第111話 最強のセキュリティをすり抜けて、リビングで「黒猫」がくつろいでいました
3話更新の3話目です
魔力認証システムを導入した翌日。
俺が起きてリビングに行くと、ソファの上に見慣れない**「黒い塊」**があった。
「……ん?」
よく見ると、それは一匹の黒猫だった。
ツヤツヤの毛並みに、金色の瞳。首輪はしていない。
猫は俺を見ると、「ニャ~」と欠伸をして、また丸くなった。
「……おい、リサ」
「Master、何でしょう……ッ!?」
キッチンから来たリサが、猫を見て絶句した。
彼女は瞬時にナイフを構える。
「な、なぜここに生物が!? 警報は!? 結界の反応は!?」
「反応なしだ。……つまり、この猫はシステムをすり抜けてきた」
俺たちの作った『魔力認証』も、練馬区の『平凡結界』も、すべて無視して入ってきたことになる。
ただの野良猫じゃない。
その時、庭からリュウ(ドラゴン)が血相を変えて窓に張り付いてきた。
『主よ! 逃げろ! そやつはヤバイ! そやつは……**「猫の王」**じゃ!』
「ケット・シー?」
リュウが震えている。伝説のドラゴンがビビる相手?
俺が猫に近づくと、猫はスッと立ち上がり、二本足で立った。
そして、流暢な言葉で喋り出した。
『……騒がしいニャ。吾輩はただ、日当たりの良い場所を探していただけニャ』
「喋った」
『ここのソファは最高ニャ。気に入ったから、しばらくここにいるニャ』
猫――ケット・シーは、悪びれもせず宣言した。
鑑定してみると、その魔力はリュウを遥かに凌駕している。
敵対すれば、この家ごと消し飛びかねないレベルだ。
「……まあ、害がないならいいけど」
『話が早くて助かるニャ。……おいメイド、吾輩にミルクを持ってくるニャ。温めでな』
ケット・シーはリサに尊大に命じた。
リサは悔しそうに、しかし逆らえずにミルクを温め始めた。
こうして、鉄壁の要塞・佐藤家に、セキュリティホールとなる「最強の野良猫」が住み着くことになった。
……まあ、猫なら可愛いから許すか。
(続く)
ドラゴンすら恐れる最強の猫、ケット・シーが登場。
どんなに強固な結界も、猫の「通り抜けたい欲求」の前には無力なのかもしれません。
これで我が家のペット枠は、ドラゴン、ヤドカリ、天使の雛、そして猫の王となりました。
次回、ケット・シーが持ってきた「お土産」が、とんでもない騒動を引き起こします!




