表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/274

13話目 待ち合わせ




宿に戻り食券を使用して食事を済ませると、昼間に行った公共入浴施設に行き汗を流した。


そして宿の自室で寛いでいるとノックの音が聞こえた。


扉の向こうから灯里さんの声がしたので扉を開けた。


「お疲れ様です」


「こんばんは、今朝はありがとう」


「こちらこそ楽しい時間ありがとう。 体調は大丈夫だった?」


「うん、なんとかね。 っとそれより明日冒険者ギルドに来れる?」


「明日? あちょっと待って立ち話もあれだから中へどうぞ」


「ありがとう、お邪魔します」


昨日腰掛けた椅子へ案内し、紙コップを出しペットボトルのお茶を注いだ。


「明日冒険者ギルドで何かあるの?」


「何もないけど……桜冒険者ギルドの登録まだでしょ? その登録に来て欲しいの」


「そういや昨日登録がどうのって言われたっけ」


「別に商業ギルドでもいいんだけどね」


「そんなことも言われた気がするな」


「なんでもいいから登録だけ済ませて欲しいの。 何かあった時の身分証明書にもなるから」


「身分証明書か……分かった。 あ……でも朝一じゃなくてもいい? 明日ハンスさん達と用事があるんだ」


「来てくれるなら何時でもいいよ?」


「ありがとう、ところで……こっちのチョコレート屋さんってどんな感じなの?」


「チョコ? あー……あれかー……もしかして食べた?」


「食べた」


「他のお菓子は美味しいんだよ? ただチョコを持て余してるというか……カカオって難しいからね」


「やっぱり調理法が伝わってないの?」


「そうだね……。 渡り人自体、私含め中途半端な情報しか持ってなかったりするから……正しい情報が伝わりにくいんだよね、だってカカオ渡されてチョコ作れって言われて作れる?! 少なくとも私は無理」


「だよね……私もお菓子のレシピ本持ってるけど……流石にカカオからチョコ作成は載ってない。 製菓用のチョコを使って作ろう、だもん」


「レシピ本あるんだ!」


「あるよ。 ……センス無くて作れないけど」


「え? レシピあるんだよね? ……センスって必要?」


「必要だよ、不要なら私作れてる」


「……それは単に料理下手ってやつじゃ……?」


「料理は作れるよ!」


「……そうなの? 違いが分からないけど……」


「粉にするまでイケるのなら……ココアパウダーとして別のお菓子に使えるんじゃないかと思うんだ」


「……あれ粉になってないよ。 私も調理風景見させてもらったもん」


「なってないの?!」


「すり潰すとどろって溶けるの。 途中で……だから小麦粉入れて固めるんだって……」


「そうなの?! それなら私行っても役に立たないじゃんかー!」


「いやいや、本格的なお菓子屋さんだから見るのも楽しいよ。 気負わずに行ってきたら? そのあとでギルドに来てね」


「……分かった。 持ち物は何が必要?」


「用紙はこちらで用意しておくし……特に何も必要ないよ。 受付に来て、私がいなかったら灯里を呼んでって言って。 そしたら行くから」


「分かった。 ありがとうね」


そう言って灯里は部屋を後にした。




翌朝すっきりと目覚めると、身支度をし食堂へと向かい朝食を済ませる。


パンと卵とベーコン、野菜のスープだ。 

頼めば味噌汁にも変えてもらえるらしい。

……というか味噌も普通に流通してるってすごいな。


モグモグと咀嚼し飲み込む。


……そりゃそうか。 通販出来る人が来てたなら種麹とか取り寄せ出来るもんね。 あとは大豆っぽいのがあればなんとかなるか。 ……って取り寄せ出来るなら種とかも取り寄せできるか? ……でも米はあまり見ないんだよね。


そこら辺の塩梅が謎だなと思いつつ朝食を終えた。


ハンスさん達との約束にはまだ時間がありそうだなと思い、洗濯でもするかとおかみさんに洗濯方法を聞いた。


そしたら宿の裏手の井戸でできると教えてもらった。

タライなんかは裏にあるのを使っていいらしい。

石鹸なんかはそのまま流したらまずいのではないかと思い、その点を尋ねたら、排水溝があるからそこに流すんだと教えてもらった。 ……どうやらその奥には浄化用のスライムが飼われているらしい。

……異世界っぽい。


教えてもらった通りに裏に行き、タライに水を張り洗濯物を入れて洗った。 洗った物は部屋干しにしておく。

上手く絞れなかったので少し水気が多い。 雫が落ちてもいいように下にゴミ袋を並べておいてハンガーにかけて干した。


そうこうしてると窓からハンスさん達が見えたので一階に降りて行った。



「おはようございます」


「おはよう」


今日はクイナさん達も居た。


「桜さんおはよう。 昨日はありがとう」


「いえいえどう致しまして。 お気に召しましたか?」


「とっっっっっっても美味しかったわ」


顔を綻ばせて微笑むクイナさん。


「うん! 美味しかった! また怒られるところだったよ」


えへへと笑うイリスさん。


「お前は食い意地どうにかしろ!」


それにツッコミを入れるハンスさん。


「みんなに気を使わせてしまって申し訳なかったの。 だから昨日頂いたチョコみんなで頂いたわ」


「喜んでいただけたなら何よりです」


「お礼に今日はハンスとユリウスに代わって私とイリスが案内するわ。 スイーツ巡りよ!」


「おー!」


「おお!」


「というわけだ。 行ってらっしゃい」


ハンスさんとユリウスさんに見送られて街のスイーツ巡りに出発した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