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異世界の天気予報士「明日、天気になーれ」  作者: 藤崎日向
異世界へLet's Go!
4/95

第1話「あなたの力が必要です」【改稿】

宜しくお願いします。

5/2修正。

◆◇◆◇◆◇◆◇



 熱風が荒地を吹き抜けていく。

 太陽は燦々(さんさん)と照りつけ、乾いた大地に雨の降る気配は全くない。

 半年近くほとんど雨が降っていない為、大地はひび割れ、川や湖は干からびようとしていた。

 大地に生えている木々の半分以上は枯れはて、田畑はおろか生命力の強い雑草でさえ枯れていた。

 無論、その乾季で満足に食べることのできない動物たちは痩せ衰え、餓死するものも現れてきていた。



 そんな地上を見て、この世界を管理する女神アルテナは、心を痛めていた。

 だが、どんなに心を痛めてもこの状況を打破することは出来ない。

 女神アルテナがどんなに女神の力を使ってもわずかにしか、雨を降らす事が出来なかった。

 女神は嘆いた…… 自分の力の無さに……

 女神は祈った…… 少しでも雨の降るように……

 嘆いては泣き、祈っては泣いていた。



 そんな時、地球の神がその女神を見てたいへん哀れに思い声を掛けた。

 女神は泣きながら、自分の世界がこのままだと滅んでしまうと話した。

 地球の神もそれを聞いて大変同情し、ある1人の男を紹介することにした。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 地球の神が紹介する彼の名前を、由布ゆふ 小太郎こたろうという。

 決して真面目とは言えないが、性格が温厚な二十二歳の青年である。

 特に特別な特技や突出した容姿があるわけでもない。

 まあ特徴といえば彼は大の晴れ男であり多少運が良いことくらいだ。

 まず彼の出席するイベント時には、雨が降らない。

 台風や大雪などの災害時は、大抵休日で用事のない日に集中する。

 まさに悩める女神、アルテナに紹介するにうってつけの人物である。


 そんな彼は、いつも通り何事もなく1日が終わり、寝ていると変な夢をみた。

 綺麗で上品な女性が


「あなたの力が必要です。 なにとぞお力を貸して下さい」


 と涙を浮かべて懇願するという内容だ。

 普段は、すぐに忘れてしまう夢も何故かその夢に限っては鮮明に覚えている。

 ただ、1日を過ごしていくうちに、その夢のことは、頭の片隅に追いやられてしまった。


 その日も無事に1日が終わり、また寝ていると前回と同じ夢をみた。 いや前回より、ストーリーが増えたというか背景が増えたかのような……


「あなたの力が必要です。 なにとぞお力を貸して下さい」


「もうこの世界には、6ヶ月も雨が降っておりません。 このままですと稲や畑だけでなく、植物も枯れ果ててしまうでしょう。  生ける大地でなくなってしまいます」


 先日の美しい女性が訴えている。

 小太郎は、何故か畑や稲が枯れている、そして川や湖が干上がっている風景がわかる。

 あぁ……このままだと、人や動物が暮らしていけなくなるんだと漠然と感じた。



 夢の中でそんな風に感じていると目が覚めた。

 目覚めると、まだ3時だった。

 布団の中で、変な夢というか、何故あんな夢を見たのかと率直な疑問を持つ。


「むーっ」


 ……考える…………寝てた……


「そうだ! これは何かのメッセージだ!」


 俺は、ひらめいた。

 俺は実をいうと占いが趣味なのだ。

 夢占い辞典が本棚にあるのだ。 これで万事解決だ。



 結果は、そう簡単には解決しなかった。

 普通に考えて解決する筈ないに決まっている。

 深層心理があーとかどーとか……深層心理で雨が降らないで助けて欲しいとか、さっぱり意味わからん。

 まあこれ以上、気にしても仕方ないし、そろそろ仕事に行かなければ……

 今日も1日変な夢を考えながらでも無難に仕事が終わった。

 ふふふ……俺は、考え事をしててもあまり失態はしないのだよ(キラリ)



 今回は、気合を入れて寝る事は出来ないが、気分だけだが気合を入れて寝てみた。

 やっぱりというか当然の様に、気合を入れると興奮して眠れない……。

 でも大丈夫! 明日と明後日は連休だから!

