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第23話 帰路というか、往路というか

「ふー、食べた食べた!」


お腹をさすりながら、沙也加さんが言います。


「ツッキー、それカラオケから出たときのセリフじゃないよ」


「でも、カラオケの後半はほとんどレストランでしたもんね…」


私は苦笑いを浮かべながら、蒼さんのツッコミに反応しました。


今は二次会からの帰り道。


カラオケの食事メニューを晩御飯にしたので、このまま駅で解散する予定です。


「今日、お兄ちゃんがキャンプでお家に人がいないんです。」


解散が名残惜してくて、私はそんな他愛のない話題を振りました。


「そういえば、茶武郎もそんなこと言ってたな」


「てことはお二人でキャンプかー、いいなぁ」


よし、これはいけます。


さりげない流れで、我が家でお泊まり会!!


私はここぞとばかりに提案に乗り出しました。


「じゃあ、私たちもお泊まりしちゃいますか?」


皆さんの注目が私に集まり、急にドキドキしてきました。


すると、蒼さんが口を開きます。


「でも、寝巻きとか持ってないし……」


申し訳なさそうに言う蒼さん。


その指摘を待っていました!!


「蒼さんは私の服でも着られそうですし、沙也加さんはお兄ちゃんの服があるので大丈夫かと」


「「えぇ!?」」


私がそこまで言うと、二人して目を丸くしています。


「私、充くんの服着るの!?」


「はい!サイズは大体一緒だったと思います」


「美月ちゃん、そう言う問題じゃない気がするな……」


沙也加さんの疑問に即答した私に、蒼さんが安定感のあるツッコミをしました。


しかし、これも想定済みです。


「お兄ちゃんの服といっても、お兄ちゃんが来客用に買っておいた新品の服ですから、そんなに気にすることないと思いますよ?」


「あー、そういうことか……ってツッキー!大丈夫!?」


慌てる蒼さんの視線の先には、膝を抱えてうずくまるツッキーこと沙也加さん。


耳まで赤く染めて、プルプルと震えています。


きっと、お兄ちゃんが普段着ている服を着ると、勘違いしてしまったのでしょう。


「美月ちゃん、わざとでしょ」


蒼さんがニヤニヤ顔でそう問いかけてきました。


もちろんです。


私は、ニヤニヤ顔で蒼さんの言葉に頷きました。



「あ、でも、下着どうしよう」


「あー。確かに」


それは、我が家へ向かう道中の会話です。


「私はぺったんこだから、下さえあればいいけど……蒼はそうもいかないよね?」


と、沙也加さん。


そうなのです。


蒼さんが、ちょこっと大きいのです。


少なくとも、現役中学生の手持ちじゃ収まらないほどには……


「それなら、寝巻きも合わせて買いますか?まだそんなに時間遅くないから、お店空いてるかもです」


「おぉ!それはナイスアイデアだね美月ちゃん!」


ノリノリで賛成する沙也加さんですが、『じゃあ最初からそうすればよかったじゃん』とは思わないのでしょうか。


そう思って蒼さんに視線をやると、蒼さんも同じことを考えているのか、またもやニヤニヤ顔をしていました。


だから私も、またもやニヤニヤ顔で頷きました。

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