表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界の天気予報士「明日、天気になーれ」  作者: 藤崎日向
はじめての異世界。
10/95

第7話「わらしべ長者」【改稿】

動物占いって知っていますか?

だいぶ前に話題になった占いです。

最近、知人にすすめられて読みましたが、見事にはまりました。

古本屋などで100円くらいで売っているので興味がありましたら、読んでみてください。

きっと私の気持ちがわかります。

では、本文をど~ぞ!

5/3修正

◆◇◆◇◆◇◆◇



 昨夜は、海岸に泊まった。

 朝起きると、海風で髪や肌がベトベトだった。 とりあえず、俺とお銀は生活魔法でキレイにする。 この生活魔法は、とても楽ちんだが、お風呂に浸かって「あ~極楽」ってな感じで幸せになれない点が残念だ。 その後、パンピーを飲むのがよかったな…… あれ、売ってないんだよ…… でもこの間、復刻版が売ってたから、つい3本買っちゃったよ。


 まあそれは、ともかく準備が出来たし街に行ってみよう。

 あっ……そういえばお銀は神獣な訳だから、このまま街に入るのは、マズイわ。



「お銀って小さくなれる?」

「なれます。 どれくらいの大きさになりますか?」

「う~ん、これくらいかな」



 80cmくらいと言ってもわからないと思うので、腕を使って大きさを表した。

 子犬だとテンプレ的な起こるかもしれないから、通常サイズくらいの大きさにした。

 よし! 今度こそ街に向かってみよう。



 そうだ、街に着く直前に雨を止ませないと。

 さすがに俺の周囲だけ濡れないのも変だろう。

 海岸から街の入り口までは、普通に歩くとおよそ一時間くらいだ。 海岸から街に向かっている訳だけど、しばらく雨が降っていなかった為か、枯れている木が目立つ。 折角なので、枯れ木の枝などを拾って行こうかな。 熱風の中をさらしておけば、いい薪になる事だろう。 およそ一時間くらいで着くところを薪を拾いしながら歩いたので、三時間くらいかかった。 お銀も久々に緑ある景色を見ながら散歩しているのが嬉しいらしく、尻尾を振りながら付いてきた。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 三時間後。

 街の入り口に着いたが、誰もいなかった。 ただ門が開いていたので、勝手に入る事にした。 お銀に市場のありそうなところを嗅覚で教えて貰う。

 市場に行くと、何やら皆困惑した顔をしていた。


「おう! 兄ちゃん、魚を買いにきたと思うが残念ながら雑魚ばかりしかないぜ」


 普段なら威勢の良さそうなおっさんが、力なく言う。

 始めての異世界の人が普通のおっさんで、かなりというかすごく残念だ。

 俺もあまりの残念さの為、力なく


「どうしたのですか?」と聞いた。

「昨日からの雨の影響で、海が時化しけて魚が獲れないんだよ……」



 ありゃ、その原因って俺じゃん!

 ちょっと目を逸らしながら、おっさんに聞く。



「でも、久々の雨で良かったんじゃないのですか?」

「いや、確かにそうなんだが、今回間が悪くてな。 お得意様に注文された魚がなくて困っているんだよ」

 あれ? これって魚を売るチャンスだよ。

 どうやって売ろうかと思っていたけど、まさか雨を降ったお陰で売れる機会に恵まれるとは……。

 『情けは人の為ならず』ってまさにこの事じゃん!


 よし!



