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第16話 女子会

今回は美月視点からのスタートです。

私立繁縷(はこべら)学園中等部三年二組、飯田美月。


これが、私に用意された学園内の立場です。


学園内では、私はただの優等生。


だけど、お家の中では少しばかり意地悪な女の子なのです。


そんな私がお兄ちゃんをからかっている様子を見た人は、私をブラコンだとか言うけど、そんなことはないのです。


彼女の浮気現場を見ちゃったとか言いながら家に帰ってきたお兄ちゃんは、すっかり抜け殻状態で。


お兄ちゃんのお友達の茶武郎さんがいなかったら、今頃はどうなっていたか……考えるだけでも恐ろしいのです。


私は、お兄ちゃんに二度とあんなふうになってほしくない。


それだけなのです。


しかし、数週間前にお兄ちゃんは新しい女を連れてきました。


名前は、若月沙也加さん。


金髪だけど、見た目以上にやさしくて、健気で、()()()()()なヒロインでした。


お兄ちゃんは全く意識していないみたいだけど、沙也加さんはお兄ちゃんが好きでした。


その理由は、私と彼女の秘密です。


お兄ちゃんにも打ち明けていない、大事な秘密です。


私はそれを聞いたとき、お兄ちゃんと沙也加さんはもっとイチャイチャするべきだと思いました。


それを沙也加さんに伝えたら、お耳を真っ赤にして恥ずかしがっていました。


めちゃくちゃかわいかったです。


そして、私は今、そんな彼女と喫茶店に来ていました。


――そう、今日は女子会なのです。


沙也加さんは私の向かいに座っていて、彼女の隣にはそのご友人の姿もあります。


ご友人さんは、黒髪のショートカットが良く似合うボーイッシュな方で、なんかすごくかっこいいです。


でも、身長は沙也加さんよりかは低くて、愛嬌のあるサイズ感です。


「えっと……まず説明をお願いしたいんだけど」


待ち合わせをしてカフェについたはいいものの、しばらく続いてしまった沈黙。


それを破ったのは、沙也加さんのご友人さんでした。


「へ?なにが?」


ご友人さんの発言に対して、沙也加さんは間の抜けた声を出しました。


「へ?じゃない!お隣に座っているかわいらしい子を紹介してほしいんだけど!?」


「あぁ、そういえば初対面だったかー」


私の存在、ご友人に説明なさってなかったんですね……


お兄ちゃんが家に連れてきた時と比べて、ちょっとばかり沙也加さんがアホっぽく見えます。


もしかしたら、これが素なのでしょうか。


だとしても、ギャップがあってアリです!


そして、しれっと私を可愛らしいと言ってくれたご友人さん、大好きです。


と、私がまだ名前も知らないご友人に好意を抱いていると、沙也加さんが改めて私の紹介をしてくれました。


「この子は飯田美月ちゃん。充の妹ちゃんで、すごく頭がいいんだよ!」


「へえ、飯田君の!」


沙也加さんにだけ紹介をしてもらうのは申し訳ないので、私からも挨拶をします。


「初めまして、飯田美月です!いつも兄がお世話になっています!!」


「元気な子だなぁ。私は、飯田君とツッキーと同じ大学の、田中蒼(たなかあおい)。よろしくね」


「……ツッキー、というのは沙也加さんのことですか?」


「そうだよ、若月だからツッキー。」


「なるほど!こちらこそよろしくお願いします!」


一通り自己紹介を終えたところで、蒼さんから新しい話題が提供されました。


「そんで、その美月ちゃんのお兄さんである充君とは最近どうなの?」


これはきっと、沙也加さんに向けた言葉だと思います。


事前の沙也加さんからの話によれば、沙也加さんと蒼さんが出席した合コンで、お兄ちゃんに向かって沙也加さんがもうアプローチをした結果、抵抗することをあきらめたお兄ちゃんがお家に泊めたそうな。


ちょうど家族そろってお家にいなかったらしく、私も気づいていなかったのでびっくりしました。


きっと蒼さんは、その後の進捗を聞いているのだと思います。


その質問を受けた沙也加さんは、にやりと口角を上げ一言。


「それ聞いちゃいますかー。」


「その反応は、聞かれ待ちだったな?」


「えへへー、バレちゃった。」


二人のやり取りを聞いていると、昔からの仲なんだなぁと思わせるテンポ感がありました。


でも、それとは別に聞き捨てならない言葉が聞こえてきました。


『バレちゃった』と。


つまりは、聞かれたい進展があったと……


なるほど、興味深いです。


「沙也加さん!私も聞きたいです、お兄ちゃんとの進展!!」




合コン以来の登場で、ようやく名前が明かされた田中蒼。


彼女の活躍にもこうご期待!!


面白かったらブックマークを付けて、続きをお待ちください!

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