第5話 安全運転でお願いね?
僕たちはコインパーキングを出発し、走行しながら目的地の相談をしていた。
スマートフォンでお店を検索していた沙也加さんが、その画面を突き付けてくる。
「沙也加さん、危ないからあんまり画面近づけないで――ちょ、ほんとにっ!」
「ちぇー…」
僕がやたらしつこく画面を見せてくる沙也加さんを片手で制止すると、ふてくされたように頬を膨らませる。
やっぱり顔がいいな…
うっかりして見惚れていると、ドライブレコーダーから音声が流れる。
『わき見運転は危険です。前を見ての走行を心掛けましょう。』
そして、その音声に沙也加さんが便乗し始める。
「あれ。もしかして、私に惚れ直しちゃった? 見惚れてもいいけど安全運転でお願いね?」
言いながら、沙也加さんがニヤニヤといたずらっぽい眼差しを向けてくる。
だめだ、集中できない。
ちょうどコンビニが見えてきたので、いったんそこで駐車することにした。
「沙也加さん、さっきの画面もっかい見せて」
「あれ、やっぱり惚れて恥ずかしくなっちゃったんだ?私これから告白されちゃうんだ?」
「違うから。早く見せて」
照れ隠しでついぶっきらぼうな言い方になってしまった。
が、沙也加さんは特に怒ったようなそぶりは見せず
「ほい、これ!」
と、スマホの画面を再びこちらに向けてくれた。
『ひどいよ~!』とか、何かしら絡んでくると思っていたのだが…
いや、別に寂しいとかは思ってないけど?
僕は誰に言い訳をしているのだろう……
それより、早くスマホを拝見しようではないか。
どれどれ……?
「おぉ、味があっていい雰囲気の食堂だね……でも、食べ歩きなんだよね?ちょっと多くない?」
画面に映し出されていたのは老舗の食堂で、カレーやラーメンなど定番メニューから斬新なアイデア商品まで幅広く取り扱っているようだ。
どうやらその店の売りは若鳥の唐揚げのようで、レビューも若鳥の唐揚げの感想がずらりと並んでいる。
評価を見る限りなかなか美味しそうだが、食べ歩くにはやっぱりちょっと多い気がする。
が、沙也加さんは全く気にしていないようで…
「いやいや、これくらい序の口だよ充くん?昔の食欲旺盛だった充くんはどこに行っちゃったの?」
「僕に食欲が旺盛だった過去はないんだけど?」
強いて言うなら今だ。
でも、それでも、やっぱり多い…
反論する僕をよそに、メニューを決めだす沙也加さん。
どうやら、譲る気はないらしい。
僕は諦めて、停止していた愛車のアクセルを踏み込んだ。
こんにちは、夜風なぎです。
先日なろうの人気作品を見てみたら、一つのお話が僕の三分の一くらいの文章量の方が多いことを知りまして…
私もそれに触発され、第5話からは短く改行を多めに挟んで読みやすいように書かせていただきました。
楽しんでいただければ幸いです。
ページビューが下がってきてしまったので、気に入っていただけたら是非とも宣伝お願いいたします。
ブックマーク、評価、感想もお待ちしておりますのでどしどしお願いします!!




