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215話目





王都の商業ギルド、ザルフの私室


遅い。


前回オーフェンに通信してから間もなく2週間が経とうとしていた。

ブリウスト領から王都までゆっくり来ても1週間ほどだ。


なのにもう2週間、何の音さたもなかった。


「あいつは何をしているんだ!!!!」


最初の1週間は気分が良かった。 もうすぐ金の生る木がやってくると思って。

だが1週間経っても、手紙の一通すら連絡が無い。

今までのオーフェンなら遅れる場合は遅れる旨連絡があった。 今回はそれすらない。


「儂を侮辱し追って……!!!!」


更に悪いことに噂が広まってしまっていた。


商人が各地を飛び回り貴族の耳に入るようになってしまったのだ。

当然王都の貴族の耳にも入ってしまった。


その結果この商業ギルドへの問い合わせが殺到した。


だがこの商業ギルドにはブリウスト領から報告が一切入っていない。 貴族へは分からないというしかなく面目が丸つぶれになってしまった。


中には直接ここに足を運び儂が直々に相手をした者もいた。

その時の相手の顔と言ったら……。


思い出すだけでも腹立たしい。

この儂に恥をかかせおって……!!!!


手に力が入り指に付けていた指輪同士がぶつかりギリッと音が鳴る。


「魔石を持ってまいれ!!!!」


直接言い訳をさせてやろう。

どう詫びるのか楽しみじゃな!!!!


そう思い魔石を持ってこさせるとブリウスト領の商業ギルドへ通信を行った。



ブリウスト領の商業ギルド、オーフェンの執務室


この日も窓の外に広がる喧騒を見つつ、執務室にて決裁が必要な書類を判別していた。

最初の方は徹夜だなんだかんだとばか騒ぎをする者もいた。 それに対し、領主の警備隊を借りたり、桜本人が冒険者ギルドで冒険者を雇ったり、抽選方式に変えたりと色々策を講じた。


その結果、倉敷殿の手を借りて本人しか使用できないカードを作成し、作成の際本人の血を利用することにより二重登録を防ぎ、それの提示、読み取りにより何度も並びなおす不届きものを排除、それだけでも一時的に利用客がだいぶ減った。 当初商業ギルドの一日の対応人数の限界が500人分だったのを、少しづつ増やし、今では一日の限度が3000人ほどになった。 元々高価な商品だ。 街の需要が満たせれば利用客は商人や貴族がメインになる。 今では並びさえすれば誰でも一日一回は交換できるまでの落ち着きを見せ始めた。


アルフォート様の家臣の貴族はその時期に来ていただくよう打ち合わせはしていた。 

繁忙期の反省や今後の方針について打ち合わせを行い体制を整えた。

アルフォート様の家臣には、その体制に不備が無いか実証実験に付き合ってもらった。

そして本陣である他領の商人の襲来に備えた。


その結果、マニュアルが完成し、商品導入時程の混乱は今のところ見当たらない。


ちなみに列の管理は桜が手配した冒険者だ。 こちらも支払いを円にしたところ人気になったようだ。


その人気故、少しでも不真面目な仕事っぷりをした冒険者は、この仕事を請け負いたい冒険者にブーイングを浴びせられ排除された。

その結果、今外で列の整理をしてくれている冒険者は品行方正で実に丁寧な者になった。


「そろそろ2週間ね」


「そうですね」


「あれから連絡は取ったの?」


「いいえ、取ってませんよ、必要ないですから」


「ふふ、そうね」


桜さんと領主には一応王都の商業ギルドのギルド長とのやり取りの内容を伝えた。


そんな話をしていたらドアをノックする音が聞こえた。

返事をすると丁度噂をしていた王都の商業ギルドのギルドマスターザルフからの通信連絡が入ったという話だった。


「行ってらっしゃい」


「行ってきます」


春子にそう言うと通信の魔道具が置かれた部屋へと赴いた。





「いったいどういうことだ!!!!!!!!」


通信の魔道具を手に取るとそこから耳をつんざくような怒声が響いた。


「……どういう事とはいったいどのようなことでしょう?」


耳が痛くなり手で軽く押さえながらそう返事をした。


「いつ!! 渡り人がこっちに来るんだ!! 何故連絡しない、こちらにも問い合わせが来ているんだぞ!?」


「連絡するもしないも、私はそちらに渡り人を行かせるという話はしておりませんし、領主からくれぐれもと頼まれたと申し上げたはずですが」


「なにを寝言をほざいてる、気は確かか? ブリウスト領の領主が潔癖なのは儂とて知ってる事だぞ? これが最後の忠告だ。 さっさと渡り人を送れ。 でなければブリウスト領のギルドマスターを降りてもらうからな。 いいか、分かったな!!!!」


「ですから……」


……通信が切れた。

私が発言した意味をもう少し考えればいいのにと呆れを含んだため息を吐いた。




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