第89話 合宿計画
注意:本来ならここからは各ヒロインごとに分岐ルートがありますが、今回は正規ルートという事で水野澄香ルートをお楽しみください。
また、各ヒロインルートまたは寮生やチームメイトとのボーイズラブを見たいという方は感想欄で○○ルートが見たいとリクエストしてください
試合のシーン以外の恋愛シーンを書きます
さあここからは本編スタートです、よろしくお願いします
夏の大会県予選でまさかの敗退をしたのは鷺沼学園や東光学園だけではなかった。
準々決勝で常海大相模が、準決勝で青葉学院が、そして決勝では金浜がみんな横浜工業に負けてしまったのだ。
あまりの衝撃にY工旋風とまで呼ばれ、神奈川のネットは大荒れとなった。
そんな中で東光学園は中田世代の引退式と夜月の主将就任式を終え、石黒監督が新たなスタートを切るためにある計画を立てる。
「さてと……石黒監督、本当にやるのですか?」
「ええ、今年の夏はあの子たちもかなり引きずってると思うんです。理事長が合宿を手配してくだされば俺としてもありがたいですね」
「しかしこんないい球場で合宿ともなると他の高校も何校か来ることになると思いますよ?」
「構わないさ、なんなら夏に散々だった何校か招待して合同合宿もいいだろう。そうだな……ウチをメインにしつつ何校か選抜で何人か招待しようかなと思います」
「確かに我が校のグラウンドは地方球場並みの規模ですし、学園系列の合宿所も部員が少ないからかかなり余ってますね。アメフト部が最大人数で入るくらいなのでいいかもしれません」
「じゃあ長谷川先生、手配をよろしくお願いします。ついでにSNSで宣伝もお願いします」
「わかりました」
教育実習生ながら顧問に就任した理英先生によって合宿の手配が済み、石黒監督も合宿の計画が進んで部員全員に合宿の連絡をする。
これはいわゆる夏のリベンジ合宿で、とくに一年マネージャーの浅倉舞衣がかなりやる気だった。
初戦敗退して弱気になった姿を見て『情けない』と思ったみたいで、今回の合宿にはノリ気だった。
合宿をするとSNSでつぶやいてから一時間後、金浜と常海大相模、青葉学院から『是非うちも何人か参加させてほしい』という返信が届いた。
さらに同じく横浜工業の最初の被害者である鷺沼学園からも申請が来て、他にも後日、日ノ本大湘南、帝応義塾、公立からは川崎総合からも申請が来た。
鷺沼学園からは天海と如月と星井と永吉、金浜からは赤津木と神田、青葉学院からは佐倉と奏流院と上原とボイド、常海大相模からは有原と東雲と河北と野崎、さらに我妻と桜田までも参加。
日ノ本大湘南からは涼宮と須藤が。
帝応義塾からは一十木と一之瀬、四宮、愛島、来栖、聖川、神宮寺が参加。
川崎総合では本田と渋谷、緒方、三村、穴沢が参加する。
川崎総合の緒方英里央は新チームからレギュラーになった細身の選手で、運動神経はあまりないがバントについては超高校級でエンドランやスクイズ成功率は100パーセントの選手だ。
帝央義塾の愛島駆は父親がパラオ人のハーフで一十木とは母親同士が親戚という縁もある。
選手としては予測不能なプレーでキャッチャーを困惑させる奇襲が特徴だ。
クセの強い選手がたくさん集まり、これで合宿の一週間が始まった。
1日目は鷺沼学園の得意なバッテリー練習で、天海と如月と永吉が張り切ってバッテリー論を選手に伝える。
「僕はキャッチャーの言う通りに投げるって言うよりは、キャッチャーの考えはこうかなって予想して従ってる感じかな。全部に従ってたら首を振らないと思われちゃうし」
「そうなるといくら天海くんでも打たれるし、そうやって横浜工業に負けちゃったから僕たちで思い直したんだ」
