第0話 プロローグ
深夜二時半。家族がみんな寝静まったころ、僕は読み終えた本をぱたんと閉じてリビングへ向かった。
弟たちの元気とも鬱陶しいとも取れる声が響いている昼間とは打って変わり、廊下は怖いくらいの静寂に包まれていた。
なるべく足音を殺してリビングにたどり着き、僕はソファに腰を下ろして一息つく。
部屋からリビングまでは短い廊下を渡るだけなのに、深夜に通るとなぜか妙な緊張感がある。
「……腹、減ったな」
思わずつぶやいた数秒後には、僕はもうキッチンに立っていた。
音を立てないようにそっと冷蔵庫を開ける――。
中には今日の夕飯で余った白米と鶏肉、納豆、キムチにヨーグルト……。
「肉は調理する気力がないからパスだな……っと――」
バター発見。これはいい。
まず茶碗に長めのラップを敷く。そこへ冷えたままの白米をよそい、バターをひとかけ。
五百ワットで二十秒だけレンチンして、醤油をひと回し。
――簡単背徳バター醤油飯の完成だ。
食べるときはラップごと持ち上げて軽く揉み、おにぎり状に整えれば余計な食器も出ない。
溶けたバターの香りが鼻をつく…完璧だ。
最近、彼女を寝取られて無気力になっていた僕を、友達が深夜飯に誘ってくれた。
そのとき初めて食べた深夜飯が、思いのほかうまくて。
そこからこういう“料理と呼べるか怪しいラインのメシ”を深夜にこっそり作っては食べることに、すっかりハマってしまった。
ちなみに、その最初の深夜飯は結構がっつり家系ラーメンだった。
つまり、実家から大学へ通う僕は、親が起きないよう細心の注意を払いながら「どこまでうまい深夜飯が食えるか」を日々研究しているというわけだ。
……ああ、そうだ。暇なんだ。
これは、そんな暇な僕のしがない深夜飯を中心に、
ついでに僕の周りを取り巻く人間関係を描いた話だ。
まあ、ゆっくりしていってくれ。
本作二作目となりました、夜風なぎです。
今度は緩い日常とちょこっとドラマです。
執筆ペースは代表作中心に投稿を続けますので、そちらもぜひご覧ください。
こっちはシリアスな代表作の執筆につかれたときに書きます。
こっちの方が評価が良かったら・・・
まぁ、それはほんとに高評価をいただいたときに考えましょう。
最後に、ブックマークと評価のほどどうぞよろしくお願い申し上げます。
以上、夜風なぎでした。
2025年12月27日 追記:結局、一作目のファンタジーを上回る勢いだったので、本作が代表作になりました。




