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異世界の天気予報士「明日、天気になーれ」  作者: 藤崎日向
はじめての異世界。
12/95

第9話「帰り道~小太郎とお銀~」【新稿】

肩こりの人におすすめ!

冬場は肩が凝りやすいので、シャツの上から『貼るカイロ』をするといいですよ。

肌に直接貼るシップなどと違って、かぶれませんし安いし。

ただ、寝る前には取ってくださいね。

低温ヤケドをする恐れがあるので……

では、本文をどうぞ。

5/3修正

 街から帰る小太郎。

 始めテレポートで帰る予定だったが、新たな仲間のアラクネさん達と少し慣れるというか、親しみを持つ為にノンビリと歩いて帰ることにした。 時間だけは、いっぱいあるから問題ないしね。 それにアラクネさん達が俺とお銀にお対して緊張をして上手く話せていないからだ。

 特に厳しいことを言っていないのだが、どうも緊張させちゃっているみたいだ。 お銀に



「なあ、お銀。 アラクネさん達、なんか俺とお銀に対して緊張をしてない?」

「そうですね。 少し緊張をしていますね」

「そうだよね。 やっぱりお銀も感じるかい?」

「はい。 アラクネたちが申すには、小太郎さまのような方と今後一緒に暮らすとなると、幸せであると同時に自分たちもその高みに到達出来るか不安を感じているとのことです」

「えぇ!! 緊張の原因って俺なの?」

「私などは、既に眷属としての一員。 同じ仕える身としては、先達にあたるだけ。 多少、話すときにどもったりすることはありますが、それも徐々になくなりつつあります」

「そういえば、お銀。 俺のことを誇大化して話していない?」

「そのような事は決して。 ただ小太郎さまの素晴らしさを全て伝えきれているか不安に思うことがあります。 なにせ私も、まだ小太郎さまとお会いして数日しか経っておられぬので」

「……」



 これか! どうりでアラクネさん達が俺を畏敬の念で見ていたのか。

 お銀は、神獣って言われるだけあって、人だけでなく魔物にまで崇められる存在だ。

 その神獣が俺を崇めているんだから緊張もするわな。 そしてこの話し方だと、お糸たちにどんな風に俺という存在を話しているんだろうな。 非常に気になるが、怖くて聞きたくないというジレンマもある。



「ところで、お銀」

「何でしょう、小太郎さま」

「何で神獣のお銀が病気を発症したんだ?」

「その事ですか。 あの病気がキッカケで小太郎さまとお会い出来たので感謝をしておりますが、発症した時は我が身を呪いましたね。 そもそもあの病気は瘴気からくる病で、人や動物だけでなく神獣である私にもかかる病なのです。 ただ小太郎さまの眷属になったので、もう私には害などありませんが。 あの病になったのは、私の住んでいた近くにあった山の穢れが気になりそれを浄化しに行った時のことでした」

「そしたら何かがあったと?」

「はい。 瘴気に侵された山の主がおりました。 その山の主は歳月が経ち、神獣の域に達しかかった熊でしたが、瘴気に侵され全長は以前の二倍近くに能力もあれに比例するかのように二倍近く膨れ上がっておりました」

「……で、お銀はその山の主と戦ったのか?」

「はい。 三日三晩戦い、四日目も朝に仕留めました」

「だったら何故、病気がうつったんだ?」

「その時に受けた傷が原因かと思われますが、実際のところ不明です。 なにせ山全体が瘴気に覆われていたこともあったので、それが原因かもしれないという線も外せないからです」

「そうか。 で、その山の動物たちはどうだったんだ?」

「半数ほどは逃げたみたいですが、半数は発症し可哀相でしたが焼き払いました」

「俺がもうちょい早くこの世界に来ていれば助かったんだけどな」

「それは仕方のないことです。 ただ小太郎さまが、この世界に降臨されたことによりもうこの病気で苦しむものがいなくなるでしょう」

「降臨? って」

「奇門遁甲のスキルが使える小太郎さまなのですから、降臨で間違っておりません」



 ピシャリと言い切ったよ、このお銀は。

 こうなると、もう俺が何を言っても無駄なんだろうな。

 まあ貶されたりしていないだけマシなんだけど、ここまで神格化されるのも少し困るんだよな。

 しかも新しく入ったアラクネさん達にも、何やらシッカリと教育という洗脳をしているみたいだし、後でコッソリとアラクネさん達の洗脳を解いていかないといけないよな……。

 とりあえず、話をお銀のかかっていた病気に戻そう。



「そうそうお銀。 なら、もう罹病しているものっていないの?」

「それは何とも言えません。 ただあの病は、数百年に一度流行すると聞いております。 私の知る限りこれまで二回ほど流行り、三年もすると自然と終息をしています」

「大丈夫なの?!」

「いえ、私の知る限りこの病で、亡くなる方はだいたい、この世界の生ける動物の10分の1と聞いております」

「えっ……、そんなに?」

「はい。 ただ、こちらは動物のみで植物は感染しないことから、もしかしたらこの世界の自浄作用が働いているのかもしれないという説と、戦争や犯罪などで亡くなった人たちの負の感情が溜まるのが原因かもしれないという二つの説が昔から学者で言われております」



 俺からすると、始めの自浄作用の説はないと思う。 あの泣きながら助けて欲しいと懇願する女神さまにそのような面があるとは到底思われない。 そう考えると、レベル10の回復魔法とレベル10の神聖魔法は、この病気の切り札になるかもしれないな。 ちょっとそこら辺を学者の説でなく、二回も経験しているお銀に聞いてみよう。


「お銀的には、どっちが正しいと思う?」

「そうですね。 私の考えは、後者の悪意ある方だと思います。 私の経験した二回とも大きな戦いのあった百年後に病気が流行したからです」

「なら、なんで終息したんだろうな?」

「怨みも永遠と続かないからだと思います。 負の感情が爆発して徐々に霧散していったかと……」

「そうか。 ならお銀と同じ病気に掛かる人は、もしかしたらこの三年くらいでいるかもしれないな」

「はい……」



 この世界もいま少し見て廻らないといけないかもしれんな。

 だけど、解決出来ないことでもない。

 出来る手段は、俺の手にあるな。 なら、自分の出来ることくらいはしたいもんだな。

 俺はお銀を撫で、後ろで様子を伺っていたアラクネさん達に笑いかけのんびりと帰った。


 何かアラクネさんたち、俺を拝んでいたよ……。

お読み頂きありがとうございます。

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