04. 姉
『あらすじ』
セリスを加え、アメリアと三人で食事を摂っていたシユウ。……しかし、セリスの父の話題になった途端にその雲行きは怪しくなる事となったーー。気をきかせ、シユウが席を外したその直後ーーシユウの前に実の姉が姿を現すーー。
「ね、姉様…………」
桃色の三つ編みに白桃色のドレス。瞳は薄い紫色の大人びた少女ーーエレミア姉さんが、ボクの目の前にいる。
齢十一と、四つ離れた年上の姉だけど、エレミア姉さんはボクの事を軽蔑しない数少ない人物でもある。
「シユウ君一人?あれ、アメリアちゃんと一緒じゃないの?」
キョトンーーとした顔で顔を傾ける。この人はいわゆる〝天然〟だ。
他の兄弟は皆ボクの事を嫌っているけれどーーこの人はそう言う価値観に流されにくいのだろう……。
「実はーー」
ジュウウウウッ!!と香ばしい匂いが鼻につく。良い頃合いでステーキが焼き上がったようで、それを持ってアメリアとセリスの元へと戻ったーー。
「なるほどね〜、セリスちゃんの事はあまりよく知らないけれど……人には詮索されたくない過去とか事情ってあると思うからーーシユウ君の判断は正しいと思うよ!」
ニコニコ、としながらエレミア姉様はそう言う。
「そういやエレミア姉様ーーなんでついてくるの?」
「姉弟だから」
「……………………でも〜、エレミア姉様も挨拶回りとかいろいろ忙しいんじゃーー」
「姉弟だから」
有無を言わさない満面の笑顔。
……相変わらずこの人の考えてる事は読めないけど…………まあ、いいかーー。
「ただいま〜、二人共持ってき……た、よ?」
「あ、シユウ様!おかえりなさいませーーその方は?」
何故か、アメリアが机にうつ伏せになってセリスが背中をさすっている。
「…………何があったの?」
「アメリア様、どうやら間違えてこれ飲んでしまったみたいでーー」
ふと、テーブルの上にはジョッキの樽が…………まさか。
「くんくんーーこれ、《クアラウン家》のブドウ酒だね、地方貴族の。しかも結構アルコール強いの。アメリアちゃん、ジュースと間違えて飲んじゃったんだね〜」
頬に手を当ててあらあら、と感心するエレミア姉様。それにしてもーー
「…………大丈夫?アメリアーー」
明らかに潰れて赤くなっているアメリアは、ものすごく不機嫌そうだった。
「うう〜…………もう一生、じぇ〜ったいお酒なんかのまにゃい〜…………最悪っ……うぷっーー」
「ちょっ!!タンマ!!……バケツ!姉様、バケツ持ってきて!!」
「え?あらあら〜……わかったわ!!」
それからしばらくアメリアの酔いが冷めるまで、三人で忙しなく介抱をするのだったーー。
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