第112話 猫の王が持ってきた「魔界マタタビ」で、ドラゴンが泥酔して大暴れしました
3話更新の1話目です
我が家の新しいペット(?)、黒猫のケット・シー。
彼は「コタロウ」と名付けられた(本人は不服そうだが)。
ある日の午後。コタロウが口に咥えていた袋を、リビングのテーブルに置いた。
『おい人間。これは家賃代わりの「極上マタタビ」ニャ。ありがたく受け取るニャ』
袋が開いた瞬間。
甘く、濃厚で、脳を直接揺さぶるような強烈な芳香が部屋中に充満した。
「……ん? なんだ、いい匂い……」
近くにいたガイルが、急に顔を赤らめてフラつき出した。
「ヒック! うぃ〜……サトウ殿ぉ〜、今日こそ決着をつけましょうぞ〜」
「ガイル!? 酔っ払ってる?」
ただのマタタビではない。魔力を帯びた「魔界産」だ。
人間やエルフには、高度数のアルコールと同じ効果があるらしい。
そして、もっと酷いことになったのが――。
『グルル……ニャ〜ン♡』
庭からリュウが巨体を揺らして入ってきた。
目つきが完全にイッている。ドラゴンが猫撫で声を出して、床をゴロゴロ転がり始めたのだ。
「うわっ! リュウ! 家具が壊れる!」
巨大な尻尾がバタンバタンと暴れ、花瓶が飛び、ソファがひっくり返る。
リビングは一瞬で「酔っ払いの宴会場」と化した。
「ああもう! 臭い! 酒臭い(マタタビ臭い)!」
俺はたまらず魔法を発動した。
対象は、部屋に充満するマタタビ成分の完全除去。
「――【クリーン】、空気清浄!」
シュワッ!
一瞬で芳香が消え去り、リビングに澄んだ空気が戻った。
「……あれ? 私、何を?」
『……オエッ。頭が痛い……』
正気に戻ったガイルとリュウが、二日酔いの顔で頭を抱えている。
俺はコタロウの首根っこを掴んだ。
「お前なぁ……次変なもの持ち込んだら、出禁にするぞ」
『解せぬニャ……最高級品なのに……』
猫の王の善意は、我が家にとっては猛毒だったようだ。
(続く)
魔界のマタタビ、威力が高すぎました。
ドラゴンが猫返りし、エルフが絡み酒をする地獄絵図。
【クリーン】がなければ、家が崩壊していたかもしれません。
次回、懲りないコタロウが、主人公に対して「ある要求」をしてきます。




