表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/39

第18話 大事な話

僕は今、茶武郎とともに一泊二日のキャンプに出掛けている。


いつも理由なく僕を遊びや飯に連れて行く茶武郎だが、今日はまじめな話をするかもしれないと事前に言われている。


キャンプ場は少し前まで雨が降っていたようで、湿った土の匂いが鼻をくすぐる。


茶武郎はというと、この前のビール祭りからさらに増えたキャンプ道具を車から降ろしている。


ちなみに、ビール祭りでの道具の持ち運びは大変だった。


専用のアプリを使用して、現地まで輸送してから手で運ぶ。


帰りも同様にして家に届けた。


どうしても飲酒を伴うイベントなので、道具の扱いにも一苦労だった。


テントや折りたたみ椅子を運ぶだけでも、かなりの労働となった。


その点、今日は車なので便利だ。


僕は、茶武郎が所有する大きめの車から次々と道具が運び出されるのを、ぼぅっと見つめている。


「手伝うか……」


その光景に罪悪感を感じた僕は、テントの設営に取り掛かった――



「ふぅー。設営も終わったし、その辺ふらついてみるか?」


身体をのけぞりながら茶武郎が言う。


それに合わせて、パキパキっという小気味のいい音が響く。


「そうだな。昼飯前の運動といくか。」


僕はこれに二つ返事で了承し、座っていた椅子から腰を上げた。



木漏れ日がさす道中で、散策を嗜んでいたとき、茶武郎は覚悟を決めたように僕を呼び止めた。


「なぁ、充。この辺で少し話さないか?」


なるほど、わざわざ散策に連れてきたわけはこれか。


キャンプに僕を誘う時にも、大事な話をするかもしれないとか言っていたのを思い出す。


「どうした?」


僕は、極力緊張感のない口調を装って返事をする。


「いや、その……俺、彼女できたわ。」


……は?


茶武郎の神妙な顔から、親が病気だとか、借金があるとか、そんな話を想像していたが、まさかの恋愛関連だったか。


脳内に張り巡らされた会話のシュミレーションが一気に弾けとぶ感覚を覚えた。


同時に、僕はほっと胸を撫で下ろす羽目になった。


なんだ、たかが彼女かと。


……かの、じょ?


「えぇ!?彼女!?」


「時差があったな」


茶武郎のツッコミもごもっともだ。


今更ながらに慌て出した僕に対して、茶武郎が言葉を繋げる。


「この前の合コンにいた子なんだけど……」


ドキン。


その言葉に、一瞬だけ心臓が大きく脈打った気がした。


つい脳裏に浮かんでしまうのは、沙也加さんの顔。


しかし、そうした状態も、次に続けられた茶武郎の言葉によって打ち切られた。


茶武郎の彼女……


その人物はとても意外ではあるが、昨今の僕の人間関係を思えば、そう遠くない知り合いとも思える人物であったのだった――


この作品を気に入ってくださった方は、評価とブックマークをよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