エピローグ
シナリオとかは少しだけ決めている感じなので少し矛盾点が生まれるかもしれないです。温かい目で見守ってください。
投稿頻度もめちゃくちゃ遅いと思います。
中学生の頃、片思いしていた女の子がいた。
ただ単にクラスが一緒だっただけだったし、部活などの接点すら一つも無かったし、距離を詰めに行こうとも思わなかったので、そのときは何もしなかったが、もしもあの子が自分の子が好きだったり...とか、いきなりその子を助けてそこから恋が始まる...なんてことが起きることを少しばかり期待していた。
そんなことがあるはずないと思いながらも、時々笑っている姿を見ると、胸が締め付けられるような思いがした。
あの子を好きになった理由、あの眩しい笑顔をこんな接点のかけらもない自分にも見せてくれ、優しくしてくれたところだ。
二次元イズザベストという考えだった自分に、三次元も良い。現実逃避ばっかして彼女とかいらね〜とかほざいていた俺には十分すぎるくらい現実を見せてくれた。
最終的には、クラスが同じだという理由で連絡先を交換してくれたが、最初のメッセージ以外一切動いていない状況だ。
しかし、そのメッセージすらも自分のことについて書いてくれていた部分があったせいで、ただ動かない文面を数回開くこともあった。
運の良い人なら、ここからなにか接点があって友達ぐらいにはなれていたかもしれないが、それ以降一切接点がなく、自分は悟った。
これはもう二度と接点がなく卒業するパターンだと。
もちろん、そんなに接点を作りたいなら自分から行けばいいじゃん!となるかもしれないが、そんな勇気もなかったし、容姿も良くない。
おまけに自分から寄りに行くやつは下心丸だしで嫌らしいなんていう非リアなくせに立派な価値観を持っていたので、近づくこともなかった。
無理だということを早々に決めた僕は、これからあの子に迷惑を少しでもかけないでおこう。と思った。
例えば、自分が好きなタイプが誰かと聞かれても、全く別のタイプを言うことにした。
その子は背が自分より高かったので、低い子が好きと答えていた。
そもそも三次元の女子とか興味ねえから!とか言って現実逃避しているオタクになった。
三次元でも優しくて明るい子は存在するのに、そんなものはいないと嘘をついた。
こんなことをしても何も変わらない。
そんなのはとっくの昔に分かっている。むしろ自分に正直だったら相手が意識してくれることもあるかもしれない。
でも、もう無理だと決めつけてしまった。不可能だと。
心の何処かでここまでしないと好きが溢れてしまう。そう感じていたのが分かっていたからこんなことをしたんだなんて考えてた時期もあったが、そんな少女漫画の主人公みたいな事はいくら何でも無いだろうと思う。
そうこうしているうちに、受験のシーズンになった。あの子より自分はすこし学力が足りなかった。
あの子に追いつきたい。せめて同じ学校に行きたいという思いで、いつもより勉強した。
その結果、入学式であの子の笑顔を見ることができた。
今までと余り変わらないような笑顔で、みんなに対して別け隔てなく接している。
この瞬間を見れただけでも頑張った価値があるだろう。そう思った。
どうやらもうすでに友達が出来たらしい。元々友達だった子も居るそうで、何も考える必要は無いだろうと思った。
そもそも元々あの子は友達は多いタイプだったので心配するほうがアホなのだが。
そうこうしているうちに、次は自分が友達が出来るのかという重大な問題に立たされ、気が合いそうな後ろの席の子に話しかけ、無事三年間ぼっちという危機は脱した。
二週間ほど経ったある日、たまたまあの子の顔を見たが、なぜか少し顔が暗かった。
何かあったのかもしれない。そう思いなにか情報収集したいと思ったが、友達に相談すると好きなことがバレるかもしれない。そう思い聞き耳を立ててクラスメイトの話を聞く。
しかし何も聞こえない。清々しいほどに。
あの子とはクラスが違うかったので、とりあえず遠くから見てみたが、明らかに一つだけみんなが立ち寄らないような席ができている。そこにあの子は座っていた。
たまに友達が寄ってきて話している様子はあったが、その時でさえも顔が少し暗かった。
たまたまだろう。なんて思っていたが、そんな心とは裏腹に日に日に顔が暗くなるのが分かった。
