第48話 【大晦日】社畜だった俺が、一年で「世界を救う大富豪」になっていた件について
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大晦日の夜。
佐藤家のリビングには、全員が集合していた。
こたつを囲むのは、俺、スズ、アイリ、リサ、フィアナ、マーリン、ビビ。そして窓の外にはリュウ。
いつの間にか、こんな大所帯になっていた。
「はい、年越しそばですよー」
スズとビビが運んできたのは、ダンジョン産の『黄金海老』の天ぷらが乗った豪華な蕎麦だ。
出汁の香りが部屋に広がる。
「いただきまーす!」
みんなで蕎麦をすする。
テレビでは紅白……ではなく、今年世界で起きたニュースの総集編が流れている。
『謎の狐仮面、世界を救う』『スライム美容液、品切れ続く』『内閣府、謎のVIP待遇枠を新設』……。
うん、全部俺のせいだ。
「……激動の一年だったな」
俺はしみじみと呟いた。
去年の今頃は、独身寮で冷たいコンビニ弁当を食べながら、サービス残業の資料を作っていた。
それが今では、豪邸に住み、美味しいものを食べ、美女(と人外とお爺ちゃん)に囲まれている。
「佐藤さん、来年はもっと忙しくなるわよ? 新商品の開発もあるし!」
「主よ、魔法の研究も進めねばならんぞ」
「Target、来年の防衛計画を提出します」
みんなが好き勝手なことを言ってくる。
でも、不思議と嫌じゃない。
「まあ、なんとかなるだろ。俺にはこの魔法があるしな」
俺は自分の手を見つめた。
【生活魔法】。
ただの掃除や洗濯のための力が、俺の運命を変えた。
ゴォォォォン……。
遠くの寺から、除夜の鐘が聞こえてきた。
新しい年が来る。
「みんな、来年もよろしくな」
「「「はいっ!!」」」
俺たちは笑顔でグラス(と湯呑み)を掲げた。
元・社畜の最強スローライフは、まだまだ終わらない。
来年はもっと、常識外れな一年になるだろう。
(続く)
ゴミ屋敷から始まった物語が、まさか世界を救うところまで行くとは……。
ちなみに本来の予約では時系列の現実の時間がマッチするように執筆していましたが
好評をいただき、初期から公開話数を変更したため佐藤たちの世界では一足先に年末を迎えました。




