第19話「獣人の村に行こう!」【改稿】
浅草橋にあるシモジマって行った事ありますか?
あそこには、魅惑的な物がいっぱいあります。
あそこに行くと、つい頭がおかしくなってしまうのです。
先日もアヒルの人形50個入りを買ってしまいました。
あれって普通は何に使うんでしょう?
確かお腹を押すと「ぴゅ~」って鳴きます。
家に帰って、まだ開封せずにあります……
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◆◇◆◇◆◇◆◇
小太郎は、この世界をもっと知る為に旅という方法も悪くないなと思った。
早速お銀に相談すると、
「さすが小太郎様です。 すぐ準備をします」
と行って、お糸たちに伝えに行った。
お糸たちも一緒に行きたそうだったが、3日に1度は帰ってお腹に回復魔法をかけると伝えると、残念そうな顔をしながらも
『いってらっしゃいませ』
と送り出してくれた。
まず一番遠出したエルフの里まで一気にテレポートで移動する。
そして、エルフの里から一番近い街に向かう事にする。
エルフの里に行くと、守衛さんが居たので、ここから近い街を聞くと、
「それでしたら、ここから西に向かって4時間ほど歩いた所に獣人の村がありますよ」
「獣人ですか!! 本当に獣人さんがいるんですか?」
俺が喰いつきそうな勢いで聞くと、守衛さんが引きながらも、
「ええ、いらっしゃいますよ。 ただ、人間とはあまり良好な関係でないので、宜しければ紹介状でもご用意致しましょうか?」
「えっ、いいんですか?」
「ちょっと待ってください。 里の長に書いて貰ってきますので」
と、里の長の所までその紹介状を貰いに行ってくれた。
俺は、あまりの丁寧な対応を不思議に思い、お銀に
「ねぇ、お銀。 エルフの人達ってこんなに親切な人ばかりなの? 俺の住んでいた世界では、少し高飛車なイメージがあったんだけど?」
と聞くと、お銀が、
「普通の人間たちには、このような対応は致しません。 この里の者達は、小太郎様の偉大さを知っているからこの様な対応をされているのです」
あぁ……聞いた俺が馬鹿だった。
それにしても、このお銀の俺に対しての人物像はいったいどうなっているのかその辺を1度ゆっくりと聞いてみたい。
すると、守衛さんとエルフの長がやって来て、
「小太郎様は、我らにとって神ともいえるお方。 紹介状の1枚や2枚造作のないことです」
今回もこのパターンなの!? 俺だけが間違っているの?
おかしいなぁ……知力999の筈なんだけど、全然だめじゃん!
まあこれで、獣人と会えるのだ。
それにしても、エルフの長って暇なのかな。わざわざここまで来て。
とりあえず、エルフの長と守衛さんにお礼を言って、西にあるという獣人の街に行くことにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
エルフの里を出ると、お銀に何時もの如くお願いをする。
「お銀悪いけど、西の村の近くまで乗せてくれない?」
「畏まりました。 ただ、移動中は危ないですので、しっかり掴まっていてください」
と言われたので、お銀の背中で遠慮なくモフモフをさせて貰った。
お銀にモフモフすることおよそ20分。
獣人のいる西の村に着いた。
獣人の村に着くと、ガタイのいい虎の獣人さんが門を守っていた。
虎の獣人さんは、身長2mくらいで、顔は虎そのもの。 なかなかワイルドで格好いい!!
手には、木の棒を持っていて、あちこちにキズの付いた皮の胸あてを着けている。
お銀と一緒に近くまで行くと、
「お前たちは、何者だ! ここは、人間が来る場所でない!」
と言って来たので、エルフの長から貰った紹介状を出そうとする前に、横からお銀が、
「控えろ、馬鹿者めがっ! 我は神獣フェンリルなるぞ! しかも一緒におられるお方は、小太郎様だ!」
お銀、その説明だとお銀の事はわかるけど、俺の事は全くわからないぞ……。
まずお銀がフェンリルであるのは、分かる。
問題は、次だ。
何者と聞かれて、小太郎様って言われても普通に考えて、わからないだろ……。
しかも控えろって……。
どっかの副将軍じゃあるまいし、俺に控えてどうするんだよ……。
あぁ……どっかに胃薬ないかね……。
俺が心の中で、いろいろ突っ込んでいると、虎の獣人さんが
「ははっー!!」
と控えていた。 えーー! おかしいだろ!
「神獣様とは、知らずにご無礼を……」
すげー! 土下座してるよ。
あのガタイのいい虎の獣人さんがさ!