「実は、私が今日来たのは魚を買いに来たのでなく、売りに来たのですが大丈夫ですか?」

「本当か、兄ちゃん!」

「ええ」

「その割には、手ぶらなんだが……」

「ええとこれは、生活魔法で空間収納しているからですよ」

「だが、注文されたのは普段でも二匹か三匹しか獲れない魚なんだよな」

「まあ、これから出しますので必要なら買って下さい」



 俺は、とりあえず拾った? 魚の半分200匹と人魚から貰った魚五匹を出した。

 すると、みるみるおっさんの顔の表情が明るくなっていった。



「兄ちゃん、良ければこの魚全部買い取るぜ!」

「全部買って頂けるのですか?」

「こんなに活きが良い魚だから是非買わせてくれ! しかも注文された魚もあるしな! よし! 大奮発だ! 金貨50枚でいいか?」

「えっ……そんなに頂いて宜しいのですか?」

「おう、普段なら金貨30枚くらいだが今回は特別だ。 それにこの状態だ。 遠慮なく受け取ってくれ!」



 おっさんにいたく感謝されてしまった。

 ちなみに人魚から貰った魚は、あと20匹程いる。


◆◇◆◇◆◇◆◇



 【お金の価値】


 1銅貨:100円くらい

 1銀貨:1万円くらい

 1金貨:10万円くらい

 例)普通の4人家族で1ヶ月に2金貨くらいで生活する



 ……なので、小太郎は無一文から一気に500万くらいの金を手に入れた。

 おっさんには、1金貨だけ両替して10銀貨にして貰った。

 小太郎は思った。 俺の運勢ハンパないな……と。 適当な行動が全て上手くいく。 もしかして、一番のチートはこの運勢ではないんだろうかと。

 まあ、俺に害は全くないから問題なしだな。

 よ~し! お金も都合良く手に入れたし、欲しい物リストを確認する。


 ①木材

 ②建築に必要な道具

 ③植物の種や苗木

 ④肥料

 ⑤食材



◆◇◆◇◆◇◆◇



 まずは、木材だな。

 よし、木材を取り扱っている店に行くことにする。 お銀とトコトコ歩いて市場のおっさんに、教えてもらった店に行こうとすると、店から悲痛な声が聞こえた。



「どうしました」



 小太郎が聞くと、店員が切羽詰ったような口調で



「すみません……本日は急用の為、店を閉めさせて頂く事になりました」

「何か起こったようですね。 私は、回復魔法を使えますが、ひょっとしたらお役に立てるんではないですか?」

「えっ……あなたは、回復魔法を使えるんですか。どうかお願いです。先ほど、主人の子どもが倒れた材木に当たって、重態なのです」

「わかりました。すぐに行きましょう」



◆◇◆◇◆◇◆◇



 下敷きになった子どもの所に行くと、すでに虫の息だった。

 店員が、主人に俺の事を紹介すると主人は縋るように



「この子は、この店の跡取りなのです。 謝礼は何でもしますから、どうぞ助けてください」



 その横から夫人と思われえる人が



「やっと出来た子どもなのです。お願いです、助けてください」



 と泣きながら言ってくる。

 俺は、子どもの血を見て、ぶっ倒れる寸前である。 すぐに、子どもに回復魔法をかけるなり、俺は貧血で倒れた。


 俺が目を覚ましたのは、高そうなベッドの上だった。

 足元には、心配そうなお銀が座っていた。


「小太郎様、大丈夫ですか? ひょっとして魔法の使い過ぎでは?」

「お銀、心配かけてすまなかったな」

「いえ、それよりお加減は?」

「お銀には、まだ言ってなかったが俺は自分の血でも他人の血でも血をみると容赦なく貧血する男だ」



 下手に隠しても仕方ないし、その事を言えばお銀も狩りをして血まみれの動物を持ってきたりはしないだろう。

 お銀は黙っている。


「体調で悪いところは一切ない。それと一つ付け加えたいのが、動物もダメだが、魚は何故か大丈夫だ!」

「……」


 お銀が動かない。 そう思ってよく見てみると、お銀が呆けていた。 神獣でもそんな顔するんだね。

 しばらくすると、先ほどの子どもの主人がやってきた。



「倒れられて心配しました。お加減はいかがですか?」

「少し眠ったせいか、だいぶ体調も良くなりました」

「そうですか。 先ほどは、息子の命を救って頂いて本当にありがとうございました。 ……しかもご自分が倒れてまで救って頂いて……」


 後半は涙声だ。

 俺には言えなかった……実は貧血を起こしたのは血を見たからだと……。


「いえ、当然の事をしたまでです。 息子さんの体調はどうですか?」

「先ほど、何もなかったかのように起き上がりました。 家内は、今息子の様子を見ています。 後で是非ともお礼を言いたいそうです」

「お礼はいらないですよ。 人として当然のことをしたまでですので……」

「いえ、家内とも相談したのですが、このまま帰って頂いては、私たちの矜持が許しません。 是非ともお礼をしたいのでございます」


 あぁ、居た堪れない……

 ただの貧血を主人夫婦が壮大な勘違いを生んでしまっているよ~

 何か話題を変えないと!!


