第4話 後編 どこ行こうか
こんにちは、夜風なぎです。
短いです…許してください。
「は?」
咄嗟に困惑の声を漏らす。
「じゃ、すぐ戻るから!待っててね!」
沙也加さんは顔を赤らめたまま、僕の返事を待たずして自宅へ駆けて行った。
というか、沙也加さんもマンション住まいだったんだな……
仕方ない。
このまま帰るのもいいが、今日は今日とて暇なのだ。付き合ってあげよう。
そう心に決めた僕は、カバンから読みかけの本を取り出して読み始めた。
パタリ。と本を閉じる。
読破してしまった。
沙也加さんが自宅に戻ってから、文庫本およそ半分を読む終わるほどの時間が経ったわけだが……
全く戻ってくる気配がない。
騙されたか?やっぱり遊ばれてたのか?
そんなことばかりが脳裏に浮かぶ。
いや、少なくとも僕が幼少期に惚れた彼女はそんな奴じゃない。
まぁ幼少期からそんな器用に男をもてあそんでいたら怖いが……
とにかく、コインパーキングに停車中なので、料金面も怖いところ…早く戻ってきてほしい。
そう考えていた矢先、慌てた様子の沙也加さんがこちらへ向かってきた。
と思ったら、お隣の車に乗り込もうとして追い出されている……何やってんだこの人。
やがて僕の車に戻ってきた沙也加さんは、笑いながら
「いやー、この駐車場ってこんなに広かったんだね~」
とか言っている。っておいおい、まさかとは思うが…
「沙也加さん、ずっと駐車場で迷子になってたの…?」
恐る恐る聞く僕の言葉に、沙也加さんの顔から笑顔が消える。
わかりやすいなぁ、この人。
「ずっとじゃないし!三十分くらい家にいたし!?」
なるほど、残りの約一時間は迷子か…
「とにかく、出かけるならどこに行きたいか教えてくれないかな?距離によってはガソリン入れたいし。」
「ガソリン!なんかプロみたい!」
なんのプロだよ。
「いきたいところかぁ…」
「もしかして、決めてなかったの?」
「決めてたけど忘れちゃった…」
なんか、アレだ。病院とか連れて行った方がいいんじゃないのだろうか。
「あ、そーだ!ドライブしながら色々食べたかったんだ!」
そんな失礼なことを考えていると、沙也加さんの唐突に発した声が車内に響く。
心臓に悪い。
そして、思い出してくれたのは何よりだが、まさかの明確な目的地がないやつか。
……でもアリだなぁと思う。
実は何度か茶武郎と行こうとしたが、毎回どちらが運転するかという話になったときに、助手席争いが勃発してしまうのでいまだに行けていない。
助手席は飲酒ができるので、どちらも一歩も譲れないのだ。
今回は沙也加さんが免許を持っていないという話だったので、僕が運転することになるのだが……
どうせ沙也加さんが免許を持っているとしても、うっかり飲んでしまって交通費が飛ぶ気がするので諦めがつくというものだ。
「じゃあ、そうしようか」
「やったぁ!」
肯定的な返事を返してみると、沙也加さんは今日イチの笑顔で喜んでくれた。
その笑顔をみた僕は、心臓の奥の奥を撃ち抜かれる感覚を覚えた。
こんな言い方だと、”僕が沙也加さんに恋をした”みたいに聞こえるけど…
これまで僕が求め、期待していた”ときめき”や”恋”と、この胸の高鳴りは無関係なような気がした。
「最初は、どこ行こっか!」
そんな僕の物思いも、元気な声で破ってくれる――
そんな彼女の人柄を、僕はやっぱり嫌いになれないなと思う。
こんにちは、夜風なぎです。
第四話は、釈はいつもより短いのにもかかわらず、前編後編に分けた二本立てでお送りしました。
執筆時間がなかなか確保できないなかで初めてランクインを果たし、意地でも更新頻度を落とさずに、より多くの人に読んでもらおうとした結果がこれです。お許しをっ…!
第四話はお料理が出せなくて本当に申し訳なかったです…
この作品における大テーマなのにな。
反省しなければ。
次回はボリューミーに!そして、お料理もいっぱい出したい…!
頑張らせていただくのでブクマと評価のほどぜひお願いします<m(__)m>