ってか、こっちの世界にも土下座があるのが驚きだよ。
俺はてっきり日本特有の文化だと思っていたよ。
……で、その怒っているお銀と云うと、
「私なんてどうでもいい! お前が無礼を働いたのはこちらにおわす、小太郎様だぞ!!」
お銀が興奮して銀の毛が逆立っている。
こんなお銀を見たのは初めてだ。
あぁ……虎の獣人さんも困っている。
そりゃ、小太郎様って言われても聞いたことがないと思うし……。
仕方ないので、間に入る事にした。
「お銀、落ち着きなさい。 それと守衛さん、エルフの里の長から紹介状を貰ってきたんだけど」
「ですが……」
「俺なら大丈夫だから」
「はい……」
……で、俺が虎の獣人さんに紹介状を渡す。
虎の獣人さんは、エルフの長からの紹介状を見てびっくりしている。
「申し訳ありませんが、すぐに村長の所に紹介状を持って行きますので少しお待ち頂けないでしょうか」
と、先程とは違い丁寧な口調で話したかと思うと、すごい勢いで走っていった。
それから五分もしない内に、先程の虎の獣人さんとそれより、一回り大きいやっぱり虎の獣人さんがすごい勢いでやって来て俺に向かって跪いていた。
「エルフの長から貰った手紙を読みました。 私は、この街の長をしているレーシアと申します。
あなた様が世界樹を治されたと書かれており、くれぐれも丁重におもてなしして下さいとありました。 そして、お傍にいらっしゃるのは、神獣フェンリル様ですね。 守衛が知らぬこととはいえ、大変無礼を働きました、申し訳ありません」
「大変、申し訳ありません」
と先程の守衛さんも俺に謝っていた。
「いえ。 守衛さんは、自分の仕事をされていただけですから、そんなに畏まらないで下さい」
そして、お銀も先ほどの怒りがだいぶ収まったとみえ、
「小太郎様が許されたので、今回の無礼は見逃しましょう」
と言っていた。
村長のレーシアさんが、
「ありがとうございます。 何もない村ですがどうぞお入り下さい」
と入る事を許可してくれた。 ……というか、村長自ら案内する気満々だ。
あなた、村長さんなのだから自分の仕事あるんじゃないの?
俺が心で突っ込みをいれていると、そうとは知らない村長が、
「まずは、私の家に案内致します。 何もありませんが、お食事くらいはご用意できますので是非お立ち寄りください」
と言ったので、まあ断わるのも何なんだし、甘えることにした。
ところで『お銀に何でさっきはあんなに怒ったの?』と聞いたところ、
「獣人は、私を崇拝する者が多いのです。 その獣人が、私が崇拝する人を貶したのだから当然です」
と言っていた。
まあ、確かに神獣と獣人は似ているところがあるからね。
◆◇◆◇◆◇◆◇
村長さんに案内され、彼の自宅へとのんびり歩いている。
その道中、歩いていて気が付いたのだが、どうも獣人さんだけの村と思っていたが人間の姿もちらほら見かける。
獣人さんにも、ほぼ全身が獣・半分くらい獣・耳と尻尾のみ獣みたいな感じである。
俺的というか世間的に馴染みのあるには最後の耳と尻尾獣人だ。
……でもあれだ。 美少女ならいいが、おっさんなら全身獣人であって欲しい。
それと村の様子だが、やはり旱魃の影響からか、畑の実りが良くない。
でも本当にそれだけだろうか? きちんと肥料とかをあげているのだろうか?
