛冶の仕事をどうするつもりなんだ!!
頭にきた俺は、ここから滔々(とうとう)とドワーフの親父達に1ヶ月にわたりお説教をした。
しかも、1日8時間のロングコースだ。(昼休憩40分ありの他に1時間毎に5分のトイレ休憩あり)
お説教の主な内容は
今まで仕事もせずに4年間もお酒を造っていた事。
4年間も奥さんや子ども達を顧みずにお酒造りに没頭していた事。
毎日、俺にお酒を飲ませ続けた事。
俺はドワーフの奥さんや子ども達1人1人の事前というか、今までに旦那に対しての苦情を事細やかに聞いていたので、ここで発表兼吊るし上げである。
自分じゃないとホッとした顔をした人を見たら、さらに10分延長する。
初めの頃は、12時間お説教というのも珍しくなかったが、最後の辺りは正座して真摯に受け止めてくれていた。
そうそう、当たり前というか勿論というか1ヶ月間禁酒である。
初めの1週間は禁酒生活で苦しんでいたが、それを通り越して1ヶ月もすると世俗の垢が抜け落ち立派なお坊さんになった。
奥さんや子ども達も久しぶりにあったドワーフの親父達を見て驚いていた。
ドワーフの親父達に会う5分くらい前までは、ドワーフの親父達に会ったらガツンと文句を言ってやろう的な雰囲気を醸し出していたが、会った瞬間、出た言葉は「お父さん、大丈夫?」である。
文句どころか嫌味の一言も言えずに出た言葉は気遣いの言葉だ。
元々ドワーフさん達は、精悍とか勢いのある男達だったが、1ヶ月の説教タイム後のドワーフの親父達は、何かを悟ったお坊さんだ。 もの静かで落ち着いた所作、完璧である。
ちなみに、このお坊さん状態から抜け出したのは3年かかったらしい。 そして、あの大好きなお酒ですらも1年ほど飲まなかったとの事だ。
ただ、お酒の管理は忘れないあたりにドワーフたる所以がある。
ただ肝臓もゆっくり休めて健康にも良かったので万々歳だろう。 この休肝日によってドワーフの親父達の寿命が今までの平均寿命に比べて30年ほど長かったとか。
そして、その時に作った作品は、今まで作ったドワーフさん達の物と違って静謐感のある作品だったとか、どうやら新しい扉を開いたようだ。
まさに塞翁が馬である。
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で、俺達だがこの1年半の間は、島の発展に重きをおいた。
その一番の大きな作業は、石畳の道路を作った事だ。
これによって、人や物の移動がスムーズになったのと、何より皆が気軽に旅に行けるようになった。
そして現在、新たに計画進行しているのが、島の観光名所作りとその地域特産物を作るという事である。
俺にとってお土産は大事である。 さらには数量限定品等も作っていきたい。
半分、趣味も入っている。
ただ地酒作りに関してだけは、もうちょっとしてからだ。
この事を各地域の代表者の前で熱く語ったところ、面白い事が好きな代表者達はすんなりと受け入れられ、早速この件を自分達の地域に持ち帰って考えてくると頼もしい言葉を頂いた。
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そういえば最近、森に放った動物達が増えてきたようで、道路を作っている時にも可愛い動物達がちょこちょこ姿が見うけられたりして、心が和んだ。
それに加え、以前、植えた木なども順調というか結構なスピードで生長している。
やっぱり世界樹が島のあちこちにあると木の育つのも早いんだと感心した。
他には、俺の飼っている鶏さんが増えてきたので、妖精さん達に「鶏を飼ってみる?」と聞いてみると「えっ!本当にいいんですか?お願いします」とノリノリの返事だったので、分けする事にしたら、その事を他の地域の人達にも広まって結構な数をお分けする事になった。
その結果、雛だけで足りずに親の鶏まで渡す事になってしまい、朝の卵料理が3日に1回になるという事態になってしまった。
鶏の雛をあげた皆さんは、大切に育てて、大きくなったら卵を産んで貰うんだと頑張って育てている。
親の鶏を飼っている人もしばらく増やす事にすると張り切っている。
その中でも特に鶏の成育に鼻息が荒いのは、妖精さん達であり、鶏のエサにまで凝っている。 ちなみに合言葉は、『自分達の納得出来るプリンを作ろう!』である。
何かデジャヴを感じるのは俺だけだろうか?
そして当然、森や土の妖精さん達だけでなく雪の妖精さんの所にも雛がいる。
雪の妖精さん達に
「卵なら、分けてあげるよ」
「いえ、私も卵の生産からプリンを作るのに携わるんです」
いったいどこの職人さん?ってレベルである。
そういえば、鶏の件の時に俺に小学校の校庭くらいの場所を18℃くらいに設定を頼まれて、現在は鶏のエサとなる植物とデザートを作る為の果物を作っている。
この子達は、何を目指しているんだろう?
気になったので聞いてみたところ … パティシエでした。
そうそう、雪の妖精さん達が住む予定のお城は、現在建築中だ。
もう少しで完成すると言ってた。
この間、観光名所やお土産のお話した時に1番最初に同意したのは雪の妖精さんだったな。
まあ、妖精さんがケーキ屋を経営するのは、異世界ファンタジーとしては有りだな。
王道と言っていいかもね。
雪の妖精さん達が、頑張って働いているその光景を是非見てみたいな。
そんな訳で、手伝いが必要なら気軽に声をかけてと伝えた。
雪の妖精さん達がはにかんだ笑顔で「ありがとう」と言ったのがとても印象的だった。
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まあそのような感じで、島は独自に発展していっている。
海岸の街から移住してきたモンドさん達は、すでに畑や水田なども作って島全体の分を完全に自給自足してしまった。 それどころか最近では、お米や野菜の品種改良にまで手を広げている始末だ。
その横には、傍らで寄り添う女性が … 。 どうやらここまで頑張れる要因の一つに彼女の存在が大きいようだ。 それにしても奥さんがラミアさんになるとはね … 。 ラミアさん達は3年くらい前に30人程、移住して来たんだけどその中の1人と昨年、結婚したのだ。 (ラミアさんの移住は第54話の最後あたり)
そのモンドさんとクラリアさん(ラミアの奥さんの名前)の間には、現在産まれて1週間になる卵がある。 あと3日くらいで孵るみたいだ。 きっとコウノトリが産み落としたものだろう。
海岸の街から移住してきた子ども達も、あれから4年経った今では立派な働き手だ。
ただ俺を見る度に手を合わせて拝むのは、どうかと思う。
そうだ!神社でもこの辺りに作ってみるのもいいかもね。
女神さまを皆で拝もう!だ。
世界樹の木を御神木として、2本くらい鳥居の近くに植えたら風情があっていいかも。
神社って観光名所にもなるし。
早速、モンドさんに相談したら「すぐに取り掛かりましょう」との事だ。
ただ、今回は自分達で作りたいという事だったのでお任せした。
世界樹だけは、俺が手配したが …
後日、何故か俺まで『小太郎大明神』として祀られ、頭を抱える事になるはめになった。
ちなみに顔が神々しくというか半分以上別人になっていたのはお約束だ。
お読み頂きありがとうございます。
最近、書くスピードがさらに遅くなってきています。
朝から書いて1000文字とは…
途中書けないので、半分くらいお昼寝もしちゃいましたが…
とりあえず投稿出来て良かったです。