「俺が出てれば勝てた……という事でもなさそうだしな。天海も本調子じゃなかったみたいだし」
「それは言い訳だよ……ケアを怠った僕に責任があるからね。ピッチャーは肩だけでなく肘や手首、腕のケアも大事だし、足腰だって必要なんだ。だから投げ込んだら全身のストレッチを入念にやってね?」
「へえ、そうやって鷺沼学園はバッテリーを中心に上がって来たんだ」
「暁良くんケアを怠ってすぐ投げ込む癖があるからちゃんとケアしてね?」
「わかってるよ! 俺が簡単に故障するわけにはいかないだろ? プロで活躍するんだから!」
「会話が成り立たないのは相変わらずだね……。まあその自信が僕たち金浜を導いてるんだけどね」
「なるほど……」
常海大相模の我妻もいつもは自信が溢れているが、偉大な先輩たちの投手論に感化されてさすがになるほど……と感心した。
キャッチャーになりたての夜月もメモを取って、こうやってリードするんだなと勉強した。
2日目の練習は川崎総合と帝応義塾が得意とする守備練習で、普段からイレギュラーを想定したノックで反射神経を磨いた。
同時に細かい連携やインフィールドでの立ち回り、外野では素早く低い弾道で真っ直ぐな返球を心掛けた。
レーザービームをカットまで投げる練習をして送球の安定感を計った。
3日目は青葉学院が得意とする筋力で、ウエイトトレーニングを中心とした筋トレをする。
体幹トレーニングや有酸素運動、ヨガやボクササイズなどで連動性や柔軟性も同時に底上げする狙いだ。
4日目は打撃で常海大相模の得意な実戦形式のフリーバッティングをする。
連打が続くこのチームの秘訣は実戦形式で磨いたバッティングで、勝負強さをここで磨いていった。
5日目は金浜高校と日ノ本大湘南が得意な総合練習、6日目は東光学園が最も得意なバラエティ溢れる気分転換な練習でリフレッシュした。
そして7日目……
「よし、今から紅白戦を行うぞ!今からメンバーを発表するからよーく聞いておくように!」
今回のメンバーはこちらだ
紅組
ピッチャー
涼宮晴人
永吉昴
榊大輔
川口尚輝
松坂梅太郎
本田澪
一十木拓也
キャッチャー
如月早人
聖川天斗
津田俊光
内野
清原和也
山田圭太
東雲龍弥
有原翼
四宮夢月
木村拓也
松田篤信
高田光夫
来栖洋
外野
坂本大輝
愛島駆
上原彩弥
尾崎哲也
ウラジーミル・ボイド
神宮寺ケン
白組
ピッチャー
我妻天良
赤津木暁良
天海春太
園田夏樹
楊瞬麗
渋谷凛太郎
鈴木翼
キャッチャー
桜田千代丸
吉永裕介
神田貴洋
内野
須藤清
緒方英里央
河北智也
野村悠樹
金光
石田亮太
田村孝典
佐倉響介
三村剛
穴沢明日太
外野
夜月晃一郎
木下泰志
岡崎知成
朴正周
一之瀬隼人
――となった。
スターティングメンバーは……
紅組
一番 ショート 有原翼 二年 常海大相模
二番 キャッチャー 如月早人 二年 鷺沼学園
三番 サード 東雲龍弥 二年 常海大相模
四番 ファースト 清原和也 二年 東光学園
五番 指名打者 四宮夢月 二年 帝応義塾
六番 センター ウラジーミル・ボイド 二年 青葉学院
七番 ライト 尾崎哲也 一年 東光学園
八番 セカンド 山田圭太 二年 東光学園
九番 レフト 神宮寺ケン 二年 帝応義塾
ピッチャー 涼宮晴人 二年 日ノ本大湘南
白組
一番 セカンド 河北智也 二年 常海大相模
二番 ショート 緒方英里央 二年 県立川崎総合
三番 センター 夜月晃一郎 二年 東光学園
四番 指名打者 佐倉響介 二年 青葉学院
五番 サード 三村剛 二年 県立川崎総合
六番 レフト 朴正周 一年 東光学園
七番 ファースト 野村悠樹 一年 東光学園
八番 ライト 一之瀬隼人 二年 帝応義塾
九番 キャッチャー 桜田千代丸 一年 常海大相模
