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第3話 私の名は

 時はほんの少し巻き戻る。


 エリナは実験室の部屋の扉を閉めると、足から力が抜け、また腰を抜かしそうになると、壁に背中を預ける。

 一つ溜息を吐くと、どこか疲れた表情をしながら自室に向かって歩き出す。

 自室までの道中、エリナは使用人に今の姿を目撃されないよう、慎重に進んで行った。

 部屋に着くと濡れた制服のスカートとチェック柄の下着を脱ぎ、新しい服に着替え始めた。

 その際、下だけ制服じゃないことに違和感を持ち、一式着替えたのだった。

 

 そして着替え終わると、力なくその場に座り込んだ。


「な、何だったのあの化け物は……」


 アルス=マグナのことを思い出すと、再び震え始める体を両手で抱き、深呼吸して落ち着きを取り戻そうとする。

 エリナは魔法の失敗なのかとも思ったが、現に召喚されてしまっていること自体が成功していると証明していることから、何が原因なのか目を閉じて考えだす。


(何が原因であんなのが出て来たんだろ? 私が行った魔法陣構築の手順が違った? でもあれは本の通りにやったから違うはず……まさか! 翻訳の段階から間違えていた? 可能性はあるけど、様々な考古学の知識を使って、さらにいろんな古代文字と比べて解読したから間違っているわけ……)


 自身の研究成果が、根本から違ってたなんて彼女は考えたくなかったようだ。

 それでも様々な事を思考して、深く考え込んでいるうちに、気持ちが落ち着きを取り戻し始め、とりあえずあれを何とかしようと決意する。

 そしてエリナは再び、実験室へと向かった。


(私が呼び出したんだから、その責任は持たないと)


 実験室の扉の前に立つと固唾を飲み込み、意を決して扉をノックした。

 暫くすると扉の奥から返事が返ってくる。


「勝手にしてくれ」


 その返事にエリナはビクリと体を震わせ、恐る恐る扉を開く。


(あ、あれ? 何かさっきと雰囲気が違う!)


彼女は、自身の見ている光景が信じられず、驚きを隠せなかった。

それもそのはず、先程まで死の気配を纏っていた者が、今やその片鱗すら感じさせず、普通の人間の気配になっていたのだから。


「どうした? ドラゴンがフレイムボールを食らった様な顔をして」

「え、えーとそれを言うなら鳩が豆鉄砲を食らった様な顔ってこと……ですか?」

「この時代だとそう言うのか」


アルス=マグナは、読んでいた本を閉じ、椅子から立ち上がると、エリナの元へ歩いて行く。


「じゃあ改めて、()の名はアルス=マグナ。人々は俺のことを殲滅の魔王と呼んでいた」

「ま、魔王!!」


 エリナは驚きの余り、声を荒げてしまう。

自信が召喚した存在が魔王だったと言われたら、驚かない者の方が少ないだろう。

実際、エリナ本人も高位の悪魔なのだろうと思っていたようだが、あまりにも予想外な事に、言葉が見つられずにいた。


「君が召喚主(マスター)でいいんだよな?」


彼はエリナの反応なんてお構いなしに、話を進めていく。

そんな対応を取られ、エリナは少し遅れて反応した。


「え……あ、うん。私がマスターで合ってると思う。……あ! そうだった!! 名乗るのが遅れたけど私の名前はエリナ・ゼン・ヴィアーレ。よ、よろしくね」

「ああ、よろしく。……で、俺はこの時代の魔王でも殺せばいいのか?」

「え?」


エリナはキョトンした顔で、アルス=マグナを見つめるのだった。


いつも読んで下さり有難うございます。

『面白い』や『よかった』と思っていただけたら評価やブックマーク、感想等をしていただけると嬉しいです。


これからもよろしくお願いします。

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