第122話 封印の扉を開けたら、中にいたのは「引きこもりの魔神」でした
4話更新の2話目です
ダンジョン最深部で見つけた、厳重に封印された扉。
俺たちは緊張しながら、その前に立った。
「開けるぞ。……【リペア】、封印解除」
ゴゴゴ……と重い音を立てて、扉が開く。
中から溢れ出るのは、とてつもない魔力――ではなく、**むっとする生活臭**だった。
「……くさっ」
俺は鼻をつまんだ。
扉の向こうは、六畳一間くらいの石造りの部屋だった。
床には読み終わった魔導書や、飲みかけのポーションの瓶、謎の食べカスキノコが散乱している。
そして、部屋の隅で布団(ボロ布)にくるまっている影があった。
「ひぃっ! だ、誰だ! ボクの聖域に入ってくる奴は!」
布団から顔を出したのは、青白い肌をした少年の姿をした悪魔――いや、**魔神**だ。
魔力値は測定不能なくらい高いのに、覇気が全くない。
「お前がこのダンジョンの主か?」
「そ、そうだよ! ボクは魔神クロノス! 外の世界が怖くて、三千年間ここに引きこもってるんだ! 帰れ! リア充は帰れ!」
クロノスは枕を投げつけてきた。
どうやら、このダンジョンは、彼が外敵から身を守るために作った「最強のシェルター」だったらしい。
それが俺の自動化システムで魔物が狩られまくったせいで、環境が変わって扉が露わになったのだ。
「引きこもりか……。気持ちは分かるが」
俺は部屋を見渡した。
足の踏み場もないゴミの山。
「この汚さは許容できないな」
俺の掃除屋としての魂が、静かに燃え上がった。
(続く)
ダンジョンのラスボスは、最強の引きこもり魔神でした。
外の世界が怖いからダンジョンを作った。ある意味、最強の防衛本能です。
しかし、彼の部屋は汚すぎました。
主人公にとって、敵意よりも「不衛生」の方が敵です。
次回、魔神の部屋を強制大掃除!