「そしたら、私がこの店に来たには、家を建てる木材が欲しかったからなのです。もし、お礼を頂けるなら少しお安くして頂けませんか?」


 ……そう言った俺が、馬鹿だった。

 何やら高級そうな木を百本程頂いた。

 なんかこの貰った木材だけで城でも建てられそうだ。

 もっと差し上げると言われたが、空間収納がいっぱいですのでとお断りしたら、金貨を100枚ほど頂いた。

 帰りには、店の人全員に「またお越し下さい」って言われ逃げるように立ち去った。 まあ、感謝されたし深く考えない事にした。 息子さんも助かったしね。

 あっ……手持ちのお金が日本円で1500万円くらいに増えた。


 次に欲しいのは、建築をする道具である。 俺とお銀は、道具屋を探す為に街の中心に向かう事にした。

 その途中で道に迷って泣いている5歳くらいの女の子を発見した。 泣いている女の子をあやしながら話を聞いてみると、どうやら昨日こちらに引っ越してきたばかりとの事だ。

 暇だったので、ちょっと一人で近所を見ていたら、家から少し離れてしまい帰れなくなってしまったようだ。 そのまま見ない振りをするのもかわいそうなので一緒に探してあげる事になった。 探し方は簡単だ。お銀の嗅覚で探せばあっという間に解決なのだ。



 お銀の案内した通りに行くと、五分くらいでその子の家が見つかった。 どうやらその女の子は、道具屋の子だったらしい。 家では、女の子がいなくなったと大騒ぎだったみたいだ。

 ご両親は業者の方と話をしていたら、いつの間にか女の子がいなくなってしまったので、探していたとの事だ。

 ……で、何故女の子から目を離してしまったかと云うと、これから道具屋を開店しようとしているのだが、現場の不注意で予定していた木材が折れてしまったとのことだ。  昨日こちらに来たばかりで、どうやら他につてがなくて困っていたとのことだ。



「木材でしたら、私が少し持っているので差し上げましょうか?」



 といって、先ほど沢山貰った木材から30本ほど空間収納から出してみる。


「本当にこのような素晴らしい木材を頂いて宜しいのですか?」

「ええ、私も先程頂きましたが、まだありますし、どうぞお使いください」

「それでしたら、誠に申し訳ありませんが、そのうちの1本を程頂けないでしょうか?」

「えっ、たった1本ですか?」

「はい、家を作るのに大事な大黒柱だけ折れてしまっただけですので、こちらで充分です。 本当に有難うございました」

「いえ、困った時はお互いさまです」

「それでは、私の気持ちがおさまらないので是非とも何かさせて下さい」



 むーっ、このままだと何時まで経ってもおさまらそうだから、折角だから建築用の道具でも安くしてもらって、この場を終わらせようか……。



「それでしたら、私も家を建てようと考えておりますので、何か道具を少し安くお譲り頂けたら幸いです」

「家を建てるのにも色々道具がありますので、どうぞこちらでご覧下さい」



 異世界ならではのと思われる道具もあったが、よく使い方がわからないので、日本でお馴染みの以下の4種類を売って貰おう。

 ノコギリ・トンカチ・カンナ・ノミ

 以上である。

 ノミは、大・中・小を貰い、ノコギリは、刃が心配だったので3本程買う予定だ。 今後、必要な物があればまた買いにくればいいのだ。 以上を選び、店主へ代金を払おうとすると、