何かあったのか聞きたかったが、自分が当事者な訳でもないし仲が良いわけでもない。
中学の時に距離を詰めておけばもっと違った未来があったのかもしれない。
そんな感じで過去の自分を馬鹿にしたりもしたが、どうせ今の自分が中学の頃に戻ったとしても何もできないだろう。
分かっていたので、ヘタレな自分が情けなかった。
そして、とある出来事が起きる。
仕方なかったので、ぼっちですぐにご飯を食べ、後は教室の外で適当に時間を潰しておこうと思った時だった。
ふとした時に、あの子を思い浮かべた。
一応見に行くか。という感じで教室を見に行った。
友達に女の子を見に行くなんて知られたら物凄く恥ずかしかったので昼休み中に見に行くことは無かったのだが、知ってる人なんて今はだれもいないし、問題ないと思った。
見に行くと、その時も誰とも喋らず、1人たたずんでいた。
ここ3日ほどはこんな感じである。誰とも喋らないので、戸惑いもあるのだが。
もうちょっと気に掛けたかったが、五分前の予鈴がなったので、教室を出て、自分の教室に戻ろうとする。
しかし、教室には鍵がかかっていた。
次の時間は体育なので、運動場へ出ないといけないのを思い出し、そこで予鈴が鳴ったので焦って昇降口へ向かい、またあの子がいる教室の前を通る。
急いでいたが、なぜかあの子がいなかった。
しかし、そんな思考は授業に遅れるという気持ちに上書きされた。
何故か自分のクラスのみ昇降口が運動場の反対側なので、絶対遅れたと確信する。
どの道間に合わないだろうが、遅れれば遅れる程、怒られるだろう。
急いで靴を履き替え、外に出てちょうど半分ほど走った時、誰も居ないはずの体育館で人の気配がした。
ふとした瞬間。
あの子を思い出す。
そしてこれはチャンスだと思った。
恐らくあの子がいるだろう。
こういうのはいつもは突っ込んだりしない性格なのだが、こういうときに試してみないから何も始まらない。
ここで動けば主人公になれる!なんて今までこういうときに行動をしたことがなかった影響でそんな期待を持っていた。
この思考はアホだと思うが、このあと起こったもののせいであながち間違っていなかったものになる。
気配がしたのは体育館の裏だったはずと思い、近づいてみる。
自慢ではあるが、こういう気配を見つけるのは人より優れていると思っている。これを友達に自慢したりすると厨二病だろ!と言われたりもするが。
陰キャがもれなく全員持っているであろう隠密を使いながら裏に回る。
何故かそこには血のついた服と血溜まりがあった。
頭がフリーズした。
鼻血がいっぱい出たのかな?なんて明らかに鼻血の量ではない癖にそんなバカなことを思ってしまった。
ただ呆然としていたが、冷静になっていやいやおかしいだろ!となり、何も見なかったことにして帰ることにした。
数分までの自分の自信が嘘のように無くなり、逆に不味いことに巻き込まれているのではないのかと思った。
引き返そうとした。
その瞬間、日当たりの良いはずの体育館の裏に一瞬影ができた。
そう、あの子は上から降ってきた。
真上に落ちてくるのではなく、少し前の方で。
しかもとてつもない速さで。
親方!空から女の子が!なんて呑気なことを言ってる場合じゃない。
飛び降り自殺。
そうだと思った。
受け止めなきゃと思った。
一生懸命走った。運動は苦手だったが足が遅い訳ではなかったので自分の瞬発力に祈った。
人差し指の第二関節が触れる。
少し足りない。
そう思ったのは良かったが、冷静になって考えたら人差し指にとてつもない速さで落ちてきている物体を受け止めようとしたら、どうなるか。
ボキッと人差し指が悲鳴を上げた。
やってしまったかもしれないなんて0.1秒ほど思ったが、受け止められなかった。
つまりあの子は死んでしまった。
あまりにも急すぎたので涙する間もなかった。
しかし、そんな心配は杞憂に終わってしまう。
「ふう〜、今回も駄目だったか。なんなんだ?この体は。流石にふざけてるでしょ。体育館の屋上から落ちてもすぐに修復されるとか。寿命はあるみたいだから複雑だけど。」
あの子、いや樋口美優は何事もなかったかのように立ち上がった。
「な、何で生きてるの?」
「なんでってそりゃこっちが聞き...なんでここに人がいるの!?」
彼女は初めて見かけた時と大差ない顔で前に立っていた。