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第8話 その時はまた二人で

時刻は大体昼時を過ぎたころだろうか。


腕時計を家に置いてきてしまったために、明確な時刻は定かではない。

ないが……


しゃぶしゃぶをつつくような時間ではないことはわかる。


腹が、本来の意味で音を上げている。


野菜が投入された鍋がぐつぐつ煮えている。

そろそろ魚を投入しようというところで、僕は限界を迎えた。


飯田充、最初の野菜数口でギブアップである。


「沙也加さん、僕食べきれないから――」


『残り食べて』そう言おうとしたとき。


「いいの!?ありがと!!!」


その言葉を聞くまでもなく、魚の切り身をしゃぶしゃぶ…


からの、ぱくり!


二軒目だというのによく食べるなぁ。


てか、結構大きいのに一口でいかなかったか…?


「んん!魚介も行けるねぇ。ほんとに全部もらっていいの?」


ほんとに、というか…全部って言った覚えはそもそもないが、まあいいだろう。

美味しそうに食べてくれるし。


「好きなだけどうぞ。」


「やったぃ!」


ガッツポーズをして喜ぶ沙也加さんを横目に、店内を眺めてみた。


木目調を基調とした店内は温かみもあり、寒い今の季節にうってつけだ。


厨房に目をやると、店員がこちらに向かって歩いてくる。


どうやら、沙也加さんが注文したセットが届くようだ。


当の彼女はもうすでにお食事中だけど…


「お待たせしましたー!国産豚メガセットでーす」


元気のよい店員さんによって届けられたのは、お皿にこれでもかと豚肉が乗ったセット。


皿一面を肉で覆いつくしているが、さらに高さも結構ある。


こんな爆弾を注文してやがったのかこの人…!


道理でこんなに値段が高いわけだ…


と、沙也加さんはおもむろに、中央に配置するバラ型に整えられた豚肉を箸で一気につかみ……


出汁にダイブ!


中で少しずつほぐしながら上手にすべてに火を通す。


そして、器用にすべて掬い取って、ポン酢に浸して一口でパクリ。


到着から一分もたたないうちに、総量の三分の一が消失した。


いやいやいや、アニメかよ!?


あまりの食べっぷりに、僕もわずかながら食欲を刺激されたので、器によそっておいた野菜をパクリ。


長く置いておいたからポン酢がしみて意外とうまい。


もっと酸っぱいかと思っていたが食べやすくてびっくりだ。


驚きながら顔を上げると、沙也加さんは同じ要領で二口目を口に運ぶところだった。


すごい…

目分量だけど、おそらく残り一口ってところだろう……


最後の一口も続けて食べると思っていたが、一度箸休めに僕の野菜と魚介をほおばる。


やっぱりうまそうに食べるなあ、とか思いながらその様子を眺めていると、不意に沙也加さんが箸を突き出してきた。


先端には、二口目で出汁の中に取り残された豚肉がつままれている。


そして、反射的に開いてしまった僕の口に、それが運び込まれる。


…うまい!


て、おい…


これって、沙也加さんの箸だよな……!?


やっちまった。


耳が熱くなってきた。

頬に手を当てると…人間カイロの完成だ!


頭が回らなくなって面白くないことを口走りそうになる。


落ち着け充、僕は決して、女性経験がないわけではないじゃないか!


テーブルに突っ伏して、呼吸を整える。


三回程度深呼吸を繰り返したところでやっと落ち着いたので、顔を上げてみる。


すると、ニヤニヤ顔でこちらを見つめる沙也加さん。


やっぱそうなりますよね……


「意識しちゃったか―、まいったなー。あははー」


「な…なんのことでしょうか!」


「えぇー、私との間接キスで耳まで赤くしてたのに何言ってるのかなぁ」


「一番浮かべないようにしてた四文字をサラッと口にしないで!!」


「あーやっぱりそうなんだ、ドキドキしちゃってたんだ? いかんねー、公共の場でそんなこと考えちゃ」


「早く食べないと冷めるよ!」


羞恥のあまりにぶっきらぼうに言い放つ。


わかったよう、とか言って食事に戻ってくれたが、ちらちらとこちらの様子をうかがうのはやめてほしい。



「ごちそうさまでした!」


沙也加さんが食べ終わり、合掌をする。


最後の会話から一分足らずで平らげてしまったのは、さすがという他ない。


僕の気分も多少落ち着き、まともに会話できるくらいには回復していた。


お会計は、沙也加さんが僕の分まで払うと言ってきたが、そもそも僕が食べきれずに沙也加さんが食べたので、それぞれが注文したセットの金額分を支払うという結論に落ち着いた。


沙也加さんはかなり高額のセットを召し上がっていたけど、難なく支払いを済ませていた。


高収入なバイトというのは気になるが、怖いので詳しく聞くのはやっぱりやめておこう…



店を出た僕らは、自らの愛車に乗り込んだ。


エンジンをかける前に、沙也加さんが口を開いた。


「移動時間考慮したら三軒目はおゆはんの時間だね。どこがいい?」


「え、まだ食べるの?」


「え?本当にもう限界だったの?」


逆にそうじゃなかったらなんだっていうんだ。


「何の得があって、僕が満腹になったなんて嘘をつくんだよ」


「私もついにモテたのかなって思ったんだけど……」


急にしゅんとし始めた彼女を見ていると、なんだか居たたまれない気持ちになってくる。


「じゃあさ、また行こうよ。ドライブで食べ歩き」


「え?」


「今日はもう限界だから、家まで送るよ。けど、また好きな時に誘ってよ。僕は休日は大体暇だからさ」


「その時は…また、二人で…?」


「誘う人もそんなにいないし、そのつもりだよ」


茶武郎がいると、運転したくなくなりそうだし。


僕の返答に沙也加さんが笑顔になる。


そんなに楽しかったのか、食べ歩きドライブ。


何はともあれ、快く承諾してくれたので何よりだ。


僕は、沙也加さんを自宅まで送り届けるために車のアクセルを踏み込んだ。


その後の帰路では、次回のドライブで何を食べるかを話し合っていた。


その時の車内の雰囲気はとても暖かく、次回は、前日から飯を抜いてでもこの時間を長く過ごしたい。

そう思った。


こんにちは、夜風なぎです。

この頃、本作のページビューが減少傾向で非常に不安でございます。


年末年始、休むことなく頑張って書きますので、是非ともたくさんご覧になってほしいです!


ブックマーク、評価、リアクション、感想等を付けていただくと励みになりますので、是非ともよろしくお願いします!


次回が、今年最後の投稿となります!

31日に投稿予定なので、ご覧になっていただければ幸いです。


ここまで読んでくれている方がどれほどいらっしゃるかわからないですが、この文章を目にしてくれているあなたはマジで最高です。神と称しても過言ではないのではと思います。このまま完結までお付き合いいただければさらに最高です!是非とも末永く見守っていてください!


では、次回をお楽しみに!

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