 だから気合を入れて寝る! ドリンクも飲んだ! 俺の選択に間違いはない!

(ドリンクを飲むこと自体間違っている。 カフェイン配合ドリンクで興奮して当然寝付けない)

 ……あれ5時だ……なんか眠いけど寝れない……なんかマズイ……

 そんなこんなで、もう昼も過ぎて時刻は15時。

 ……まだ寝れない……

 なんか、ぼーっとしてきた。

 結局、寝たのは17時でした。 体調は最悪……

 そんな最悪の体調な中、また夢をみた。


◆◇◆◇◆◇◆◇



「あなたの力が必要です。 なにとぞお力を貸して下さい」

(拙者は眠いでござる)

「もう6ヶ月も雨が降っておりません。 このままですと稲や畑だけでなく、植物も枯れ果ててしまうでしょう。 生ける大地でなくなってしまいます」

(拙者は、精も根も尽き果てたでござる)

「この世界をどうかお助けください」

(拙者は眠いので、また明日お越しください)



◆◇◆◇◆◇◆◇



 目が覚めた。 とりあえず、まだ眠いので2度寝した。

 8時間後に目が覚めた。



「むーっ」



 寝る方法を間違った。

 ドリンクを飲んだのは失敗だった。

 あれは、寝ないで頑張るもんだ。

 やはり良い睡眠には寝る前にミルクが必要だ!

 とりあえず、スーパーに牛乳を買いに行かなくては。

 これで完璧だ。

 よし! 寝るぞ!!



 今回は、前回と違いすこぶるいい感じで眠りにつけた。

 ……で、今回も前回と同じく



「あなたの力が必要です。 なにとぞお力を貸して下さい」



 よし! 今回は、準備万端だ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



(どのような事をすればいいのですか? その前にあなたは、どちら様でしょうか?)

「失礼致しました。 こんばんわ、私はアルテナと申します。 ある世界で女神をやっている者です」

(それは、失礼しました。 ところで、その女神アルテナ様が何故、私に助けを求めるのですか?)

「今、私の世界では旱魃が発生しており、このままですと近い未来に死せる大地になってしまうでしょう」

(ふむ、夢に出てきたような事が実際におきているのですね?)

「そうです。 その為にこの状況の打破できるあなた様の力が必要なのです」

(絶対に無理です。 あなたは、私に何を期待しているんですか?)

「あなたには、天候を操る能力があります」



 ……絶対にない……あるはずがない……。

 普通の晴れ男なだけだし、天気雨にだって数少ないけど降られた事あるし……

 断ろう! 断った方がお互いの為だ!



◆◇◆◇◆◇◆◇



「こちらの世界に来てこちらの世界を救って頂けないでしょうか?」

(私に救えるものでしたら、救いたいと思いますが、その天候を操る能力って私に本当にあるのでしょうか?)

「あります! こちらの世界に来て頂けたら、すぐその能力が開花します」

(それでしたら、そちらの世界に行ってもいいのですが、今住んでいる世界はどの様になってしまうのですか?)

「大丈夫です。 その件はすでにそちらの世界の神と話がついておりますので、問題ありません」

(……もう行く事が、ほぼ決まっていたんですね……)

「いえ、あなたが了承して頂けたらとの条件付きでしたが……」



 俺がこの世界にいても大きな事は出来ないが、あちらの世界だと救われるとなると、まだあちらの世界にいた方が有意義かな……。

 それに両方の神様が俺の意思を尊重してくれたし、ここは一念発起して行くかないと男が廃るってなもんだ!



(よし! では3日準備に時間を下さい!)

「……えっとー、そこはすぐにでないんですか?」

(手ぶらで行けないし、事前に心の準備とか心の準備とか……)

「両方とも心の準備ですが……」

(軟弱ですみません)

「わかりました! しっかり心の準備をお願いします」

(……頑張ります……)



 こうして俺は、3日後に異世界に旅立つことになった。

 でも、本当に俺で大丈夫なのかねぇ……?

主人公は、女神様や目上の方には本人的に失礼のない対応をとっているつもりです。(たまに素がでますが……)

基本的な口調はくだけた感じです。

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