第27話 無敵なんだ!
今回は本作初の沙也加視点でお送りいたします。
場所は飯田家のリビング。
普段から充がここで生活していると思うと、さっきからドキドキが止まらない。
メッセージアプリのトーク画面を前に、震えだす指。
それもそのはず、私は今から充に『二人で会いたい』とメッセージを送るのだ。
しかも、目的は告白。
二人で会うことが決まった暁には、私は告白を免れられない。
そもそも覚悟なんてまだできていないし、最初は乗り気じゃなかったのだけれど……
蒼の説得により、上手く丸め込まれてしまった。
「お、送る……よ?」
「早くしなって!!飯田君、寝ちゃうよ!?」
「わかってるってばっ!」
私は、焦るように目をつむって送信ボタンをタップ。
送ってしまった。
そしてしばらくその画面を眺めてドキドキしていると、蒼が私の手からスマホを奪い取ってポチポチと画面を操作し始めた。
「ちょっ!何してるの!?」
「茶武郎が、飯田君は食べ物の話になると食いつきがいいっていってたから!」
そう言われて返されたスマホの画面には、一件のメッセージが追加で送信されていた。
『お店は、再会した合コン会場でどうかな?』
「なに勝手に送ってるの!!」
「いいじゃん、こうした方が確率上がるでしょ?」
「オッケーされたら告白するってことなんだよ!?そんな覚悟まだないし、もっと慎重に――」
「ツッキー、私が言うのもなんだけどさ……飯田君はアイツとは違うって。」
「そんなことはわかってるよっ!でも怖いの……好きだからっ!本気で好きだから、告白が失敗したときのこと考えると、怖くて仕方ないんだって!」
蒼から漏れた『アイツ』がさす人物はきっと、私の元恋人を指してのことだろう。
私は、充との今の関係に甘えて、過去のトラウマを引きずって……
だけど、蒼は彼氏を作って、充も私のことを真剣に考えていてくれて、自分だけが置いてけぼりになっているようで……
そんな自分に焦りを感じて、気づいたら人の家でかっこ悪い独白をしてしまっていた。
しかし、今度はこの家の長女が、そんな私の背中に手を触れ、優しくさすってくれた。
「自慢じゃないですけど、うちの兄もひどい失恋をしたことがあるんですよ?」
「そう……なの?」
「はい。ほんとに、茶武郎さんがいなかったら危なかったくらいで」
美月ちゃんは、優しい口調で続ける。
「だから沙也加さんも、もっと私たちを頼ってください。それは決して恥ずかしいことじゃないし、誰も迷惑だなんて思わないし。お兄ちゃんにだって、いっぱい泣きついていいんですよ?あの時約束したじゃないですか、私。二人がくっつくまで応援するって。二人はもっとイチャイチャしなきゃダメです!」
そう言って、いたずらっぽい顔で笑いかけてくる。
その言葉に、私は思わず目頭を熱くする。
でも、泣いている顔を見られるのはちょっぴりくすぐったい思いで。
私は、あふれそうになる涙をごまかすように、こう続けた。
「……ありがと、美月ちゃん。よぉし!目指せイチャイチャ!!」
そうだ。
私はあの夜、美月ちゃんに、充にもまだ打ち明けていない私の弱い部分を見せたんだ。
私の、暗く重い過去、充を好きになった理由……
そして、約束もした。
フライパンこびりついた油汚れみたいに、私の心にずっと居座る暗い過去を、消し飛ばせちゃうくらい充に甘えるって。美月ちゃんの応援にこたえるって。そんな約束を……
だから、今の私は……無敵なんだ!
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シリーズ第一弾、完結までもう少し!応援お願いします!!