「娘を探して頂いたばかりでなく、このような素晴らしい木材を譲って頂いた恩人にお金を頂く訳にはまいりません!!」



 とお金を払うのを断られた。

 それどころか



「娘を探して頂いた謝礼金と譲って頂いた木材の代金を払わせて頂かないと、私の気持ちがおさまりません!!」



 その額、金貨30枚ほどで



「些少でございますが、是非お受け取りを」



 と言われたが、迷子を届けて貰った木材を1本渡しただけなのに、このお礼は大き過ぎる……。 元よりそんな気があった訳でない。 ただの流れに乗ったらそうなっただけだ。

 なので……。



「いえ、道具を頂いただけで充分です。 そのお金を娘さんの為にお使い下さい」



 そんな事を言ったら、店主が感激してしまい何故か金貨20枚アップの50枚を頂く事になってしまった。 俺はもうその時点で断わるのを諦めた。 断れば断わる程に何かを貰いそうだったからだ……。 店主の



「またのお越しをお待ちしています」



 との声をバックに俺は店から出て行った。

 店から出たら、お銀が



「小太郎様は素晴らしいお心をお持ちだ!!」



 と俺を褒め称えていた。

 まあ、それくらいなら問題なしだ。 お金貰ってないしね♪



◆◇◆◇◆◇◆◇



 よし、次は植物の種と苗木を買いに行こう。

 お金は金貨200枚程ある。 これなら、すご~くたくさん買えるだろう。 大人買いバンザイである。 そんな訳で、植物の種と苗木を買いに郊外へ向かう。



 苗木や植物の種を取り扱っている店に行くと、何やら人が集まっていた。

 俺は怪訝に思い、その輪に近づくとどうやら、アラクネという蜘蛛くもの魔物がこの先の道を塞いでいるようだ。 アラクネは、女性と蜘蛛が合体した魔物でとても強く、普通の人達では相手にならないようだ。

 そのアラクネだが、道を塞いでいるだけで特に暴れたりする訳でもないので特に被害がないとの事だ。 俺は、死なないし興味があったので周りの制止を振り切ってお銀と見に行く事にした。


 先程話のあった道をしばらく歩いていると、その話題となっていたアラクネが道を塞いでいた。 近づいても威嚇などされなかったので、話が出来る距離まで近づいていった。 アラクネさんは、俺とお銀に近づくと話しかけてきた。



「そこの人間よ。 私の言葉はわかるか?」



 俺は、生活魔法で知能のあるものなら全てを理解出来るし話す事も出来るので



「わかりますが」



 と答えると、



「人間よ、そなたは回復魔法をつかえるか?」

「ええ、使えますよ」



 そう答えると、アラクネさんは凄い勢いでこちらに近づいてきた。

 お銀がアラクネに飛びかかろうとしていたので、目で制止した。



「お願いだ、人間よ。私達を助けて欲しい。 もし助けて頂く事が出来たら、私の命とこの身を自由にしてよい」



 そんなに必死にお願いされたら断われないし、回復魔法を使用するくらい全然問題ない。

 それよりアラクネさんに興味津々だ!

 後で、あのいっぱいある足とかを触らせてもらおう♪

 そんなお馬鹿な事を考えながら、アラクネさんを追いかけて行くとそこには、病気に 苦しむアラクネさん達の姿があった。

 その数……30体。 ……ん!この病気はどこかでみたぞ……。 そうだ!お銀と同じ症状だ。 やっぱり足の先から黒ずんでいる。 とりあえず、すぐに治療だ!



 俺は頑張った!

 30体のアラクネさん達を治療を終えたとき俺は魔力切れで倒れた。


 次の朝、なんかシルクのようなベッドで目が覚めた。 実に滑らかなシーツだ。

 とりあえず、俺は不老不死の能力で全快だ! しかも、魔力が上がっているのが分かる。 まあ、回復魔法を気絶するまで頑張れば上がるだろう。

 部屋を出ると、お銀が駆け寄ってきた。 しばらくお銀のモフモフを堪能した後、外に出るとアラクネさん達が外で待っていた。

 昨日案内してくれたアラクネさんが、



「昨日は、私共の命を救って頂き感謝する。 約束通り、私を自由にするがよい」



 と言ってきたが、衆人環視の中『足を触らせてください』と言うほど俺は勇者じゃない。 仕方ないので、



「もし、植物の種や苗木があれば少し分けて欲しいのですが」



 と話をしたら、シャレにならないくらい貰った。 アラクネさんは、森で住んでいるので、すごく珍しい果物とかも頂いた。 ちなみに、あの素晴らしいシーツは、アラクネさんの糸から作れるもので素晴らしいと褒めたら『よろしければお持ち下さい』と言われたので、ありがたく頂いた。

