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ガーウェインと名付けられた俺は、しばらく居候としてじーちゃんとガレスの世話になることになった。
窓から見える青空がめちゃくちゃ綺麗で、自分でもわからないくらいの時間、全く動かないで窓の外を見続けていた。
「そんなに気になるんなら、少し外を歩いてみるか?」
いきなり声をかけられ、少し驚きながら視線を窓からそらして振り返る。
そこには、腕を組んで壁にもたれかかってるガレスがいた。
「ほんとか!?結構気になってたんだ!」
「お前の性格からするとそうじゃないかと思ってた、じーちゃんに言ってくるから待ってろ。」
そう言ったガレスは少し口角をあげてじーちゃんのいる部屋に歩いて行った。
…。
俺の性格からするとって…俺のことを知ってたみたいじゃんか。
でも会ったことないよな…って俺記憶がないんだった。
いろいろ聞いて来たってことは初対面だよな。どーいうことだ…?
「いくぞ、ガーウェイン」
「お、おう‼」
少し疑問に思いながら、前を歩いていくガレスの背中を追いかけて行った。
未知の世界で迷わないようにガレスの姿を視界に入れつつ、回りにひろがる世界に視線を奪われていった。
じーちゃんがやっているコープス・ブライドは雑貨屋のような店で、本やインテリア、生活に役立ちそうな家具などを販売している。
街の中にはいろんな店があった。
本屋、洋服屋、文房具屋…
でも全体的に見ていくと、視界に入る街並みの七割ほどが飲食店だった。
前を通り過ぎるたびに鼻をくすぐる食べ物の香り。
そーいえば、気がついてからクッキー以外なんも食ってないなぁ…
そんなことを考えながら、視線を左右にゆらしながら歩いていると、
「少しここで待ってろ。」
と言っていきなりガレスが一軒の店の中に消えていった。
なにも状況がわからないまま俺は立ち尽くしていた。
しばらくして戻ってきたガレスの手からはなにやら白いものが風に揺られていた。
俺の前に立つと、手を差し出してきたガレス。
そこには丸くて白いものが二つ並んでいた。
「これはマーカラ(肉まんを想像してください。)と言って、中に肉が詰まってるものだ。腹が減った…と考えていなかったか?」
「マー…なんだって?」
「マーカラだ。うまいから食べてみろ。」
そう言って渡されたマーカラは、俺の手に安心感のある温かさを与えてくれた。
ガレスにバレテいたってことは、相当な顔で店をのぞいてたんだろうな…。
若干の自己嫌悪の気持を抱きながら、俺はマーカラをすぐに食べ終えた。
まだ途中ですが、いったん投稿してみます。