第10話 後編 見極めてやります
前回、『今回と同じくらいのボリュームで次回も書きます』的な発言をしていたのに、大幅に長くなりました。その関係で、今回は食事描写はなしで、11話にのびのびと書かせていただきます。
11話は、このお話と同時に投稿してあるので、よかったら続けて読んでみてくださいね!
それでは、本編どうぞ。
「沙也加さん。今日は深夜飯、作れるかも…!」
「ほんと!?やったぁ!」
思わぬ展開に、思わず興奮気味に放たれた僕の発言を受けて、ようやく沙也加さんが布団から出てくる。
少しの間静かにしていただけなのに、なんか久しぶりな感じがする。
「ちょ、ちょっと!お兄ちゃん、何の話?」
喜ぶ沙也加さんとは対照的に、困惑気味な表情を浮かべているのは僕の妹、飯田美月だ。
「妹ちゃん、私は充くんの友達の、若月沙也加です。勝手にお邪魔してごめんね!」
ようやく布団から全身を出した沙也加さんは、律儀にお辞儀までして謝罪をする。
「え?あ、飯田美月です。よろしくお願いします」
「よろしくね、美月ちゃん!」
「二人の自己紹介も済んだことだし、美月は部屋に戻って勉強でもしたらどうだ?」
なんとかこの状況から抜け出すため、美月を部屋に戻るように提案してみる。
「いいわけねえだろ?」
が、返ってきた返事は聞いたことのないくらいに低く、殺気に満ちた声だった。
ですよね……
――場所は変わって我が家のダイニング。
中央に設置されたテーブルの片側に僕と沙也加さん、その正面に美月といった並びで座っている。
そして、五分前から気まずい沈黙が続いている……
しかし、その沈黙は、美月によって破られた。
「それで、なんで沙也加さんは兄のベッドの中に?」
「べ、別にやましいことは何もしてないよ!?ね、充くん?」
沙也加さんが蛇のようなまなざしで睨まれ、必死に無実を証明しようとしている
できれば僕に話は振らないでほしかった……
なんか、強く言い返されそうな雰囲気だし…
「そ、そうだぞ美月。お兄ちゃんはただ、沙也加さんにお昼を食べてもらっただけだ。」
「大学生が昼間から一つ屋根の下で何も起こるはずがないでしょ!?」
予想通り、僕がしゃべると力強い反論が返ってきた。
というか、コイツの脳内の大学生はどうなっているんだ。
「充くんの言うとおりだよ。私がわがまま言ってお昼を作ってもらったの。」
「お昼…?」
沙也加さんは美月に、美月が部屋に入ってくるまでの流れを赤裸々に説明した。
「じゃあ、本当にお昼を食べただけなんですね?」
「「はい」」
二人で声をそろえて返事をする。
それを見た美月の眉間にしわが寄る。
え、怖い。
「事情は把握したけど…エッチしないのにご飯だけ食べにくる人なんているの…?それともこれからヤるの?」
恥ずかしげもなく真顔でそう問いかけてくる美月。
「中学生がそんな言葉を使うんじゃありません。」
即座に兄としてしっかり注意する。
全くどこで覚えてくるのやら……
「面白い妹さんだね。」
美月には聞こえない声で沙也加さんが、僕にそんなことを囁いてクスクス笑う。
兄としては、笑い事じゃない気もするけどなぁと思うが、面白いなら仕方ない。
「ほらまたイチャついて!」
「だからそんなんじゃないって!!」
ぷくっと頬を膨らませて怒る美月。
そして僕の隣では、それを見た沙也加さんが両手で口を押さえて目をキラキラさせている。
新しい扉を大事な妹で開かれたら困るので、早々に話題を転換した方がよさそうだ。
「それで、沙也加さんから深夜に唐揚げを食べたいとリクエストがあったので、それまで家にいさせてあげられないかなって……」
「深夜である必要がわからないんだけど。それに、お母さんたちは2時とか3時に帰るみたいだから、やめておいた方がいいと思うよ。」
「じゃあせめて、僕が夕飯を作って一緒に食べるのは?」
「そこまでして…?まぁ……それなら大丈夫だと思うけど。」
「沙也加さんはそれでも大丈夫?」
「全然大丈夫だよ!」
「よし、じゃあさっそく作るか!」
美月は少し不満そうだが、一応二人の了承を得たところで、調理の下準備に取り掛かる。
今日はお店の味を再現した本格派唐揚げだ!
―美月視点―
お兄ちゃんが突如として家に連れ込んだ女、若月沙也加。
私は今、彼女と二人きりです。
お兄ちゃんは夕飯の仕込みで席を外しているし……
悩んでいると、給湯器からおなじみのサウンドが鳴りました。
『お風呂が沸きました』
これだ!
「えと、私、お風呂に入ってきますね。」
「え…!?美月ちゃん、充くんとお風呂入るの?」
私が椅子から勢いよく立ち上がると、赤面した沙也加さんにそんなことを言われました。
「もしかして気づいてなかったの?美月ちゃんが何か深刻そうな顔をして考え込んでた時に、下ごしらえが終わった充くんが先にお風呂に入っていったよ?」
私が何を話そうか考えているうちに、お兄ちゃんが先にお風呂に入っちゃったみたいです。
というか、なんで『沸きました』って鳴る前に入っているんでしょう、あのバカ兄貴は。
「ねえ…よかったら、私と少しお話しない?」
お兄ちゃんに向けた説教の言葉を考えていると、沙也加さんからそんなことを言われました。
まあいいでしょう。
この人がお兄ちゃんにふさわしいかどうか、見極めてやります!
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