第35話 新チーム発足
*今作では正規ルートですが、別で分岐ルートを9パターンあります。
よろしかったら誰がヒロインなのか予想してみてください。
中田が主将になり、硬式野球部も新チームとなった。
ここからは秋季大会の優勝に向けて練習を開始する。
8月になって暑さが増し、体力のない部員はバテたりもしたが、慣れてきたのか暑さ対策も取るようになった。
そんな時だった――
「監督、マジっすか!」
「ああ。練習試合を毎週土曜と日曜にしようと思う。練習ばっかりだと試合もしたいだろうからな。ただし、月曜と水曜は休みにする。あんまり毎日やると、ただでさえ練習はきついのにケガをしちゃうからな」
「そこまで気を使ってくれるなんて……あざっす!」
「中田もお礼を言えるようになったか~。入部したての頃は俺にでさえオラオラしてたのに、成長したなぁ~」
「それで次の試合はいつですか?」
「おーい! スルーとは酷いなあ!? まあいいや、次の土曜だ。試合相手は公立校から強豪校までたくさんいるぞ」
「うす!」
こうして練習を重ねては試合をこなし、大敗する時もあれば大勝する時もあり、新チームならではの不安定さもどこのチームにもあった。
とくに新チームになって大きな手ごたえは天童の盗塁阻止率が5割に達した事、二年生がレギュラーとして台頭してきた事、一年の園田がエース候補となった事だ。
そんな中で秋季大会のベンチ入りメンバーの発表の時が来た。
「集合!」
「はい!」
「これから8月終盤に行われる秋季大会の背番号を発表するぞ。といっても、人数が26人に満たないから全員入れるんだけどなw」
「監督が人数制限するからですってー」
「仕方ないだろう。ベンチにすら入れないメンバーが多いと指導が間に合わないし、育成にかけてるんだから中途半端に多いと君たちも困るだろう?」
「えらいぶっちゃけてんなあ……」
「とにかく背番号を発表するぞ!」
そして背番号はこのとおりになった――
背番号1 松井政樹 二年
背番号2 天童明 一年
背番号3 清原和也 一年
背番号4 岡裕太 二年
背番号5 中田丈 二年 主将
背番号6 志村匠 二年
背番号7 三田宏和 二年
背番号8 夜月晃一郎 一年
背番号9 本田アレックス 二年 副主将
背番号10 園田夏樹 一年
背番号11 川口尚輝 一年
背番号12 田中一樹 二年
背番号13 田村孝典 一年
背番号14 山田圭太 一年
背番号15 片岡龍一郎 二年
背番号16 木村拓也 一年
背番号17 榊大輔 一年
背番号18 道下雄平 二年
背番号19 高田光夫 一年
背番号20 綾瀬広樹 二年
背番号21 石田武 二年
背番号22 松田篤信 一年
背番号23 マネージャー 上原春香 二年
背番号24 マネージャー 高坂あおい 一年
となった。
二年生の世代は全員甲子園を経験していて、とても頼もしい存在となった。
一年にとっては初のベンチ入りメンバーが多くいて、将来が楽しみなメンバーだ。
そんな中で夜月は自分がレギュラーであることが信じられずにいた。
「夜月、君の勝負強さは本物だ。もう誰も劣等生なんて言わせない。しかも君は外野の守備もいいし、ファーストとしても大分育ってきた。先輩二人が横にいるから安心して積極守備するといい」
「はい!」
「さて、秋季大会の地区予選だが、相手校は……川崎と北横浜エリアで、県立青葉台高校、県立柿生総合高校、そして横浜市立横浜工業高校だ。横浜工業は一年にとっては一度勝った相手だが、その時のメンバーだった三年はもういない。気持ちを新たに切り替えてもう一度勝負をしよう」
「はい!」
「よし! ここから全体練習だ! 気合入れていくぞ!」
「はい!」
こうして全体練習が始まり、地獄のシートノックやアメリカンノック、さらにジャベリックスローやラグビーボールノック、テニスサーブノックなど変則的な守備練習を重ねた。
自主練では素振りやティー打撃、変則素振りなどバッティング中心となった。
秋季大会本番に近づくと、純子がグラウンドに現れるようになり、また何度も選手個人に合った指導をした。
夜月の場合は、まず身体的特徴を見られ、腕が長いせいかどれだけ小振りにしてもインコースが詰まりやすい事を知り、『ホームベースから少し離れて打った方がいい』と指摘されて試し打ちする。
すると手ごたえがあったのか、また打球の飛距離が伸びてきた。
アウトコースは『踏み込む足をホームベース側に踏み込めばいい』との事で解決もした。
そして秋季大会は……ダイジェストでお送りしよう。
最初の柿生総合高校は、榊が完封勝利し、中田や夜月、三田のホームラン、さらに言えば清原からの代打の田村がスクイズを決めたりと大量得点になった。
次の青葉台高校は、一年生を中心とした試合となった。
清原が満塁ホームランを放ち、松田と田村、高田が猛打賞を取得、さらに言えばピッチャーの綾瀬と道下の完封リレー、抑えの本田が締めくくって完全勝利となった。
横浜工業の試合はレギュラー中心ながら前日に夏バテした中田を温存、サードの片岡がガッツのあるファインプレーを見せ、守備面に課題ありの中田とは逆の守備で見せるサードとして覚醒し始めた。
ピッチャーは松井と園田、川口が完封リレーを収め、攻撃では岡の3打席連続送りバント成功により堅実に点を稼ぐ。
キャッチャーの天童も盗塁阻止も目立ったが、途中で石田に交代し、石田はバッティングでもホームランを放つなど打てるキャッチャーとして台頭する。
最後の守備では田中が守備固めとして起用され、盗塁阻止率は低いものの三振率と併殺率が捕手陣最高で、キャッチャー戦国時代となった。
全勝で秋季神奈川県大会の出場が決まった。
野球部は順調そのものだったが、一方の同じ池上荘の同級生たちはというと――
麻実の吹奏楽部は県大会に出場が決定、阿部もいきなりインターハイ全国大会でベスト8入りを果たす。
幼なじみの瑞樹は水泳で高校日本代表の強化選手にもなるなど快進撃を見せた。
郷田は青葉学院に、河西は日ノ本大学湘南に、黒崎は横浜向学館に、つばさは県立川崎総合に、林田は常海大学相模に決勝で敗退してしまい、インターハイを逃した。
有希歩は文芸部で芥川賞高校生部門で受賞、優子も日本一のお茶会に招待されるなど文化部も全国に名をとどろかせていた。
クリスは県予選でベスト4止まりで結果が振るわなかったが、クリスはまだメンバー入りしていないので将来が楽しみな選手となった。
硬式野球部はここから春の選抜を賭けた勝負が始まるのだ。
つづく!




