第25話 恋人からのSOS
今回は蒼視点からのスタートです。
時刻は深夜二時を過ぎたころ。
飯田家のリビングにあるテレビに映った恋愛映画は、もう終盤に差し掛かっていた。
主演の二人が、唇をくっつけている。
「キャー!!やばいやばい、しちゃったよ!?チューしちゃった!!」
「沙也加さん、いくら何でも興奮しすぎでは?こういう映画でキスシーンはエモいけど、かなり定番だと思うんですけど……」
隣で騒ぐツッキーに、冷静な対応の美月ちゃん。
かなり均衡を保ったいい二人組だなと思いつつ、ツッキーの隣で突っ込むのは私だと、少々嫉妬してしまった。
別に女の子が好きなわけじゃないんだけど……
あれだ。
懐いていた犬が、家に遊びに来た他人にデレデレしたときのあのもどかしさ。
まぁ、犬なんて飼ったことないのだけれど。
それにしても、恋愛映画なんて久しぶりに見たな……
中学の頃にツッキーと見たのが最後だっけな。
茶武郎と付き合いだしてからは、リアルで恋愛を感じられるから余計に見なくなっていたし。
はぁ、早く茶武郎に会いたいな……
茶武郎との初キスへ思いを馳せていると、スマホが振動する。
せっかく私のラブストーリーの記憶が蘇る所だったというのに、一体誰だコノヤロー。
内心でイライラしながらスマホに視線を落とすと、メッセージアプリに通知が来ているようだった。
送信元は……茶武郎!
ちょうど考えているときに連絡なんて、やっぱり私たち通じ合っちゃってるなー!!
なんてのんきなことを考えながら、メッセージの本文に視線を落とす。
内容は……
『充壊しちゃった!助けて!』
一体なんのこっちゃと思ったけど、続けざまに送られてきたメッセージでその疑問は解消された。
ところどころ誤字脱字なんかもあったりして、茶武郎らしいなと思う。
はぁ、可愛い。
思わず口元がゆるゆるになってしまう。
が、今はツッキーと美月ちゃんが隣にいる。
スマホを見てニヤニヤしていたら、茶化されるに違いない。
唇に力を込めて表情を硬くしながら、届いたメッセージを読む。
中身を要約するとこうだ。
茶武郎の親友である飯田君が、ツッキーのアプローチが恋愛なのか友情なのかを測りかねていて、悩む飯田君に『じゃあお前はどう思っているんだ』と茶武郎が尋ねたところ、飯田君はかえって悩みこんでしまって夜も寝られないらしい。
うん、実にあの二人らしい。
キャンプの光景を想像していると、もう一件着信が来る。
内容は……
ふむふむなるほど。
どうやら、一肌脱ぐ時が来たようだ――
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