第18話 大事な話
僕は今、茶武郎とともに一泊二日のキャンプに出掛けている。
いつも理由なく僕を遊びや飯に連れて行く茶武郎だが、今日はまじめな話をするかもしれないと事前に言われている。
キャンプ場は少し前まで雨が降っていたようで、湿った土の匂いが鼻をくすぐる。
茶武郎はというと、この前のビール祭りからさらに増えたキャンプ道具を車から降ろしている。
ちなみに、ビール祭りでの道具の持ち運びは大変だった。
専用のアプリを使用して、現地まで輸送してから手で運ぶ。
帰りも同様にして家に届けた。
どうしても飲酒を伴うイベントなので、道具の扱いにも一苦労だった。
テントや折りたたみ椅子を運ぶだけでも、かなりの労働となった。
その点、今日は車なので便利だ。
僕は、茶武郎が所有する大きめの車から次々と道具が運び出されるのを、ぼぅっと見つめている。
「手伝うか……」
その光景に罪悪感を感じた僕は、テントの設営に取り掛かった――
「ふぅー。設営も終わったし、その辺ふらついてみるか?」
身体をのけぞりながら茶武郎が言う。
それに合わせて、パキパキっという小気味のいい音が響く。
「そうだな。昼飯前の運動といくか。」
僕はこれに二つ返事で了承し、座っていた椅子から腰を上げた。
木漏れ日がさす道中で、散策を嗜んでいたとき、茶武郎は覚悟を決めたように僕を呼び止めた。
「なぁ、充。この辺で少し話さないか?」
なるほど、わざわざ散策に連れてきたわけはこれか。
キャンプに僕を誘う時にも、大事な話をするかもしれないとか言っていたのを思い出す。
「どうした?」
僕は、極力緊張感のない口調を装って返事をする。
「いや、その……俺、彼女できたわ。」
……は?
茶武郎の神妙な顔から、親が病気だとか、借金があるとか、そんな話を想像していたが、まさかの恋愛関連だったか。
脳内に張り巡らされた会話のシュミレーションが一気に弾けとぶ感覚を覚えた。
同時に、僕はほっと胸を撫で下ろす羽目になった。
なんだ、たかが彼女かと。
……かの、じょ?
「えぇ!?彼女!?」
「時差があったな」
茶武郎のツッコミもごもっともだ。
今更ながらに慌て出した僕に対して、茶武郎が言葉を繋げる。
「この前の合コンにいた子なんだけど……」
ドキン。
その言葉に、一瞬だけ心臓が大きく脈打った気がした。
つい脳裏に浮かんでしまうのは、沙也加さんの顔。
しかし、そうした状態も、次に続けられた茶武郎の言葉によって打ち切られた。
茶武郎の彼女……
その人物はとても意外ではあるが、昨今の僕の人間関係を思えば、そう遠くない知り合いとも思える人物であったのだった――
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