 そして、アラクネさん達に何時からあの病気が流行りだしたかを聞いたら、お銀と同じく半年くらい前だと言った。 まあ、あの病気なら俺が治せるし、いざとなればまた頑張ればいいだろう。 帰りがけに、俺が


「こんな寒い所だと、生きていくには不便ではありませんか? もし良ければ、私の住む島に来ませんか?」


 と提案したら、非常に喜びこの街で用事が終わったら、全員移住する事になった。


 アラクネさんの件が終わったので、その事を店に集まっていた人達にお話したら、その中の一人がアラクネさんから貰ったシーツを見たいと言い出したので見せてあげたら、是非売って欲しいと言われ、なんと金貨100枚で譲る事になった。

 話によると、売られている価格は金貨50枚くらいなのだが、滅多に市場に出てこないので、これくらい出しても惜しくないとの事だ。


 これで、金貨300枚だ。

 あれ……? 買い物に行くとお金が増えるんだっけ?



◆◇◆◇◆◇◆◇



 俺とお銀は、目的の1つである肥料を取りに山に行く事にした。

 アラクネさん達は、俺達の島に来るので準備をして貰っている。

 それで、この近くに山がないかとここらに住んでいたアラクネさんに聞いたところ、近くに『呪われた山』という物騒な場所があるとの事だ。

 アラクネさんの話によると、何故その山が呪われてしまった山と呼ばれるようになったかと聞いたところ、150年前に行われた戦が原因でこのような名称になったとの事だ。 そもそも何故この山で戦が行われたかというと、この山から黄金が採掘出来ると伝説があったからだ。

 その黄金を目当てに大きな戦が行われたからだ。 戦の犠牲者は、人間だけでなくエルフや獣人・ドワーフや魔物など、ここにただ住んでいた動物などが犠牲になった。

 結局、勝利した国がこの山を採掘してみたが、実際は全く黄金が採掘できずに放棄された。 それから10年程過ぎると、供養されずに放棄されたこの山から犠牲になった亡霊がでると噂になった。 また勝利した国の王が、その噂から間もなく発狂して死んだので『呪われた山』と言われるようになったとの事だ。



 俺は、この呪われた山に行く事にした。 何故行く事にしたのかというと、2つの目的がある。


 ①噂が本当なら成仏させてあげたい。

 神聖魔法のスキルを貰ったのも、このような可哀想なものを解放させてあげて、しかも自分の能力をアップさせるという『一石二鳥』を目的に女神様から授かったからだ。


 ②腐葉土をもらう。

 『呪われた山』なので、木に覆われて沢山の落ち葉でいい腐葉土があるはずだ。

 折角なので頂いていこうという訳だ。


 もう、お金は充分余裕がある!

 例え黄金が見つかったとしても、スルーする方向で行こう。


 アラクネさん達の住んでいる場所から、呪われた山までは歩いて3日くらいかかるらしい。 誰も呪われた山なんかに行かないので、ここはお銀に乗せて貰おう♪

 お銀に乗ってモフモフを味わっているといつの間にか山のふもとに着いた。

 お銀に聞いた所、ここまでの所要時間3時間くらいとの事だ。

 麓では、あまり感じなかったが、山に入ると何やら悪寒がしてきた。

 これが呪いか……。



「なら、ここでいいか!」



 わざわざ中心地まで行く必要がない! し……怖いし……。

 なので『えいやっ!』と神聖魔法の浄化と除霊をさっさと使ってしまう。



 お~……なんか光が溢れているよ……。



 『神々しいねぇ』とお銀でそんな感想を話ながら見ていると、沢山の霊魂がこちらにやってきた。 その霊魂は、とても暖かい光をしており『ありがとう』と言っているようだった。

 あっ、お銀がこっちを見てる。 おっ、こりゃまたも感動してるな。 ふふふ、崇め奉るがよい!って冗談だけど。


 とりあえず、成仏させるって問題が解決した。

 次は肥料集めだ!

