第21話「レベルアップ!今度はチート装備作りで、国民的アイドルを救うようです」
本日3話投稿の3話目です(07時・17時・21時)
豪邸のリビング。
俺とスズの前には、アイリさんと敏腕マネージャーが揃って正座していた。
マネージャーは顔を両手で覆い、肩を震わせている。
「佐藤様……どうか、どうかお助けください……!」
「落ち着いてください、マネージャーさん。何があったんですか」
話を聞くと、アイリさんの全国ツアーで使う衣装に、深刻な問題が発生しているらしい。
「ツアーの衣装は全部で二十着。どれも繊細な素材を使っているので、激しいダンスで破れやすく、一度汚れたらクリーニング代も数十万単位……」
「しかも、今回の衣装は、デザインがギリギリすぎて、予備を作ってもすぐに駄目になってしまうんですぅ……」
アイリさんが泣きつく。
一回のツアーでかかる衣装の補修費とクリーニング代が、毎年数千万円に達するという。
「そこで佐藤様です! あの時、私の服を一瞬で直してくれた魔法……どうか、衣装に『二度と破れない魔法』をかけていただけないでしょうか!?」
「『絶対に汚れない服』も欲しいです! 汗とか泥とか、ぜーんぶはじいて!」
なるほど。
俺はステータス画面を呼び出した。
【エンチャント(付与)】の項目を見る。
**【エンチャント(付与)】Lv.1**
* 効果:物品に魔力を付与し、特定の効果を固定する。
* 応用例:耐久性向上、汚れの無効化、鮮度維持。
「……分かりました。やってみましょう」
俺はアイリさんが持ってきた白いテスト用の布地を受け取った。
「まずは生地の『純度』を上げないと魔法が定着しないな」
【クリーン】で布地を魔力的に浄化し、余計な化学繊維を消し去る。
布は光を浴びて、神々しいほど真っ白になった。
次に、右手を布地にかざす。
イメージするのは、**『いかなる力によっても破壊されず、いかなる液体も弾く、永久不変の装備』**。
「――【エンチャント】、耐久&無効付与」
シュウウウウウウ……!
これまでで一番長い魔法発動時間だった。布地全体が優しい光を放ち、まるでミスリル繊維のように輝きを帯びた。
数秒後、光が収束する。
「できた。どうぞ」
マネージャーは涙目で布地を受け取り、恐る恐る試した。
「い、インクです……。このインクは普通のクリーニングじゃ落ちません」
マネージャーは黒いインクを布地に垂らした。
だが、インクは布地に染み込むどころか、水銀のように弾かれてコロコロと転がり落ち、床に落ちた。
「ええええええええっ!?」
マネージャーの悲鳴が豪邸に響く。
次に、彼女は思い切り布地を引っ張った。
「破れない……! どんなに力を込めても、ミシン目でさえ千切れない……!」
マネージャーはついにソファから立ち上がり、俺の前にひざまずいた。
「佐藤様……! 神です! 神様!! 全アイドルの救世主です! この技術があれば、日本のファッション業界が変わります!」
アイリさんもキラキラした目で俺を見てきた。
「ねえ! 私の下着にもエンチャントしてよ! 可愛いまま永久保存!」
(それは別の問題だ。)
こうして、俺はアイリさんのツアー衣装全てに【エンチャント】を施すことになった。
その結果、ツアーは大成功。衣装のトラブルはゼロになり、補修費は全額カット。
そして、日本の芸能界では「アイリの衣装は魔法で作られている」という都市伝説が広がり始めた。
(続く)
エンチャントチート、完了です! これでアイリさんのツアーは安泰。チートアイテム製造工場が稼働し始めました。
次回、【エンチャント】の応用で、またまた儲け話が舞い込んできます。 次回、新たなターゲットは**「食料(賞味期限無限)」**です!