それとなく、お銀に聞いてみる。
「肥料ってなんですか?」
「俺が、『呪われた山』で土を取ってきただろ?」
「あれを肥料って言うんですね!さすが小太郎様です」
うむ。 あまり良く分かっていなさそうだ。
とりあえずお銀には畑を元気にする物と言ったら、ようやく納得して貰った。
「普通は、どうやって畑を元気にさせるんだい?」
「土魔法を使います」
「なら何で、この村は土魔法で元気にしないの?」
「獣人は、魔法がほとんど使えません。 種族的に魔法が向かないのでしょうね」
とのことだった。
あれ? お糸達たちいるんだから土魔法が使えるはず……なら俺のやった作業は……? 俺とお銀がそのような会話をしてチョッと凹んでいると、村人から
「あちらにいらっしゃるのは、神獣様かしら?」
「では、傍らに一緒にいる人間はどなた?」
と、そんな声が聞こえてくる。
村長さんが、
「お前達、こちらにいらっしゃるには、世界樹を救って下さった小太郎様と、神獣様だぞ。 くれぐれも粗略に扱わないようにな」
と、言うと村民から
「あの方が枯れそうな世界樹を救って下さった人か」
「神獣様を従えているのは伊達じゃないな」
「あの方がエルフの人が、崇拝すると噂の人間様か」
と、先程よりザワメキが大きくなった。
あぁ……ここでも目立ってしまっている。
まあいいか。 別に悪目立ちしている訳ではないのだ。
せっかくなので、この状況を上手に活用していこうと思う。
◆◇◆◇◆◇◆◇
門から歩いて20分くらいした所に村長さんの自宅があった。
自宅は、小高い丘に建っており、村全体を見回す事が出来る。
それにしても、ここから門まで往復5分ちょっとって獣人の身体能力はすごいとしか言いようがない。
「さあどうぞ、こちらへ」
村長さんが居間へ案内してくれる。
家の中をみると、人の気配がしない。
「お1人ですか?」
「家内と娘は今、外で麦の収穫をしているんですよ」
「村長さんの家族まで、農作業をされているんですか?」
「ここは小さな村ですので、村長といってもあまり他の村人と変わりませんよ」
「昨日も、他の者たちと狩りに行きましたしね」
と、村長さんは家の奥に行き、
「あった。 この毛皮のやつも先週仕留めた物なんですよ」
と狩ってきた熊の毛皮を見せてくれた。
「おお! これは立派な毛皮ですね!」
「よろしければ、差し上げましょうか?」
「いえ、このような素晴らしい毛皮なんて受け取れませんよ」
と断わったが、結局押し切られて頂く事になった。
あとで特製のシーツを作って貰ってプレゼントしよう。
お糸たちには、お腹に回復魔法の丁寧版をしてあげればいいかな?
しばらく狩りの話をして、現在の村の話になった。
◆◇◆◇◆◇◆◇
この村は、150年前までは『呪われた山』の近くにあったのだそうだ。
現在居る住民達は、150年前に一緒に住んでいた子孫なのだそうだ。
ちなみに、150年前も獣人の村と言っても獣人だけだった訳じゃない。 一部人間もいる。
で、獣人のハーフが、簡単に言うと半分獣人。
獣人の血が1/4だとアキバ系のような感じだ。
半分獣人が一番想像がつかないと思うが、猿の惑星の猿人をずっと可愛くした感じかな。
ちなみに、この村は虎さんの村だ。 他の獣人さんはいないようだ。
当時は山の恩恵を受け、今の生活よりずっと豊かなだったらしい。
ただ人間達が黄金の伝説を真に受け、戦が始まりこの周辺に住んでいたエルフや獣人が多数亡くなった。 特に被害が多かったのは、獣人の村で当時500人くらいいた人口の6割が犠牲になったとの事だ。
そして現在も、この厳しい環境下で人口が減っており今では150人程度になってしまったのだという。
◆◇◆◇◆◇◆◇
むー。
俺が『呪われた山』を浄化したので、元の地へ戻って生活しても大丈夫ですよ。 と言っても、獣人さんの過去の話を聞くと戻って生活するとは考えにくい。
いくら浄化して大丈夫でも過去に大勢の獣人さんが亡くなっているのだから、忌避したいだろうな。
でも、とりあえず報告だけはした方がいいだろう。
村長さんに
「あちらの呪われた山ですが、私が亡くなった方の魂を成仏させましたよ」
「本当ですか! 私の祖父も亡くなったのです。 祖母や両親も亡くなるまで、その事を気に病んでいました。 ありがとうございます。 後ほど、村の連中にも伝えたいと思います。 本当にありがとうございます」
と俺の手を握って何度もお礼を言った。
戦争の傷痕は、どこも一緒なんだな。
ちょうどその話が終わった頃、家の外から
『ただいまー』
と言う声がして、人が入ってくる気配がした。
「あれ? お客様?」
「こら! 失礼しました。 おや、人族の方がお客様とは珍しいですね。 それに神獣フェンリル様!……これは、とんだ粗相を……!」
と2人の女性が入ってきてアワワ、あわわと何かやっているが、俺はそれどころではなかった。
何故かって? それは2人とも全身獣人だからだ!!
何故だ!! 何故に俺の強運そこで働かない!!