 お銀と肥料を空間収納に納めている時に問題は起こった。

 案の定、黄金を見つけてしまったのだ。

 だが、俺には解決策がある! お金というのは、少し足りないくらいで丁度いいのだ。 足りないから、仕事をするし頑張るのだ。 いっぱいあると、相当な精神を持っていないといつの間にか堕落してしまうのだ。 なので、天変地異で黄金を崩落して、今後人の手に触れないようにしてした。

 これでいいのだ~♪

 さて腐葉土も集まったし、お金がいっぱいあるので、家畜でも買いに牧場でも行こうかね~


◆◇◆◇◆◇◆◇



 先程の山に向かう途中でお銀が牧場を見つけたと行ったので、早速牧場に向かった。

 牧場には、卵を産む鳥と牛乳が取れる牛を買う為だ。

 鳥は養鶏場に行くべき所だが、まだこちらの世界では牛も鳥も一緒に飼っているらしい。 どうやらこちらの牧場は、老夫婦がやっているらしい。 もう体力的に辛く閉めたいのだが、ここで飼われている動物の事を考えると閉めれないのだそうだ。 俺のテンプレに終わりはないとの事で、宜しければ売って頂けませんか?とお話した所、1時間で話がついた。


 牛 :10頭 オス1頭・メス9頭

 ヤギ: 3頭 メスのみ

 鶏 :40羽 オス3羽・メス37羽 


 これで全部だ。

 大切に飼ってくれるのなら、ただでいいと言ったのだが、そんな訳にはいかない。

 この老夫婦が今後、楽に生きてもらいたいので無理やり金貨100枚を押し付けた。

 やっとお金を使えて俺は満足だ!

 とりあえず、島に住めるようになるまで『1週間程お預かりしてもらえませんか』とお願いしたところ快諾された。

 よし! 最後は食材だ。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 そういう訳で、市場に来た。 ちょうど、夕方時でもあったので、道に人が溢れていた。 よし、買うものを決めよう


 塩5kg・砂糖5kg・酒10l・とうがらし100g・胡椒30gなど

 人参・玉ねぎ・大根・牛蒡・白菜・しいたけなど各10kg

 牛肉・豚肉・鶏肉を各10kg


 以上買った。 足りなければテレポートで一瞬だ。

 一応、アラクネさん達の分まで買ったから少し量が多くなった。

 お金? 当然払いましたよ。 全部で金貨1枚くらいだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



 さて、これで一応買い物は終わりだ。  今日は、折角なのでとちらの宿に泊まって明日の朝に島に戻ろう。

 お銀と一緒に泊まれるかなと思ったが、心配無用だ。

 俺の運勢には不可能という文字は無いのだ! すぐに見つけて泊まった。

 ちなみに、俺が泊まるとちょうど1万人目の利用者という事で宿泊費無料+VIPルームの高待遇だった。



 そういえば、明日の朝で奇門遁甲スキルで雨を降らせて丁度3日経つな。

 この街だけは1日しか雨を降らせてないから、島に戻ったら2日雨を降らせないといけない。


 さて、寝るかと思った時……

 『あーー!!』俺は今さらだが、衝撃的な事を思い出した。

 それは、異世界に来たとの事だ。

 そうなのだ! もう一度言う。異世界に来たのだ!

 これまで自分と関わったのは、人間のおっさんが7割、他の人間2割、アラクネ1割である。

 『呪いの山』のくだりに、ちゃんとアラクネが言っていたのだ。

 エルフ・獣人・ドワーフと!! 俺は、崩れ落ちた↓↓↓ テンションがた落ちである。 人間でも冒険者ならまだ、自分に言い訳が出来る。 たとえ、おっさんでも。 でも俺の会ったおっさん達は、一般人だ。


 ……俺は、その日枕を涙で濡らした。


 『明日、天気になーれ』と自分を慰めながら……。

(ここで、まさかの題名コールである)


 まあこの街は、明日から雨ですけどね!

お読み頂きありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