ピッチャー 赤津木暁良 二年 金浜
――となった。
試合は一回戦から混戦で、投手戦かと思いきや急に打線が爆発し合ったり、交代を重ねて全選手を出すように心掛けた。
両チームの監督は選手同士で話し合う形式で、交代のタイミングもあらかじめ話し合って自分たちで決めた。
その結果……
「はい試合終了! 6対9で白組の勝利です! では両チームとも、礼っ!」
「「「ありがとうございました!」」」
「みんなお疲れさま! これ、マネージャー連合からのおにぎりだよ!」
「やっぱりおにぎりか……」
「具なしとか飽きたんだよなー……」
「俺はおにぎりより肉が食いたい!」
「文句言うなら食べちゃダメ! 東光学園を見習いなさいよ!」
「うおーっ! おにぎりー!」
「高坂が握ったおにぎりは名産品だからな!」
「他のマネージャーのおにぎりも負けてないぜ!」
「いや、高坂のおにぎりが一番美味いぞ」
「ははっ! 夜月は高坂のおにぎりが大好物だもんなー!」
「飽きてないのか……?」
「何で!?」
「食べれることに感謝出来ないやつが食べる資格なんてねえだろ?」
「まあ、そういう事っす」
「負けた……」
「こんな事言われたって知ったらまた兄貴に怒られるわ……」
「赤津木監督のこと? 弟も大変だね、贔屓に見られないように頑張ってるんだよね?」
「ああ、周りの目も怖いからな」
「とりあえずマネさんたち! ごちそうさまでした!」
こうして合宿は終了し、各ライバル校は自分のところの監督にレポートを提出する。
同時にライバルでもあるので秋の大会は負けないと宣言し合ったりして闘志を燃やした。
そして秋季大会の背番号も決まり、ここから秋季大会がはじまるのだ。
各選手の背番号は……
背番号1 園田夏樹 二年 ピッチャー
背番号2 津田俊光 一年 キャッチャー
背番号3 清原和也 二年 ファースト
背番号4 山田圭太 二年 セカンド、ショート
背番号5 松田篤信 二年 サード
背番号6 木村拓也 二年 ショート、ピッチャー
背番号7 朴正周 一年 外野全般
背番号8 夜月晃一郎 二年 センター、ファースト、キャッチャー
背番号9 尾崎哲也 一年 外野全般
背番号10 川口尚輝 二年 ピッチャー
背番号11 楊瞬麗 一年 ピッチャー
背番号12 吉永裕介 一年 キャッチャー
背番号13 野村悠樹 一年 ファースト
背番号14 高田光夫 二年 セカンド、ファースト、サード、外野全般
背番号15 石田亮太 一年 サード、センター
背番号16 坂本大輝 一年 レフト、ライト、ピッチャー
背番号17 鈴木翼 一年 ピッチャー
背番号18 金光 一年 ショート、セカンド、ピッチャー
背番号19 田村孝典 二年 ファースト、セカンド、レフト、ピッチャー
背番号20 岡崎知成 一年 外野全般、セカンド
背番号21 榊大輔 二年 ピッチャー
背番号22 松坂梅太郎 一年 ピッチャー
背番号23 木下泰志 一年 外野全般、ファースト、ピッチャー
背番号24 高坂あおい 二年 マネージャー
背番号25番 浅倉舞依 一年 マネージャー
――となった。
夏休み中に抽選に参加した夜月とあおいは、くじを引いた結果……
「東光学園の対戦相手は……県立中之島、川崎市立中丸子、県立川崎総合です」
「全員川崎市の学校だね」
「だな、とくに川崎総合は戦力を強化してきやがったからな。あの名将の武内監督にも注意だぜ」
「そうだね。ここからは負けられないね」
二人は秋の大会という事で熱く燃え、『ここからは負けられない』と誓った。
秋季大会川崎地区予選では県立中之島と市立中丸子にはコールド勝ちを収める。
そして問題は川崎総合との試合だ――
つづく!