俺はポーカーフェイスで表情に出さなかったものの、心で泣いていた。
そうとは、知らないお銀が
「そちらにいる娘の毛並みは、なかなかいいですね」
と毛並みを褒めていた。
娘の毛並みを褒められた村長一家は、大喜びだ。
俺と他の全員との温度差は広がるばかりだ。
奥さんと娘さんを紹介された。
奥さんが『ファリ』で、娘さんが『ルナ』という名前だ。
15年ほど前に結婚され、翌年にルナが生まれたそうだ。
ちなみに俺がこの人達を見ても、年齢がよくわからない。
そして、奥さんと娘さんの区別すらよく分からない。
判別の仕方は、ちょっと身体の大きいほうが奥さん、小さい方が娘さん。
今度、お銀にぱっと見ただけで年齢がわかる方法と、美人かどうかの区別の仕方を教えてもらおう。
それまでは仕方ないので、しばらくは服装で見分けることにしよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
奥さんと娘さんが戻って来たので、みんなで食事をすることになった。
メニューは、先週仕留めた熊のステーキとのことだ。
お肉は、すぐに食べるより少し寝かせて熟成させた方が美味しいとのことで一週間ほど寝かせたものらしい。
俺はそこら辺は良く分からないが、頂いた熊のステーキは絶品だった。
お銀も美味しそうに食べていた。
食事も終わってので、お礼を言って村の見学をさせてもらえないか? と聞いた所、快く承諾して貰った。
そんな訳で現在、お銀と村の中を散策をしている。
はじめ村長さんも一緒に来てまわると言っていたが、ゆっくり見たかったので、丁重にお断りした。
それに村長さん一緒にいると、村人さんたちが落ち着かないしね!
村を歩いていると、村人さんたちが畑で仕事をしている。
俺は、てっきり虎の獣人さんだから、肉ばかり食べているイメージがあり、毎日狩猟! と思っていたが、村長さん宅の奥さんや娘さんも農作業のお手伝いをしているように、この村では農業がかなり大きな割合を占めているようだ。
だが、その肝心の畑は元気がない。 まあ、元気にする方法は簡単だ。
お糸たちに頼んで村の畑を元気にさせる。
ただ俺は一時的に元気になるより俺の住んでいる島へ移住して欲しいな。
虎さんたちが俺の住んでいる島へ移住してくれると、異世界感が跳ね上がる!
とりあえず、1度お銀やお糸達と相談してOKだったら、村長さんに話してみよう。
◆◇◆◇◆◇◆◇
俺たちは、村を散策しつつ病気や怪我でお悩みの獣人をサクサク治していった。
なんか元気がなかったので、一応全員に回復魔法をかけてあげよう! ということで、出会った人たち全員に回復魔法をかけてあげた。
お糸たちを仲間してから、ほぼ毎日といっていいほど回復魔法をかけてあげているせいか、回復魔法の活用が分かってきた。
今では、病気だけでなく、身体の気を整えたり、補充してあげたりと色々出来るようになってきた。
しかも150人に魔法をかけても、全然大丈夫だ。
なんか村人さん達から熱い眼差しを受けている気がするが、スルーしよう。
お銀にも回復魔法をかけてあげよう。
それにしても、どうもこの世界では医学の部分が大分遅れているようだ。
あのエルフですら、思った程ではない。
エルフの里でも、俺が治療して回ったくらいなのだから。
(↑ちなみにエルフも回復魔法は使えるが、小太郎のレベルは神レベル。 寿命でなければ、絶対に治る。 例えどんな病気でも。 エルフの里で、苦しんでいた人は、手の施しようもなかった人である。 それを治した事もあり、小太郎を崇拝する一因になっていたりする)
これは、魔法による弊害なのだろうか?
まあ、俺も回復魔法で治しちゃうんだけどね♪
そんな感じで、全員を治療し終えたので村長さん宅へ戻ってきた。
そういえば、村長さん一家に回復魔法をかけてあげていなかったから、かけてあげる。
「これは、すごいものですな! 古傷で腕が少し痺れていたのが取れましたよ」
「あら、私の毛並みが10年前に戻ったようですわ♪」
「元気になったから、外に出掛けていい?」
どうやら、評価は上々のようだ。
村長さんに1度島に戻る事を伝えたら、すごく落ち込んでいた。
また、すぐに来る事を約束して島に戻ることにした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
お糸たちには、3日後くらいと伝えたがその日に戻ることになった。
とりあえず、今日の出来事を話しておかないとな。
ちなみに夕飯は、村長さんのとこでお土産に熊のお肉やら猪のお肉を頂いた。
今日は、ステーキ祭りだ! みんな、とても美味しそうに食べていた。
特にお銀がね!
お読み頂きありがとうございます。




